明大のペナルティーで最後のプレーが途切れ喜ぶ帝京大フィフティーン

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 ◇ラグビー全国大学選手権決勝 帝京大21―20明大(2018年1月7日 東京・秩父宮ラグビー場)

 前人未到の頂へ。帝京大は明大を21―20で破り、9季連続9度目の大学日本一に輝いた。後半には一時13点のビハインドを背負ったが、その後2トライ2ゴールで逆転に成功。残りの20分間、わずか1点のリードを守り切り、岩出雅之監督(59)、フッカー堀越康介主将(4年)は歓喜の胴上げで宙に舞った。栄光のV9を達成し、来年度は節目の10連覇に挑む。

 最後の最後まで苦しみ抜いた。ラストワンプレーで猛攻を受けて背走し、堀越が不当なプレーのためシンビンで退場する。絶体絶命のピンチを迎えたが、B・マクカランが相手ボールに絡むファインプレー。反則を知らせる主審の笛が鳴ると、赤いジャージーの14人はガッツポーズし、ハイタッチを交わした。

 例年通り、優勝回数と同じだけ宙を舞った岩出監督の言葉も、薄氷の勝利を物語った。「ホッとしています。幸いに勝利したが、どちらが勝つか分からないゲームだった。学生たちの全員に敬意を表したい」。賛辞は80分間ファイトし続けた明大の選手にも及んだ。

 序盤からボール支配率で上回られた。前半を7―17。過去8度の優勝で、リードされて折り返した決勝は一度もなかった。後半最初の得点も明大。13点差をつけられたが、そこからが真骨頂だった。15分に反撃のトライで6点差に迫ると、20分には自陣ゴール前ペナルティーでSH小畑がクイックタップ。意表を突いた攻めで相手陣に入ると、最後はFB尾崎のゲインからCTB岡田が素早くボールを拾い上げてインゴールへ。直前に右肩を痛めて攻撃に参加できなかった堀越も「行ったな、と思った。トランジション(切り替わり部分)のアタックが強みなので」と勝負手を打った仲間を称えた。

 今季は目標の一つが失われた一年だった。昨年度を最後に日本選手権から大学出場枠が撤廃。近年は「打倒トップリーグ」を掲げた中で、モチベーションが低下しかねなかった。それでもAチームの選手なら日本代表入り、Bチーム以下ならAチーム入りなどと、具体的な目標設定を徹底。練習の質を保ち、昨年9月にはパナソニックとの練習試合(20分×3本)に14―5で勝利。成長度合いが退化していないことを証明し自信をつかんだ。

 昨年2月には当時3年生部員の1人を不慮の死で失う悲しみも味わったが、見事に乗り越えた。「我々も努力していく。まだ伸びる要素、未完のところもある」と岩出監督。1点差の接戦は、帝京大に追い付け追い越せで大学ラグビー全体のレベルを上げてきた証拠。名将の視線は、V10の先を見据えていた。