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もくじ

ー 登場目前の新型より割安だったファントムVII
ー シリーズ1の上物狙いが得策
ー ロールス・ロイス・ファントムVIIの中古車 購入時の注意点
ー 専門家の意見を聞いてみる
ー 知っておくべきこと
ー いくら払うべき?
ー 掘り出し物を発見

登場目前の新型より割安だったファントムVII

来年には8代目モデルが登場予定のロールス・ロイス・ファントム。それはすなわち、まもなく7代目ファントムは中古車でしか購入できなくなる、ということを意味する。次期モデルの価格は40万ポンド(6057万円)級になるとみられており、それに比べれば現行ファントムは割安だ。

どの年式も、価格は仕様に応じて大きく異なるが、2015/16年のシリーズ2であれば概ね22万ポンドといったところ。これがシリーズ2の初期バージョンである2012年式で、走行距離3万km強になると、17万ポンド(2574万円)ほどまで落ちる。

シリーズ1との違いは、アクティブLEDヘッドライトを採用したフロント周りのデザインと、8段になったAT、改良版のインフォテイメント・システムが挙げられる。

2003年のファントムVII登場から2012年まで、シリーズ1は至高のクルマだった。こちらも仕様が価格に大きく影響するのは同じだが、2008〜2012年モデルの最高額でも17万ポンドといったところ。

なお、フェイスリフトは2009年に実施されている。2006〜2007年モデルの程度がいいものなら12万ポンド(1817万円)、2004〜2007年モデルまで幅を広げると10万ポンド(1514万円)ほどでも見つかり、最低価格はシリーズ1の初期モデルや難ありな個体の7万5000ポンド(1136万円)ほどだ。

459ps/73.4kg-mの6.75ℓV12を積むファントムが10万ポンドならば、十分に魅力的だと言える。しかし、同じ金額でベントレー・ミュルザンヌを狙えば、もっと高年式の物件、たとえば2012年モデル辺りが選べる。

しかも、エンジンはV8ながら、排気量はファントムと同等の6.75ℓだ。また、格下のモデルではあるが、メルセデスAMG S63LやBMW M760Li xドライブならば、2017年モデルが買える金額でもある。そう、メルセデス……そっちの方が賢い選択かもしれない。

シリーズ1の上物狙いが得策

ファントムVIIのシリーズ1には6段ATとエアサスペンションが搭載され、ボディはアルミだが、それでもウェイトは2500kgもある。回転計を探してはいけない。そんなものはどこにもないのだから。代わりに計器がドライバーへ伝えるのは、どれくらいの余剰馬力があるのかということだけだ。

後席のドアを開けるときもご注意あれ。観音開きなので、乗り慣れた前ヒンジのクルマだと思ってドアハンドルを引くと、恥ずかしい思いをすることになる。パルテノングリルの頂点に『スピリット・オブ・エクスタシー』が見つからないと、その辺に落ちていないか血眼になって探しそうだが、そんなことをしたらこれまた恥をかく。盗難防止、もしくは事故の際に歩行者を負傷させないよう、自動で格納されているだけだと知らないことを、ふれて回るようなものだ。

ロールスのセールスマンたちは、ファントムの購入も、所有も、運転も、世間で思われているほどには尻込みするようなことではないと口にする。しかし実際のところ、ほとんどのファントムが過酷に使い込まれることはない。もし整備履歴にすべて目を通しても、とくに手をかける必要はなかったと思わされるだけだろう。BMW7シリーズを下敷きに造られただけあって、その信頼性は折り紙付きだ。

とはいえ、目をつぶって買えるような、完全無欠のクルマというわけではない。追って説明するが、絶望的な修理費用を要する可能性も秘めている。幸いにも、独立系スペシャリストたちの強固なネットワークや、質のいいアフターマーケットパーツを利用すれば、リーズナブルなコストで済ませることも可能だ。

出所のはっきりした、状態のいいシリーズ1を見つけて、10万ポンド以下で購入できれば、それに越したことはない。価格下落はしばらく続くだろうが、たいていのV12サルーンはどこかで下げ止まりがくる。そのあとは、古いロールスの通例だが、価値が上がっていくに違いない。それこそが、ブランドのマジックだ。

