前橋育英と流経大柏は今大会をわずか1失点で終えた【写真:編集部】

写真拡大 (全2枚)

前橋育英は流経大柏に1-0勝利、悲願の初優勝を達成

 第96回全国高校サッカー選手権は8日、埼玉スタジアム2002で決勝が行われ、前橋育英(群馬)がインターハイ王者・流通経大柏(千葉)に1-0と接戦をものにし、悲願の初優勝を飾った。

 ここ数年の決勝は、撃ち合いとなる傾向が強かった。5年前まで遡ると、第91回大会の鵬翔(宮崎)対京都橘(京都)は2-2(PK戦で鵬翔が勝利)。第92回大会の富山第一(富山)対星稜(石川)は3-2、第93回大会の星稜対前橋育英は4-2、第94回大会の東福岡(福岡)対國學院久我山(東京)は5-0、第95回大会の青森山田(青森)対前橋育英は5-0というスコアとなっている。

 とりわけ直近の3大会で2度ファイナリストとなっている前橋育英は、決勝を戦った2試合で合計9失点を喫していることになる。

 しかし、今大会の前橋育英は決勝までわずか1失点。流通経大柏に至っては無失点でファイナルまで駆け上がってきた。守備面において、両雄は群を抜く二大看板だった。

 6日に行われた準決勝第2試合後、前橋育英の主将MF田部井涼は、第1試合を終えていた流通経大柏が決勝に駒を進めたことを受け、「最初の1点が勝敗を決める展開になる」と試合の流れを予想しており、実際に決勝は1-0のスコアで的中させている。流通経大柏の主将MF宮本優太も、前橋育英のイメージについて「攻撃力はもちろん、守備の堅さが印象的」と評価していた。

 両チームにおいて共通しているのは、前線からのハイプレスが粘り強く激しいこと。これは、近年のJリーグや日本代表の指標にもなっているモダンサッカーが高校にも強く反映してきていると言える。要所で見た場合、両チームにはそれぞれ磐石な守備を築く土台がある。

前橋育英、流経大柏の両雄が光らせた守備の持ち味

 前橋育英に関しては、最終ラインだ。昨年の決勝に臨んだ際、主力の4バックは全員が2年生だった。左から、DF渡邊泰基、DF角田涼太郎、DF松田陸、DF後藤田亘輝。結果は0-5の惨敗。「あの大敗を、1日たりとも忘れたことがない」。4人が口を揃えて言ったように、昨年の悔しさを同じように共有し、1年間のアップグレードを経て、今大会を迎えた。

 左サイドバックの渡邊がオーバーラップする回数がやや多い分、右サイドバックの後藤田は「自分は6割くらいの割合をカバーに回し、バランスを保つようにしている」と語った。角田は「4人で綿密に話し合うということはない。そんなことしなくても、わかっているので」と、他チーム以上に長い期間、同じ最終ラインを組んできたことによる阿吽の呼吸が最大の武器ともなっていた。

 流通経大柏に関しては、2枚のセンターバックの役割が明確だったのが大きい。DF関川郁万は、強靭なフィジカルでボールを弾き返し、球際激しく相手を潰しにかかる。DF瀬戸山俊は、前に出た関川のカバーに回り、スペースを空けないようバランスを保つ。そして、守備における舵を握るのがボランチの宮本だ。

「最後は(関川)郁万と(瀬戸山)俊と自分で築く得意の三角形で食い止めようと話している。俊にカバーを頼むと伝え、郁万と僕が前に突っ込んで引っかかるようにするという狙いです」

 守備的MFとCB2枚が形成するトライアングルが冴え渡り、対戦相手にチャンスらしいチャンスをほとんど作らせずに決勝まで上り詰めた。

 今大会の決勝は得点こそ1点しか生まれなかったものの、互いのソリッドな守備が光る、ここ数年で最も見応えのある決勝であり、最も熱い冬を届けた決勝であったことに間違いないはずだ。(THE ANSWER編集部)