“キラキラ映画”の枠超えたキラキラ感! 中島健人ら主演『みせコド』が少女漫画実写で特別なワケ

写真拡大

 2010年代に入り、毎年10作品前後のペースで実写映画化されている少女漫画。往年の名作から、最新の人気作まで幅広く映画化され、すっかり“キラキラ映画”というネーミングが浸透しながらも、ここのところ興行的な成績は一息。その人気が徐々に停滞しはじめているとの声もある。

 そんなタイミングで公開された『未成年だけどコドモじゃない』も興行的なスタートダッシュはまずまずとはいえ、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』がいるお正月シーズンとあっては初登場5位というスタートは決して悪いものではない。むしろ、観客の8割が20代以下と、一定のターゲットをしっかり確保しようとした狙いは成功だったのではないだろうか。

 そんな主要ターゲット層である10代女子が、連載開始から読み続けてきているであろう、2010年代少女漫画の代表格である本作は、ここ最近の“キラキラ映画”の枠に収まりきらない、圧倒的に特別な“キラキラ感”が存在している。というのも、描かれている物語があまりにも現実離れしているという、すっかり少なくなった夢の世界が展開されるからだ。

 たとえば、同じように2010年代に連載開始された少女漫画原作である、『ひるなかの流星』は、ヒロインをめぐって同級生と担任教師の三角関係が描かれ、『PとJK』では警察官との恋模様など、設定的にドラマチックではありながら、あくまでもリアルな世界で充分に起こりうる、少女漫画的なパラレルワールドが展開。

 そもそも少年漫画と比較しても、主題が“恋愛”に置かれる傾向が強い少女漫画は、現実的な物語であるからこそ受け入れられやすいものだ。ましてや、それを読む今の若者世代が俗に“さとり世代”と言われるほど現実的になったことで、物語として描かれる“恋愛”さえも、夢ではなく現実が重視されているように思える。

 それに対して、この『未成年だけどコドモじゃない』では、超大金持ちのヒロイン・香琳が超大金持ちの幼なじみ・五十鈴と、超貧乏だけど超イケメンの王子様・尚との間で揺れ動きながら、高校生で結婚離婚を繰り広げるという、あまりにも極端で、現実では非常に高い確率で起こり得ないような突飛な設定が待ち受けているのだ。

 そこに拍車をかけるように、本作はこれまでの“キラキラ映画”が必ずと言っていいほどやってきた必殺技を、あえて封じてきた。必然的に学園が舞台となるため、それなりにキャストが多くなることを利用して売り出し前の若手キャストを主人公の友人などの役で起用していくというのが定番だった。

 ところが本作で平祐奈が演じる香琳には(キャラの性格的なものもあるのか)一切友達がいないという、“キラキラ映画”としては実に珍しいキャラクター相関図が誕生する。それに加えて、Hey! Say! JUMPの知念侑李とSexy Zoneの中島健人という、ジャニーズ事務所の次世代グループの主要メンバー2人がライバルとして激突するという夢のような配役。この3人と、ちらっと登場するだけの山本舞香を除けば同じ世代のキャラが出てこない。選び抜かれた主人公たちが世界を作り出す、“プレミアム感”に溢れた特殊すぎる学園ドラマが完成されたのだ。

 そんな中、平と中島の2人のキャラクターが、彼らのイメージのままであるということで、現実と夢を繋ぐ入り口をしっかりと作り出している。初日舞台挨拶の場で「リアル香琳」と言われるほど、他の作品では見せてこなかった表情で輝く平。そこに『高校デビュー』や『ヒロイン失格』、最近では『あさひなぐ』と『トリガール!』でコメディエンヌを発掘する手腕を持つ英勉監督のセンスでさらに磨きがかかる。

 また、ジャニーズ屈指の王子様としておなじみの中島も、これまでは不良少年を演じた『BAD BOYS J』に、ちょっと冴えない高校生を演じた『銀の匙 Silver Spoon』、ドSキャラが際立つ『黒崎くんの言いなりになんてならない』と大人しく控えめな『心が叫びたがってるんだ。』と、いずれも“ケンティー”らしさを抑えていただけに、本作での優しくて適度に裏があるキャラクターは、まさに彼のイメージにぴったりと符合するのだ。

 非リアリティーに溢れた物語、現実に近いキャラクター設定が絶妙にバランスを保ち続けることで、少女漫画としては古典的でありながら、“キラキラ映画”としてはまったく新しいスタイルの映画となった本作。今後も多くの作品が映画化されるであろう“キラキラ映画”界に、新たな潮流を生み出すことになるのではないだろうか。(久保田和馬)