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●潜在顧客は多い? メールアドレス登録は1.8万件

三菱自動車工業が4年ぶりの新車として3月に発売予定のコンパクトSUV「エクリプス クロス」。人気車種が多く競争も激しいセグメントだが、三菱は長期にわたる情報発信に一定の手応えを得ており、新たに始めるウェブ施策「NIGHT SHOWROOM」の効果にも期待しているようだ。

○ウェブへのアクセス数は100万件

新型エクリプス クロスは三菱自動車がクーペスタイルとSUVらしい機動力の融合を目指して開発したコンパクトSUV。その特徴については以前、試乗会で商品企画担当から聞いた話としてお伝えした通りだ。予約受付は2017年12月に始まっている。価格は約260万円〜310万円(税込み)だ。

2017年3月のジュネーブモーターショーでエクリプス クロスを世界初公開して以来、イベントへの展示やウェブでの情報発信などを続けてきた三菱自動車。ここまで長期にわたるティザー活動は同社として例を見ないと服部俊彦専務執行役員は振り返る。これまでの反応としては、特設ウェブサイトへのアクセス数で100万件、更なる情報提供を求めるメールアドレス登録の件数で1万8,000件という数字が紹介された。

服部専務が「ロングティザー活動の締めくくり」と位置づけるのが、今日の午後8時に始まる「NIGHT SHOWROOM」だ。

●初売りに手応え、ウェブ施策で予約数は伸びるか

○家にいながらショールーム体験?

三菱自動車は今日から2月4日までの約1カ月間、本社ショールームからエクリプス クロスについて情報発信するウェブ上のライブ配信を行う。それが「NIGHT SHOWROOM」だ。

本社ショールームには「アイカメラ」を装着したプレゼンターがいて、視聴者はチャット感覚でクルマについて質問したり、自分が見たいと思うアングルの映像を要望したりすることができる。時間帯は実際のショールーム(各地の販売店)が閉店した後の午後8時から午後11時まで。配信には三菱自動車の開発陣やモータージャーナリストがゲスト出演する予定で、服部専務は「スペシャルゲスト」の登場にも含みを持たせた。

三菱自動車がこのようなウェブ施策に乗り出したのには理由がある。クルマ選びにおけるネットの役割が拡大しているのだ。服部専務によると、クルマの購入を検討する客は数年前まで、購入を決めるまでに4〜5社のディーラーを訪問するのが一般的だったが、最近では事前にウェブで情報を比較・検討して車種を絞るので、実際に訪れるディーラーの件数は1〜2社に減っているとのこと。ショールームに行く時間がないという顧客からの声も多かったという。

さらに服部専務は、「家ナカ需要」「ライブコマース需要」といった消費動向の変化にも触れつつ、「夜に家でくつろぎながらショールーム体験」というコンセプトのもと、「NIGHT SHOWROOM」を実施することに決めたと語った。三菱自動車はメールアドレス登録者のうち1万6,000人程度を対象に、一般に先行する形で「NIGHT SHOWROOM」を行ってみたそうだが、その際の反響は上々で、視聴者の中には配信を見て予約受注を決めた人もいたそうだ。

○顧客目線の販売に重要となる「生の声」

このように、すでに予約獲得にも結びついている「NIGHT SHOWROOM」だが、三菱の狙いは他にもある。同社は燃費不正問題で失った信頼を取り戻し、業績のV字回復を達成すべく新たな中期経営計画をスタートさせたばかり。信頼回復への道筋をつけるべく、販売サイドにも顧客目線の姿勢が重要になるとの思いを服部専務は口にしていた。顧客の立場に立つ上で、ライブ配信を通じて集まる生の声が役に立つことは想像に難くない。

三菱自動車ではエクリプス クロスの発売に先立ち、全国の全営業スタッフに他社商品との比較を交えた試乗の機会を設けたとのこと。その際、クルマに対するスタッフの反応は非常に良好だったという。自らが高評価を下した商品に販売店スタッフが自信を持つのは道理で、「いわゆる『初売り』の時期も自信を持って販売してもらって、それが数値としても表れている」と服部専務も手応えを得ている様子だった。あとはライブ配信で追加予約が積み重なれば、エクリプス クロスのスタートダッシュは綺麗に決まるかもしれない。