ニール・ヤング等のパブリッシャー、Spotifyに約1800億円の賠償請求

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トム・ペティやニール・ヤングらの楽曲の権利を管理するWixen Music PublishingがSpotifyを相手に16億ドルの訴訟を起こした。「Spotifyのストリーミングサービスは楽曲に対する適切なライセンスを取得していない」と主張。

トム・ペティ、ニール・ヤング、ザ・ドアーズらの楽曲の権利を管理するWixen Music Publishingは、数千にも上る楽曲をライセンスや対価の支払いなしに使用したとして、Spotifyを訴えた。The Hollywood Reporterが伝えた。Wixenは、損害賠償金として16億ドル(約1800億円)と、楽曲の使用差し止めを求めている。

Wixenの訴訟は、Spotifyによるロイヤリティ未払い等に関する複数の訴訟を伴っている。録音された楽曲には、2つの権利が発生する。ひとつはいわゆる録音権で、レコードレーベルが管理している場合が多い。もうひとつは作詞・作曲に対する著作権で、こちらは作詞・作曲家やパブリッシャーが管理する。

Wixenの訴状によると、「米国内でのビジネスの立ち上げに先立ち、Spotifyはレコードレーベルを対象に録音のライセンスを得ようと試みた。しかし、市場への一番乗りを目指すなかで、必要な作詞・作曲の情報収集活動が十分でなく、多くのケースで、各録音に含まれる作詞・作曲に対するライセンスを取得できていないか、米国著作権法第115条に違反していた」という。

Spotifyの代理人はコメントを拒否している。Wixen側の代理人はローリングストーン誌に訴状の内容は公開したものの、それ以上のコメントは拒否した。

Spotifyは2017年5月、同様の訴訟に対し4300万ドルで和解に応じている。ソングライターのデヴィッド・ロウリーとメリッサ・フェリックを代表とする集団訴訟で、現在和解案は裁判所による承認待ちである。しかし、この和解に不満を持つ者もいる。2017年7月に別の訴訟を起こした、フランキー・ヴァリ&ザ・フォーシーズンズの結成メンバーのひとりボブ・ゴーディオ。そしてもちろんWixenも。

訴訟の中でWixenは、Spotifyが使用する楽曲の直接的および強制的ライセンスのいずれも取得していないと訴えている。さらに、Spotifyはライセンス関連の業務を、ライセンシングやロイヤルティ・サービスを提供するハリー・フォックス・エージェンシーに外部委託しているが、同社は作詞・作曲に関する必要なライセンスを取得する能力に欠けていた、と指摘している。

Wixenが管理するアーティストには、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのザック・デ・ラ・ロッチャとトム・モレロ、ザ・ブラック・キーズのダン・オーバック、スティーリー・ダンのドナルド・フェイゲン、デヴィッド・キャシディ、スティーヴィー・ニックス、ケニー・ロジャース、キム・ゴードンらも含まれる。2017年9月、これらアーティストの多くが、前出のロウリー/フェリックによる訴訟の和解に対し、抗議の声を上げた。アーティストたちの抗議は、Wixenの起こした裁判の陳述書にも記載されている。Spotifyは、Wixenがこのような方法でアーティストたちの声を代弁する権限を得ているかどうか、異議を唱えている。標準的な管理委託契約では、パブリッシャーに対し、ライセンスの詳細を交渉する権限を与えるものの、訴訟に関しては触れないのが典型的なパターンだからだ。

前出のThe Hollywood Reporterによると、Spotifyの弁護団は2017年12月29日、裁判所に対し以下の内容の書面を提出した。「Wixenがクライアントに対し書面を送ったが、その内容は、Wixen Musicに対してクライアントから明確な拒否の意思表示がない限り(しかも短期間内で)、クライアント名義による(訴訟からの)除外請求を委任するものだった。しかしその書面は、Wixen Musicに必要な権限を与えるものではない。Wixen Musicは、書面の受取人が何もしないことで、実質的に集団訴訟から脱退させる権限を得られるものと考えている。しかしそのようなやり方は法律に反する:集団訴訟からの離脱は個人の権利であり、明示的な許諾なくその権利を行使することは無効である」