真偽について議論を沸かせた、米メディアが公開した機密文書(ネット写真)

写真拡大

 米ニュースサイト「ワシントン・フリービーコン(Washington Free Beacon)」は2日、中国の情報機関筋から入手した極秘内部文書とみられるものを公開した。文書には、対北朝鮮政策について中共政権は「北朝鮮側が核実験を中止すれば、経済的軍事的支援を拡大する」など中国の公式見解と相反する内容が記されている。一方、文書の信ぴょう性について議論が飛び交っている。

「核問題の解決に向けた対北朝鮮協調工作の実施に関する決定」と題する同文書では、中国共産党最高指導部の事務機関・党中央弁公庁が党中央対外連絡部(中聯部)に北朝鮮側との斡旋を命じたと書かれている。

 国連安全保障理事会が昨年9月11日、北朝鮮が同3日に強行した6回目の核実験を受け、新たな制裁決議を全会一致で採択した。この5頁にわたる文書(中国語原文:goo.gl/7AkKrW)はその直後の19日に発行された。

「北朝鮮政権の安全を図る」

 同文書は、冒頭で「北朝鮮は我が国にとって、西側諸国の敵対勢力を抵抗するための重要な軍事緩衝地帯であり、政治的に不可欠な重要な戦略的地位を有する」とし、「あらゆる代価を惜しまずに、北朝鮮の主権と領土を衛護し、北朝鮮体制の安定と継続を確保しなければならない」と述べ、対北朝鮮政策の立脚点を明かした。

北問題でロシアと手を組む

 文書で、中国当局は北朝鮮が圧力に屈しないとの考えを示し、 「米国が率いる西側の敵対勢力に北朝鮮戦争を起こさせないため、中国がロシアなどとともに、外交や軍事的統制を含む効果的な手段を通じて全力で阻止する」とした。 さらに、戦争が起こった場合、必然的にアジア太平洋地域、特に日本と韓国といった米の同盟国にも影響を及ぼすことから、米国らは武力で北朝鮮政権を転覆させる可能性はないと結論つけた。

「制裁は国際社会の批判をかわすためのもの、支援をさらに拡大する」

 文書ではまた、北朝鮮が核実験を繰り返したという挑発行為により、中共政権は国際社会から「耐え難い圧力」を受けていると示し、「朝鮮半島の非核化を支持し、核兵器不拡散条約(NPT)に加盟した」として国際的権威を保ちながら、最高指導部は中聯部に、協調的な行動を取り、北朝鮮側に「直ちに核兵器を放棄する必要はない。核実験を中止し、または控えめにすれば、中国は経済、軍事的支援を拡大する」と知らせるよう命じた。

 支援策も具体的に挙げられた。▼石油輸出制限など制裁履行は国際社会の批判をかわす程度にとどめること▼中国の仲介機構や第三国を介して貿易活動を続けてよい▼資金援助についても2018年は15%、以降5年間にわたり毎年10%増やすこと▼北朝鮮との金融業務を停止したのは国有銀行と一部の地方銀行のみにとどめる▼北朝鮮の軍事力を増強し、新型中距離弾道ミサイルや榴散弾など最先端の軍事技術を提供する。

 文書の最後に「核問題でほどほどにするよう北朝鮮当局に厳重に警告」「これ以上独断専行するならば、我々は北朝鮮の最高指導者とその家族を標的にする懲罰措置を講じる」との脅しの言葉も付け加えた。

衝撃的暴露、目的は?

 

 米国務省情報調査局(INR)の元職員で、ヘリテージ財団の前上級調査フェロー、ジョン・タシク(John Tkacik)氏は、文書の真実性が確認できれば、衝撃的ものになると述べた。「核兵器を保有する北朝鮮は『米国を牽制する格好の材料だ』と中国の共産党政権が考えていることになる。北朝鮮の核放棄を本気で求めていないことを裏付ける証拠となる」。

 昨年10月に開かれた中国共産党の党大会に合わせて、北朝鮮が核実験やミサイル発射を行うとの観測が広がっていた。今回の文書内容が事実であれば、中国指導部は党大会の「円滑な進行」を図るため、9月に北朝鮮側と秘密交渉を行ったという見方ができる。

 同情報の真偽はまだ確認されていない。一部の専門家は同文書の語彙や言葉遣いが中国政府の公式文書モードに合致し、字体やレイアウト、タイトルなどから見れば信憑性は高いとみている。

 懐疑的な見方を示す専門家もいる。中国問題に詳しいの遠藤誉氏は1月6日、ヤフーニュース掲載記事で、機密とされる今回の文書のナンバーの付け方、「機密」を示す言葉の記載位置や言葉遣いが、これまでの中国政府の公式文書の習慣から逸脱しているため、「見た瞬間、偽造だと判定できる」と一蹴した。

 在米時事評論家の横河氏も大紀元に対して、文書に誤字があることや、印刷部数の記載がないなど不自然さがあるため、偽造との見方を示した。ただ、偽造にしても、書き方は本物との類似性が高いため、偽造者あるいは作成に関与した者が「政権内部の人」である可能性が高いと述べた。

 横河氏によると、文書を偽造する目的は「北朝鮮問題が解決されるのを快く思っていないため、習近平氏と米国に隙間風を吹かせるため」だと分析した。  

 中国外務省は3日、この文書について「偽ニュース」と存在を全面否定した。同日、米国務省は文書の真偽を調べており、真実であれば特別な注意に値すると発表した。

(翻訳編集・王君宜)