2018年、新しい年を迎えた。宮里藍が昨年9月の「エビアン選手権」で現役を引退してから間もなく4カ月が過ぎようとしている。しばらくは故郷の沖縄で両親とともに過ごしていた彼女が、そろそろ次のステップ、“セカンドキャリア”に向けて始動する頃だろう。これから宮里藍がどんな“セカンドキャリア”を過ごすのか、これまでの宮里を振り返ればひもとくことができるかもしれない。
宮里一家が集結!輝く藍ちゃんスマイル
“ずっとアメリカに居るのだろうな、と思う”
そんな言葉を聞いたのは、彼女が引退を決める何年も前のことだ。アメリカへの憧れは人一倍強い宮里は現役中も「日本に帰ることなんて、考えていない」と言い続けた。宮里とアメリカとの出会いはジュニアの頃。父・優氏と二人、カリフォルニア州サンディエゴで開催された世界ジュニア選手権に参戦したときだった。英語も分からないまま、会場を間違えたりと珍道中をしつつも入賞を果たして、おおらかなアメリカ人に祝ってもらったことが忘れられなかった。以来「絶対に米ツアーに行く」と心に誓った。
そんな宮里だから、2006年に米国女子ツアーにフル参戦すると、すぐさまカリフォルニア州ロサンゼルスの南、オレンジカゥンティーの街に拠点を構えた。海のすぐそばで育った彼女にとって、海岸沿いのこの街は心安らぐ場所だったのだろう。12年間のツアー生活でも試合のない週はここで過ごした。世界ランキング1位に輝くと、その名をアメリカで誰しもが知る存在に。自宅に程近い名門ゴルフコースに“名誉会員”として迎えられ、すっかり地元にもアメリカ生活にもなじんでいった。英語も日常生活にはまったく不自由しない彼女にとっては日本と変わらず“居心地の良い場所”となった。
引退後もこのアメリカの自宅は残していくという。「年明けには戻る予定」と話していたから、そろそろ戻ってきているかもしれない。ちなみに、大谷翔平選手が入団したロサンゼルス・エンジェルスの本拠地にもほど近いところだから、今、日本からは注目の街だ。
「まだ漠然としているのだけど、何か、アメリカと日本と、ゴルフで架け橋になることができれば」という宮里のアイデアもパワーアップしそうな気がする。
“テレビ解説?一番、向いてないです(笑)”
引退後の多くのプロが携わることの一つにトーナメントのレポーターや解説があるが、宮里は「私にはもっとも向いてない仕事」と笑った。われわれから見るとラウンド終了後に毎日話す彼女の言葉は的確な分析で、見ているゴルフファンをより一層楽しませることができると思うのだが、「自分のことは分かるのだけど、私には他の選手のプレーは分からないんですよ」とその理由を挙げた。
とはいえ、米ツアーで戦う選手たちとじかに戦ってきた数少ないプロゴルファーの一人。コースもコンディションも誰よりも熟知しているから、レギュラーではなくてもときおり登場してほしいと望むのはファンとしては当然だろう。先に引退をしたアニカ・ソレンスタム(スウェーデン)もときおり、メジャー大会などでテレビ解説を務める。今すぐでなくとも、何年かたてばどこかで宮里も心変わりをすることもあるかもしれないと思う。
“ビジョン54“とのこと。常に自分から発信していくことなど色んなことを勉強させてもらった。私はスランプがなかったらたぶん、世界一にもなれなかったと思う”
セカンドキャリアで現在もっとも現実的に想像できるのが、彼女がプロ生活で長年師事してきた“ビジョン54”を日本でも広めていきたいということだろう。米ツアーを戦い初めて陥ったドライバーの不振から立ち直ったのも、ビジョン54のピア・ニールソンとリン・マリオットの二人の助けがあったからこそだ。技術は父・優氏、メンタルはビジョン54と宮里はチームを組んできた。
二人の教えに誰よりも心酔したが、実は一時期、離れたこともあった。パッティングの不調と戦っていた15年シーズンだ。
良い薬もずっと使っていると効かなくなることもある、そんな感じだったのかもしれない。ちょうど盟友の横峯さくらが結婚をして米ツアーに参戦、夫の森川陽太郎氏がメンタルトレーナーを務めていたので、ある時期は森川氏とタッグを組んだこともあった。英語が堪能になったとはいえ、日本語で話せる森川氏は彼女にとっては重要な存在だった。
最終的には再びビジョン54へと戻ってくることになったが、いろいろなメンタルコーチと話すことは、今後の宮里のセカンドキャリアに大きな影響を及ぼした。「宮里藍のゴルフを高めるためにずっとやってきたけれど、でもそれを教えるとなるとまた別のスキルが必要」。
実は宮里にはアリゾナ州にもうひとつ家がある。ここはビジョン54のトレーニング施設にほど近い場所。毎オフ、ここで数週間を過ごして来た。この拠点もまだ持ち続けたいと言うから、きっとこれこれから日本人のスピリッツに合うコーチングを学んで行くのだろう。宮里藍から新しい発信がされるのは、そう遠くない、そう思えるニューイヤーの幕開けだった。
文・武川玲子
<ゴルフ情報ALBA.Net>

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