中国軍機関紙の解放軍報によると、内モンゴル自治区内に設けられた軍事演習場であるジュルフ合同戦術訓練基地では、仮想敵側が32勝1敗と圧倒的な勝率を上げている。写真は17年7月、同基地で行われた中国人民解放軍建軍90周年を祝う軍事パレード。

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中国軍機関紙の解放軍報は8日、内モンゴル自治区内に設けられた中国最大の軍事演習場であるジュルフ(中国語:朱日和、ジュウリーホー)合同戦術訓練基地で、仮想敵側が32勝1敗と圧倒的な勝率を上げていると紹介する記事を発表した。

ジュルフ基地を拠点に、軍事演習における「仮想敵」として活動しているのは「中国第一藍軍旅(藍軍)」という部隊だ。実戦演習では通常、「レッド」と「ブルー」の2部隊が対戦するが、中国の場合はレッド(紅軍)を自軍、ブルー(藍軍)を仮想敵軍にしている。

中国第一藍軍旅は6年前に組織された。軍事演習において演習のために各地からやってくる部隊を「仮想敵として向かい撃つ」専門の役割を担う旅団だ。実戦演習では現在まで32勝1敗と圧倒的な勝率で、紅軍側はほとんどの場合、「挫折感を骨と心に刻む」という。

解放軍報によると、藍軍の満広志(マン・グアンジー)旅団長は、ジュルフ基地で行われる実戦演習について、藍軍側は勝利して当然と説明。まずは、1000平方キロ以上もある広大な基地敷地の地形を熟知している。さらに、相手側に対する「着弾」を判定するのはレーザー照射だが、藍軍は操作の訓練を重ねている点でも有利だ。

また、実戦演習の目的は自軍の問題点を解明するためなので、紅軍側に不利な状況を設定して実施されているという。

藍軍の周勲(ジョウ・シュン)政治委員は、藍軍の特徴として、中隊長や小隊長など現場の指揮官が、通常の部隊より大きな裁量権を持たされていると説明。日常の訓練でも、上部の「顔色をうかがう」ことなく行動を決めることができるという。さらに実戦演習の後にも、問題点を探る討論を徹底的に行うなど、長期にわたって切磋琢磨(せっさたくま)しているので、演習にも自信を持って臨むことができるという。

演習時の藍軍の臨機応変な行動については、紅軍側からは「ルール違反だ」との不満も出ているという。満旅団長は、「われわれは意図的に規則違反をしているのではない。勝利を第一の目的にしているわけでない。われわれは単に刀の砥石(といし)であり、訓練協力者だ」と説明している。

事前に定められる演習のルールにはあいまいな部分があり、藍軍は「禁止されていなければ利用する」方針という。また、演習のルールに不適切な部分があれば改正するなどで、演習のレベルを向上させるなどの役目も果たしているという。

また、明らかなルール違反があれば厳粛に処理をするが、その場合でも、現場における相手側の想定外のルール違反に対応することは、極めて大きな効用があるとした。

満旅団長は紅軍側の心構えとして、「ジュルフで、(藍軍に)絶対に勝たねばならない」との考え方は間違っていると説明。「失敗と挫折により恥を知り、それを勇気に変えて、問題点をしっかりと改善し、自らの能力を高める」ことが必要との考えを示した。

周委員によると、藍軍は2016年に装備の更新に着手した。主要武器だけでなく、電子戦部隊、心理作戦部隊、無人機の配備を進め、航空部隊も配属させ、最近数年の陸空共同の作戦への対応度を高めたという。(翻訳・編集/如月隼人)