センサーを首にかけて社員と談話する林要社長(左から3人目)

写真拡大

 GROOVE X(GX、東京都中央区、林要社長、03・6328・0757)は、IoT(モノのインターネット)技術を活用して水平型会社組織を運営する実証実験を1月末まで行っている。日立製作所の名刺型センサーを社員が身につけ、誰と多く会話したかをセンサーで把握し、その社員を誰が評価すべきか判断する。人事評価のあり方に新味を加えられるか―。

フラット型
 「ソフトウエアやデザイン関連といった従来手法の評価が難しい仕事の比率が増す中、組織運営を円滑にするにはピラミッド型でなくフラットな組織にする必要があると考えた」。林社長は2015年にロボット開発ベンチャー企業のGXを立ち上げた際、水平型の組織運営と「スクラム」という開発手法を導入した。スクラムはラグビーのスクラムから名前を取ったもので、チーム全体が一丸で目的に進み、(1)ニーズによって開発の優先順位を変える(2)作る機能が正しいか定期的に確認(3)短期間で計画を区切り進捗(しんちょく)を確認(4)計画は柔軟に変更する―といった特徴を持つ。密なコミュニケーションが重要で、組織階層が少なく横のつながりが機能する組織が不可欠となる。

 スクラムは欧米を中心に多くの企業が導入している。そのため「導入は楽だった」(林社長)が、社員の仕事ぶりを評価することはどの導入企業も試行錯誤していた。縦の組織では上司が適切な数の社員を評価する。水平型組織では、全員が全員を評価するのが理論上正しそうだが実際にはそうはいかない。必ず手を抜いてしまい適切な評価ができない。

 そこで、評価を誰がするのかを決める指標として、誰が誰とよく会話しているかを参考にしたいと考え、情報を収集できる名刺型センサーを使うことにした。17年10月末から始めた実証実験では、50台のセンサーを使っている。日立のセンサーを首にかけて活動すると、社内でどの人と会話したかや、どこへ移動したかといったデータが把握できる。分析によって組織の活性度(ハピネス度)が分かるが、今回は活用していない。

評価者の選定
 GXは把握したデータを使うことで、人事評価を誰が行うべきかを合理的に判断したいという。例えば、最もよく話した人と話したことがなかった人を省いた中間群から評価者を選べば適切な判断ができそうだ。

 実証実験後もセンサーを使うかは未定。まだテスト運用中なのでデータは公開できないと言う。だが、林社長は「成果を出している人を誰がサポートしているか、といった意外なつながりが見える」(同)と、有効なデータ活用ができる手応えはつかんでいる。
(文=石橋弘彰)