振り袖の販売・レンタルなどを手がける、はれのひ(株)(TSR企業コード:872372723、横浜市中区桜木町1-101-1、登記上:福岡市博多区博多駅前2-12-26、篠洋一郎社長)が事実上事業を停止した。1月8日の成人式、はれのひで予約した晴れ着が届かず、着付け会場は混乱した。一生に一度の成人式を心待ちにしていた新成人の心についた傷跡は深い。1月8日〜9日の流れをまとめた。


はれのひの「お振袖お預かり証」

本社は「今年に入り人の出入りはない」

【1月8日 11時】
 実質上本社(横浜市中区、以下本社)を訪問。本社は商業施設「CROSS GATE」の7階に入居している。入口ドアは閉ざされ、部屋の中に人の気配はなく、ノックにも応答はない。同じフロアに入る企業に話を聞くと、「今年に入ってから人の出入りを見たことがない」という。
 ニュースで知ったという女性が本社に駆け付けた。「娘の振り袖を注文し、代金90万円はすでに支払った。他の業者より営業のダイレクトメールが早く届き、担当者の対応も良かったので契約した。早くしないと(着付けの)良い場所や時間を押さえられない」と言われ、契約を急がされたという。女性は眼に涙を浮かべながら、はれのひに渡された「お振袖お預り証」を見せてくれた。
 同じフロアに「クロスゲート運営管理事務所」があるが、インターホンに応答はない。

店舗は「本日の営業を休業」

【同 12時】
 本社から徒歩1分の距離にある横浜みなとみらい店を訪問。同店は、商業施設の5階に入居している。だが、店舗入口は封鎖され「本日の営業を休業させて頂いております」と書かれた張り紙が掲示されている。警備員や施設管理の担当者が来店客やマスコミの対応をしている。店舗入口の掲示は、混乱を避けるために施設運営業者が掲げたという。
 結局、8日は福岡天神店を除き、すべての店舗が閉鎖された。

社長の自宅前にも報道陣

【同 13時】
 本社から徒歩15分ほどの距離にある篠社長の自宅を訪問。横浜みなとみらい地区でも屈指の高級タワーマンションだ。部屋の不動産登記簿によると名義は第三者で、賃借で居住しているとみられる。マンション入口には報道関係者が数名待機している。しかし、最後まで篠社長が姿を現すことはなかった。

店舗「1月7日から従業員がこない」

【同 13時30分】
 店舗が入居する商業施設の管理担当者が東京商工リサーチ(TSR)の取材に応じた。「1月6日の閉店時間までは通常通り営業していた。7日に従業員が出社せず、連絡も取れなくなった。月一回の店長会議も出席し、悪い風評も聞かれなかった。こんな事態になり困惑している」と戸惑いの表情を見せながら話した。
【同 14時30分】
 新成人でごった返す横浜アリーナ。ここは横浜市などが主催する成人式の会場だ。会場周辺は警察官が多数待機し、交通整理などを行っている。はれのひの混乱は、会場周辺の熱気と混雑に飲み込まれているようだった。
 その後、本社や各店舗などで聞き込みを進めるが、目立った情報は出てこない。

2017年3月に「リスクスコア」が下落

【1月9日 9時】
 本社や各店舗の状況を確認する。いずれも従業員は出社していない。本社には張り紙はない。前日8日は従業員が出て対応していた福岡天神店は、「本社から連絡もない状況で福岡店から本社への連絡もつかない。8日は通常営業で今、出来る精一杯の対応を致しましたが、これ以上の対応については本社の状況不明のため営業困難となりました」との張り紙。張り紙には「福岡店 スタッフ一同」の文字。従業員の悔しさがにじみ出ている。

はれのひ福岡天神店入口

【同 10時】
 TSRの各支社店からはれのひの取引先に取材した内容が入り始める。京都府内に本社を置く取引先は「1年ほど前から売掛金の支払いが滞納するようになり、取引縮小に努めていた」という。別の業者は「(弁護士からの)受任通知は来ていない。昨年秋から支払いが遅延するようになった」とも。
 はれのひの「リスクスコア」(※)は、2017年2月時点で「22」だったが、3月に「17」へ下落。その後も回復はしていない。

はれのひの「リスクスコア」の推移

【同 12時15分】
 福岡天神店の閉鎖や取引先が債権処理に向け顧問弁護士と協議に入ったことが確認できたことなどから、事実上の事業停止と判断。TSRのホームページなどに速報を出す。

 ※「リスクスコア」はDun & Bradstreetが開発し、TSRが統計的手法に基づき算出している向こう12ヶ月の倒産確率を統計的手法を用いて数値化(毎日更新)した客観的な指標。

 (東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年1月10日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)

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