上海での惜敗を超えて、見事優勝を決めたDJ(撮影:岩本芳弘)

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2018年の新年初戦となったセントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ最終日はダスティン・ジョンソン(米国)の独壇場と化して幕を閉じた。2位に2打差で3日目を終えたジョンソン。最終日は8アンダー、“65”で回り、2位に8打差をつけて圧勝。米ツアー通算17勝目、大会2勝目を挙げた。

この日、注目されていたのは、昨秋に上海で開催された今季開幕シリーズのWGC-HSBCチャンピオンズでの出来事がジョンソンのトラウマと化していないかどうかだった。あのとき、2位に6打差をつけ、単独首位で最終日を迎えたジョンソンの勝利を疑うものはいなかったが、ジョンソンはノーバーディー、5ボギーの“77”と大きく崩れ、8打差から出たジャスティン・ローズ(イングランド)に逆転を許し、2位タイに終わった。
今大会の3日目終了後、上海での出来事を問われたジョンソンは「あのときのことは、もう忘れていた」と答えたが、あの大崩れの悔しさと反省が彼のその後と年末年始の練習量や練習方法に影響を与えたことは間違いない。
ここ2年ほどの間、ジョンソンが14本のクラブの中で最も長く練習時間を割いてきたのはウェッジだった。練習場では95ヤード、105ヤード、115ヤードという具合に10ヤード刻みで打っていくのが彼のウェッジ練習のルーティーン。
「それを5ヤード刻みで完璧に打ち分けるのが目標だ」とジョンソンは昨秋の会見で語っていたが、昨年末、ジョンソンのウェッジ練習をトラックマンで計測していた人々は、彼が練習の仕上げに打った3球が「115.7」「115.5」「115.3」と完璧に0.2ヤード刻みになっていたことを確認し、驚嘆したそうだ。
昨秋の屈辱の大崩れの原因を探り、対策を考え、実行に移したジョンソン。ずっと練習を積んできたウェッジだが、練習の量と緻密さにまだまだ不足があると感じ、そこに敗北の原因を見いだし、徹底習した上で新年初戦に挑んだ。
今大会のジョンソンは400ヤード超えのドライバーショットを複数回、披露。持ち前の飛距離をさらに伸ばし、ドライバーで点を狙っているのかと思えるほど正確性も高まっていた。最終日、短めのパー4でティショットをピンそば15センチにつけるなど、見事にグリーンを捉えた12番、14番のドライバーショットは、ジョンソンの武器をフル活用した圧巻の攻め。そう、ジョンソン圧勝の立役者は間違いなくドライバーだった。
だが、主役を見事にサポートしていたのはウェッジとパター。ロングゲームとショートゲーム、双方をブラッシュアップしたことで、彼の強さは2倍、3倍に高まりつつある。上海での大崩れがメンタル面に起因していたとするならば、すでにジョンソンはその惨劇をメンタル的に克服していると言っていい。
「チャイナでは日曜日に苦しんだけど、ああいうことは、もう起こらない」
もう起こさない――そうするために必死の練習を積み、崩れないため、勝つための準備を重ねた上で新年を迎えた。だからこそ、勝つための心の準備もできていたのだと思う。
「トータル25アンダーが目標だった」と明かしたジョンソンの実際の優勝スコアはトータル24アンダー。目標に1打及ばなかったせいか、2位に8打差で圧勝したというのに大喜びする様子はほとんど見せなかった。
ジョンソンは今大会8度目の出場。34名の選手の中では最多出場だった。会場のカパルアを最も熟知していたのはジョンソンで、その経験値も彼の圧勝に寄与した要因の一つではあったと思う。
世界ランキング1位の座を1年間キープしたのはジョンソンが史上わずか5人目。その安定性と実績が彼の自信を膨らませ、それも彼の圧勝を後押ししたのだと思う。
いろんな要因が一緒になってジョンソンを勝利へ押し上げている。だが、いろんな要因をすべて引き寄せるための磁石になっていたのは、敗北の悔しさをバネに「次こそは」と鍛錬を続けてきた彼の勝利への渇望だ。
“Win again.”――考えているのはそれだけだというDJ。今季は昨季の4勝を上回る勝利を挙げそうな予感がする。
文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)
<ゴルフ情報ALBA.Net>

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