「湯たんぽ療法」で女性特有の「線維筋痛症」「慢性疲労症候群」が治癒(depositphotos.com)

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 今年(2017年)9月、アメリカのミュージシャンであるレディー・ガガさんが、「線維筋痛症」のために活動休止することを発表した(参照:レディー・ガガの線維筋痛症、日本では遅れている慢性痛医療)。

 この病名で思い出すのは、10年前に43歳という若さで自ら命を絶った、日本テレビの元アナウンサーである大杉君枝さん。亡くなる4カ月前に男の子を出産。その後、線維筋痛症で全身の痛みに悩まされ続け、自宅マンションから飛び降り自殺したと報道されている。

 生まれたばかりの子供を残して、耐えがたい激痛と絶望の中、彼女は死を選んだ。痛みは私たちを孤独の淵に追いやり、生きる希望を奪っていく。

 そんな線維筋痛症の治療に、青山・まだらめクリニック院長の班目健夫医師は20年も前から携わってきた。そして35%が治癒し、痛みが改善した例は、80%に達するという。

 これ以上、悲しくてやりきれない事例を生み出さないためにも、線維筋痛症の改善法について班目医師に教えてもらおう。周囲に痛みを訴えている人がいたら、ぜひこの方法を伝えてほしい。

診断できる検査がない線維筋痛症

 線維筋痛症は「広範囲疼痛」に含まれる。広範囲疼痛とは、その名のとおり、体の広い範囲に3カ月以上にわたって痛みを感じる病気だ。

 線維筋痛症については、医療機関で一般的に行われている検査では「異常が見られない」が、痛みが広範囲に及ぶ。そして、痛む場所が移動したり、日によって痛みの程度が変わったりすることがある。痛みに伴って、こわばりや疲労感、睡眠障害、ドライアイなどが現れることもある。

 「CRP」という炎症反応はなく、CT・MRIといった画像診断でも異常がないため、線維筋痛症と診断できる検査はない。現在では1990年や2010年に発表されたアメリカリウマチ学会の以下のようなf診断基準が参考にされている。

○全身に18カ所の圧痛点がある
○4kgの力で押したときに11カ所以上に痛みがある
○広範囲の痛みが3カ月続いている

 線維筋痛症とともに広範囲疼痛として知られているのが「慢性疲労症候群」。原因不明の強い疲労が6カ月以上も続き、激しい疲労感、だるさ、頭痛、筋肉痛などといった症状が現れる。慢性疲労症候群も、一般的な検査で異常は見られない。

 疫学調査によると、線維筋痛症の日本の患者数は約200万人。その約7割が女性で30〜40代に多い。慢性疲労症候群については約36万人とされ、「線維筋痛症と慢性疲労症候群が合併しているケースも多く見られます」と班目医師は語る。

「湯たんぽ療法」で、線維筋痛症の35%、慢性疲労症候群では42%が治癒

 厚生労働省(当時は厚生省)の「慢性疲労症候群研究班」が組織されたのは2003年。それより6年も早くから、班目医師は東京女子医科大学の東洋医学研究所で線維筋痛症と慢性疲労症候群の治療に携わってきた。

 「治療を始めた頃は、漢方治療を試みましたが、線維筋痛症の患者さんは実質的には治せませんでした。慢性疲労症候群の患者さんでは、100人に1人がようやく治る程度でした」

 東洋医学研究所での9年にわたる臨床経験で治療に改良を重ね、班目医師がたどり着いたのが「湯たんぽ療法」である。湯たんぽで体を温め続ける療法で、詳しくは前回「大事なのは「体を温める」習慣!「湯たんぽ療法」で「原因不明の痛み」や「自律神経失調症」を改善」を参照してほしい。

 「湯たんぽ療法を加えることで、線維筋痛症の35%、慢性疲労症候群では42%が治癒しています」と班目医師は語る。

 班目医師が製作協力した『痛みを取りたければ体を温めなさい』(マキノ出版)には、全身の激痛や激しい疲労感から解放された体験例が紹介されている。医療機関をあちこち回っても改善しなかった症状が徐々に消えていき、薬の量を減らせたり、仕事に復帰できたりした人もいる。

 「湯たんぽで体を温める」という療法は、シンプルでお金もほとんどかからない。線維筋痛症も慢性疲労症候群も「改善する」という希望を捨てずに、ぜひ湯たんぽ療法を試してほしい。
(取材・文=森真希)


班目健夫(まだらめ・たけお)
青山・まだらめクリニック院長。1954年、山形県生まれ。1980年、岩手医科大学医学部卒業後、同大学院(病理系)進学、第一内科入局。84年、医学博士号取得。東京女子医科大学附属東洋医学研究所勤務、同大学附属成人医療センター兼務、同大学附属青山自然医療研究所クリニック勤務を経て、11年に青山・まだらめクリニックと自律神経免疫治療研究所を開設。西洋医学の専門領域は肝臓学、消化器内科。西洋医学と東洋医学などを融合させた統合医療を研究、実践している。

森真希(もり・まき)
医療・教育ジャーナリスト。大学卒業後、出版社に21年間勤務し、月刊誌編集者として医療・健康・教育の分野で多岐にわたって取材を行う。2015年に独立し、同テーマで執筆活動と情報発信を続けている。