喜びを爆発させる河瀬

写真拡大

 「全国高校ラグビー・決勝、東海大仰星27-20大阪桐蔭」(8日、花園ラグビー場)

 大阪勢同士による決勝が行われ、東海大仰星(大阪第2)が初優勝のかかる大阪桐蔭(大阪第1)を27-20と逆転で下し、2大会ぶり5度目の頂点に立った。2トライを決めたWTB河瀬諒介(3年)は、第57回大会(1978年度)に大工大高(現常翔学園)で優勝した元日本代表FWの父・泰治氏(58)との親子優勝を果たした。大阪勢同士の決勝は第78回大会(1998年度)以来19大会ぶり2度目(全国規模で開催されなかった第24回大会を除く)。

 雨の花園に、ため込んだマグマが噴火するような雄たけびが響いた。20-20の後半23分、東海大仰星FW陣が相手を一人ずつぶちかましながら執念の前進。敵陣22メートルライン付近のラックから出たパスがフォローに回った河瀬へ回る。「絶対にトライに行こうと思った」。自身の今大会8トライ目は、ゴール中央に飛び込む決勝トライとなった。

 0-7の前半9分にもターンオーバーからの展開で約70メートルを独走してトライ。一方で、この日はゴールキックを最初から4本続けて失敗していた。「深呼吸してみたけど焦りが消えなかった」

 決勝戦独特の高揚感だけではない。準優勝に終わった昨年。東福岡との決勝では、自身のノックオンでラストチャンスをつぶしてノーサイドとなった。この日は「決勝に行ったら絶対に履こうと思っていた」という1学年上のナンバー8吉田大亮(現東海大)から譲り受けた黒白のシューズで出場。この一戦にかける強い思いが、逆にキックの精度を狂わせた。

 しかし、チームの信頼は揺らがなかった。湯浅大智監督(37)は「代えるつもりはなかった」と断言。失敗するごとに「河瀬、次やぞ」とフィフティーンやスタンドから声が飛ぶ。「応援してくれていると思った」と河瀬。自身のトライによる5本目のキックで、ようやくその信頼に応えた。

 父、泰治氏からは決勝の朝、「ゲームに入る前に無心になれ」とLINEのメッセージが届いた。その「無心」がいかに難しいか、いかに大切かを知った大舞台。「自分は自分の優勝をすると決めてやってきた。親子優勝だけど自分の優勝。すごくうれしい」。父も見た頂点からの景色は自分の景色。それは、最高の景色だった。