社長との議論に敗北した直属上司の特徴

写真拡大

プレジデント誌の好評連載「悩み事の出口」。ライフネット生命保険の創業者・出口治明さんが、読者の悩みにズバリ答えます。今回のお題は「直属の上司と経営層の方向性が違ったら」。出口さんは「経営層が取り合わなければ、『家出』しましょう」といいます――。

■Q:直属の上司と経営層の方向性が違ったら

──ゲーム会社に勤めています。経営層は「売れる」ゲームづくりを目指していますが、直属の上司は「作品」としてのゲームづくりにこだわっています。

会社と直属の上司の方向性が違うのであれば、「それでは仕事ができません」と言うしかありません。上層部が同じ方向を向いてもらわなければ、あなただけではなく、みんながかわいそうです。極端に言えば、社長が「北極へ探検に行くんだ」と言っているのに、直属の上司が「僕は南極に行きたい」と言っているようなものでしょう。

──そうですよね、父親と母親の教育方針が違うと、子どもがかわいそうなのと同じで。

「北極か、南極か」をまず決めてもらわないと。直属の上司は経営層に意見は言わないのですか。

──はい。直属の上司は、自分のシマで自分のやりたいようにやる、というスタンスです。

それでしたら、「家出」すればいいと思います。今は1つの会社で定年まで勤め上げる時代ではありませんし。

──そこまで思い詰めてはいません。みんなが一体となれば売り上げはもっと伸ばせるのに、「もったいない」と感じるだけです。

方向性がバラバラというのは、多くの会社で起こりうることです。ただ、マネジメントの基本は「ワンボイス」ですよね。経営陣はワンボイスで方向性を示すのが当たり前。海外であれば、トップはあなたの直属の上司をすぐクビにするでしょう。「僕の言うことを理解しないで、違うことを部下に指示しているようなヤツはいらない」と。

経営層にあなたの意見を言ってみて、聞く姿勢がなければ、それは見限ったほうがいい。いずれにしても、直属の上司と経営層が目指しているものが違うというのは、そもそも議論をしていないか、直属の上司が議論をして負けたかのどちらかです。

■自分探しの「家出」をすべし

──経営層も直属の上司の性質を理解したうえで、うまくはまるポジションを与えている気がします。

それは部下にとっては地獄ですよね。「この中でなんとかうまくやれ」というようなことをやっているから、日本の労働生産性はG7で24年連続最下位という不名誉な世界新記録を更新しているのだと思います。

みんなで議論をして、同じ方向を向かなければ、勝てるものも勝てなくなります。

──確かに。ただ出口さんの言うように「家出」しても、どの職場も問題があるでしょうし……。

ええ。ただし基本的には、転職を繰り返すことができる社会は、すばらしいと思いますよ。人間は、一生自分に合ったものを探し求めるもの。人生は自分探しの旅ですから。終身雇用は、もしそこが合わなければ牢獄のようなものです。

Answer:部下にとっては地獄です。経営層が取り合わなければ、「家出」しましょう

----------

出口治明(でぐち・はるあき)
ライフネット生命保険会長
1948年、三重県生まれ。京都大学卒。日本生命ロンドン現法社長、国際業務部長などを経て2013年より現職。
 

----------

(ライフネット生命保険 創業者 出口 治明 構成=八村晃代 撮影=市来朋久)