ロールス・ロイス・ファントムVIIの中古車 購入時の注意点

エンジン

2008年以前のモデルで、8万kmほど走った個体なら、ラジエーターのリークは必ずチェックを。V型ユニットのバンク部にある、クーラントパイプ末端のシールは要注意。ウォーターポンプからブロックへ続くパイプだ。また、ロッカーカバー・ガスケットからのオイルの滲みも確かめよう。走りの悪い初期モデルは、インジェクションに原因のあることが多い。音を聞いてみよう。

電装類

バッテリーはふたつ。短距離走行を繰り返していると、それらが消耗しやすいので、点検は必須。

サスペンションとブレーキ

重量のあるクルマだけに、ボールジョイント・ブッシュの摩耗は早い。エアサスペンションは空気漏れの危険性をはらんでおり、その場合はポンプに負担がかかり、早晩故障が発生する。車高が正常かどうか、必ずチェックしたい。ただし、幸いにも専門業者によるオーバーホールが可能だ。

ブレーキは大きな負荷に晒されているので、パッドとディスクの両方とも確認を。2010年10月には、ブレーキサーボのアシストが低下する恐れがあるとして、リコールが実施された。対象となるのは、2003年1月から2009年11月までに製造された車輛だ。

ボディ

腐食の話は聞かないが、エクステリアのアルミパーツの中には退色するものもある。ドアロックが施錠できなくなることがたまに発生するが、それはダッシュボード上の警告灯が知らせてくれるはずだ。

インテリア

シートベースのプラスティックトリムは、後席乗員が降りる際に外れたり壊れたりすることがある。ただし、部品交換が可能だ。

専門家の意見を聞いてみる

デュアン・スターマン
スターマンズ・ロールス・ロイス・アンド・ベントレー・スペシャリスト

「30年以上ロールス・ロイスに携わってきましたが、最初はノッティンガムのディーラーの見習いでした。どのロールスも、素晴らしいエンジニアリングの塊です。それは、ファントムVIIも例外ではありません。世間ではランニングコストがかさむと思われていて、それはたしかにオペル・コルサと同じというわけにはいきません。ただし、わたしのような専門業者に任せて、パーツは質のいいアフターマーケット品を使えば、節約することはできます。このクルマなら、BMW 7シリーズと多くのパーツを共用していますから、ちゃんとした専門業者ならBMWの部品をうまく流用して、費用を抑えることもできます」

知っておくべきこと

先述した、ウォーターポンプとブロックをつなぐクーラントパイプのシールに損傷があった場合、正規ディーラーで修理すれば費用は9000ポンド(136万円)近くかかる。しかし、ロールスやベントレーのパーツを多くストックするフライングスペアーズでは、折り畳み式パイプを在庫しており、交換作業も当日中に終わる。費用は、部品代と工賃合わせて2000ポンド(30万円)程度だ。

いくら払うべき?

7万5000〜8万9995ポンド(1125万〜1349万円)

2006年モデルまでで、走行距離は12万〜21万kmを超える。もはやロールスの歴史の一部となりつつあるクルマだ。

9万〜104万995ポンド(1350万〜1574万円)

2006〜07年の程度がいい個体。中には、2006年式で走行7万5000kmほど、ロールスの公式な整備履歴が揃っていて9万9995ポンドというものもあった。

10万5000〜11万4995ポンド(1575万〜1724万円)

2006年モデル以降でロールスの公式な整備履歴が揃っており、しかも低走行。1オーナーの06年式で、しかも2万kmを切る個体で、10万7995ポンドという個体も。

11万5000〜12万4995ポンド(1725万〜1874万円)

2008年モデル以降。11万kmで11万9990ポンドから、7万km少々で12万4900ポンドまでまちまち。

12万5000〜14万9995ポンド(1875万〜2249万円)

08〜09年式のファントム・クーペや、低走行の07〜08年式サルーンが選べる。

掘り出し物を発見

ロールス・ロイス・ファントム 登録2008年 走行13万km 価格10万ポンド(1500万円)
もしも長く乗るつもりで購入するなら、予算内でベストな物件を選ぶべきだ。たとえば、こんなクルマを。1オーナーで、新車で販売した正規ディーラーでの整備履歴がフルに揃っている。欠点を挙げるなら、あまり趣味の良くない内装くらいだろうか。