脳卒中・心筋梗塞を防ぐ冬の「服選び」のポイントは?(depositphotos.com)

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 寒さが本格化した今、疲労感や軽い頭痛などに悩まされていないだろうか。「年末年始は忙しいから仕方がない」「ちょっと寝不足かな」というのは大きな誤解かもしれない。実は冬の日常に潜む「温度落差」が体に大きなダメージを与えて、体調不良を引き起こしている可能性があるからだ。

 今回は、国際医療福祉大学大学院リハビリテーション学分野の前田眞治教授が行った温度落差に関する研究をもとに、冬を健康に乗り切るための服選びを検討しよう(出典:株式会社ユニクロのプレスリリース12月より)。

温度落差で血管が収縮し血圧が急激に上昇する

 温度落差とは「環境温の変化」のこと。「暖房を入れた室内」と「寒風が吹きすさぶ屋外」では温度落差が大きい。このような温度落差が私たちの体に悪影響を与えているのだ。

 「冬場は浴室での事故に注意しよう」と耳にしたことがある人も多いだろう。室温の高い浴室で温かな湯船につかった後、室温の低い脱衣所に移動すると血管が収縮し、血圧が急激に上昇する。その結果、脳卒中や心筋梗塞など重い病気が引き起こされるリスクが高まるのだ。

 2016年10月23日、俳優の平幹二朗さんが82歳で亡くなった。自宅の浴室で倒れているところを発見されたのである。死因は不明で事件性はないことから、いわゆる「ヒートショック」、温度落差が原因だと推測している医師もいた。

 温度落差を注意するのは、入浴するときにだけではない。「外での洗濯物干しや、郵便受けの確認、ゴミ捨てなどを薄い部屋着のままで行うと、血圧を15mmHg以上も上昇させ、脳卒中や不整脈などを引き起こす可能性があるのです」と前田教授は警告する。

 ほかにも以下のような場合は、血圧を10〜15mmHg上昇させて動悸や軽い頭痛が起こる可能性があるという。

○オフィスでデスクワークをしていて、そのままの服装で暖房の利いていない建物内を移動する
○上着を着ずに部屋着のままで近所へ出かける
○満員電車で上着を脱いだ状態のまま駅(屋外)のホームに降りる

体へのダメージを軽減するためには、衣服内の空気が大事

 加えて、頻繁に起こる温度落差は自律神経に負担をかける。自律神経とは、意志とは無関係に血圧や血流など体の働きをコントロールしている。環境温に合わせて自律神経は血圧などを調整し、体温をできるだけ一定に保つように働いているので、環境温の変化が激しければ自律神経は酷使されるのだ。その結果として、疲労感や肩こり、便秘・下痢が引き起こされることもある。

 温度落差による体へのダメージを軽減するためには、衣服内の空気が大事だと日本女子大学家政学部被服学科の多屋淑子教授は指摘している(出典:株式会社ユニクロのプレスリリースより)。衣服内にたっぷりと空気が含まれることで、環境温の変化の影響を受けにくくなるのだ。

 多屋教授がフリース・ニット・スウェットパーカーで比較実験を行ったところ、女性が温かい環境から寒い環境へ移動したときに皮膚温変化が最も低かったのはフリースだった。コートやジャケットの下にフリースを着用することで、高い保温力が発揮されると期待できる。

 「血圧変化は年配の方だけの問題ではありません。現代社会では、生活習慣の乱れによって年齢以上に血管が老化している若者も多く、老若男女を問わず注意が必要であると言えます」と前田教授は語る。

 ユニクロと東レ株式会社が共同で開発したインナー「ヒートテック」が登場したのが2003年。その後さまざまな機能を加えながら進化を続けている。

 寒い冬を健康に過ごすために、おしゃれだけでなく温度落差にも気を配った服選びがお勧めだ。
(文=編集部)