Snapchatにとって2017年は、忙しく、そして厳しい年であった。11月の収支報告は残念な内容であったものの、広告バイヤーたちは継続して予算の10%から20%にあたる「実験的な目的」の部分で、Snapchatのキャンペーンをキープしている。

エッセンスグローバル(Essence Global)のソーシャルアクティベーション責任者であるシャーウィン・スー氏は、次のように語る。「パフォーマンスマーケティングやダイレクトレスポンスにおける側面では、Snapchatには改善の余地がたくさんある。しかし、彼らのプロダクト開発の結果、コアユーザーやコンテンツクリエーター、プレミアムパブリッシャー、広告主にとっての価値を、今後も加え続けてくれそうな兆候や、しっかりとした土台を見せてもらっている」。

Snapchatの2017年における広告開発について下にまとめた。

セルフサービスの進歩



2017年Snapchatが実施したことでベストなものは、広告マネージャーの導入だろう。これは広告バイヤー全員が同意することだ。5月に、Snapchatは広告バイヤーたちがふたつの広告ユニットを使えるようにした。ひとつはスナップ広告、そしてもうひとつはスポンサードフィルターだ。これはセルフサービスのオークション経由となっている。だが、みっつ目の広告ユニットであるスポンサードレンズは、まだSnapchatのセールスチーム経由で購入しなくてはいけない。

彼らの第3四半期収支報告によると、この新しいプログラミングインターフェースのせいで広告収益が損なわれたということになっているが、広告バイヤーたちはキャンペーン展開をより簡単に、より早くしてくれるこのツールを称賛した。

「セルフサービスのバイイングAPIが導入され、そして継続して改善が加えられているおかげで、エントリーのコストが減った。我々のクライアントのなかには、このためSnapchatにおける総支出を若干減らしたところも出ている。しかし同時に、Snapchatにおけるパフォーマンスの改善と信頼の獲得にもつながった。また、Snapchatで継続してプランニングと投資を続けるブランドの数も増えている」と、電通イージス系列のアイプロスペクト(iProspect)で、バイスプレジデントかつソーシャル責任者を務めるブリタニー・リヒター氏は語る。

夏にはSnapchatはニュースターマーケットシェア(Neustar MarketShare)やニールセン(Nielsen)といった外部グループとパートナーを組み、マーケティングミックスモデリングプラットフォームをローンチさせた。これによってマーケターの投資に対するリターンを測定することが目的だ。透明性を重要視する今日の状況では、必要不可欠な動きといえる。

AR(拡張現実)のベストプレーヤーへ



ブランドがARを使いたいならSnapchatがベスト、という存在にSnapchatはなりたがっている。2017年、Facebookやインスタグラムといった大手競合と比べても、AR分野ではSnapchatは大きな進歩を遂げている。マーケターたちはARで何ができるかということを理解しはじめており、何百万ドル(何億円)も投資して実験を開始している。

去年だけでも、SnapchatがローンチしたAR関連プロジェクトは数多い。3Dのアバターをスナップ上に配置できる3Dワールドレンズがそのひとつだ。Snapchatによると、バドライト(Bud Light)は最初にこれを使ったブランドのひとつだ。当時のCMに登場していたキャラクターをバーチャルなキャラクターとして使えるようにした。



11月にはARトライヤル広告がデビューした。ARを通して、現実世界にバーチャルなプロダクトを映し出すことがその機能となっている。BMWはこの機能を使い、スクリーン上に映る現実世界にBMW X2の3Dモデルを披露した。ユーザーたちはこれによって自分たちの街や通りで車を見ることができたのだ。



12月にはディベロッパーたちが自分でARレンズをデザインすることができる、「レンズスタジオ(Lens Studio)」がローンチされた。平均的なユーザーは毎日、アプリ上で3分ほど新しいレンズを試す。この結果、レンズキャンペーンにおける広告の存在をユーザーが覚えてくれる度合いが平均19ポイントの上昇、そしてキャンペーン売上は9%の上昇となった。

ストーリーテリングとインスタントなインパクトという対照



彼らはまた、スナップ広告がユーザーに与えているインパクトの大きさを確かめる作業を夏に開始した。エンゲージメントが比較的高いスポンサードレンズやフィルターと比べても、スナップ広告はパッとユーザーの注意を引きつけるスタート地点としてデザインされているという。Snapchatは7月に、新しいスナップ広告を3種類ローンチしている。これはシネマグラフ、GIF、そして静止画像にそれぞれフォーカスを当てたものとなっており、数秒間だけ現れる広告となっている。

直近の数カ月のあいだでも、Snapchatはフィルターやレンズを使ったブランドによるストーリーテリングの多様性を拡大している。11月にローンチされたプロモーテッドストーリーズを使うと、最大10個のビデオや画像を、ひとつのストーリーの一部としてシェアできる。ケーブルTV局であるHBOはこのフォーマットを使って、ブラックフライデーに買い物に行く代わりに見ることができる映画やTVドラマの写真を6つ集めてシェアしている。彼らはフォーマットを使った最初のブランドのひとつだ。

12月20日には、スクリーン上を動くグラフィックスのついた自分たち用のアニメーションフィルターをブランドたちがスポンサーできるようになった。ユーザーはそれを使ってスナップを作ることができる。最初に利用したブランドにはダンキンドーナツ(Dunkin' Donuts)が挙げられる。彼らはこの機能を使って冬至の日にダークローストコーヒーをPRした。今後数カ月に渡って、このブランデッドアニメーションフィルターを年齢、性別、興味、時刻別のターゲットと組み合わせて使用する広告主は多く出てくるだろう。

ゲームへの参入



ゲーム化スナップ広告においてもSnapchatは進歩を見せた。ゲーム化スナップ広告では、ユーザーが上にスクリーンをスワイプすることでブランデッドのゲーム体験やゲーム化スポンサードレンズを試すことができる。Snapchatによると、ゲーム風の広告をローンチしたブランドの数は、2017年大幅に増加したという。ゲータレード(Gatorade)、マクドナルド(McDonald's)、マーズ(Mars)、ハーシーズ(Hershey's)、グラブハブ(Grubhub)、モエ(Moët)、そしてホリスター(Hollister)がSnapchatを使ってブランデッドゲームを制作している。内容はトリビアゲームからキャラクターの行動を選ぶアドベンチャーブック風のものまで、さまざまだ。これによってユーザーのエンゲージメントを高めようとする狙いだ。Snapchatによると、ユーザーがスワイプした場合のゲーム化広告は、平均して1分のエンゲージメント時間を誇っているという。



Ilyse Liffreing(原文 / 訳:塚本 紺)