日本統治時代の移民村を紹介した新刊  時代の生き証人が歴史伝える/台湾

写真拡大 (全2枚)

(花蓮 7日 中央社)日本統治時代の台湾で最初に官営移民が行われた東部・花蓮県の吉野村(現・吉安郷)を紹介するノンフィクションの新刊発表会が6日、同県で行われた。当時の吉野村を知る生き証人として本に登場した82歳の男性がイベントに出席し、人々に自身の記憶を伝えた。

同地周辺はかつて、日本人の移民村として栄えた。現在も残されている記念碑によれば、1905(明治38)年当時、人口は1700人余り。道路や鉄道が整備されていたほか、医療施設や小学校、郵便局などもあった。同県で歴史研究に従事する王淑娟さんらが吉野村を知る20人余りのお年寄りをインタビューし、古写真などを探しながら2年かけて本にまとめた。

イベントに出席した張朝栄さん(82)は、吉野村は第二次世界大戦末期、重要な軍事基地だったと語る。村の東側には堀で囲まれた飛行場が、山には戦闘機などを敵の空襲から守る掩体壕(えんたいごう)が作られた。戦闘機が飛行場に降り立つ度に、40〜50人がかりで押して山まで運んだという。

兄と共に戦闘機を押したという張さんは、山の斜面が特にきつかったと振り返る。一日に3回運ぶこともあり、疲れたときには草地で眠った。体中にはシラミがわき、過酷な環境だったという。

本の出版はお年寄りにとって大きな励ましになったはずだと胸を張る王さん。本を通じて人々に同地の豊かな歴史について知ってもらえればと期待を寄せた。

(李先鳳/編集:楊千慧)