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もくじ

ークリオR.S.182トロフィーの基礎知識
ー考えるより走れ! 「ポルシェ・イーター」
ーAUTOCAR記者の今の評価は?
ー「買い!」と思ったアナタに…… 最後のアドバイス

クリオR.S.182トロフィーの基礎知識

・製造:2005年〜2006年
・最高出力:182ps
・現在価格:5000ポンド〜8000ポンド(76万〜122万円)

2005年。クリオR.S.182の最終バージョンとして限定モデルが登場した。徹底的に磨き上げられたパフォーマンス、クルマ好きの心をつかむその姿。クリオR.S.182トロフィーは、「手ごろなポルシェ911 GT3」として歓迎された。

182および182カップの上位車種にあたり、ルノーのホットハッチにとっての最大市場の英国に向けたモデルである。2代目クリオをベースに、わずか500台のみが生産され、全台数がカプシカム・レッドと呼ばれる唐辛子に似た赤の外装色を採用した。これにくわえ、スイス向けに50台が販売されている。
 

考えるより走れ! 「ポルシェ・イーター」

スピードライン製Turiniホイールは、ばね下重量を1.3kg軽量化。前席は、182のシートより10mm低いレカロ・スポーツ・トレンドラインだ。

特筆すべきはフロントに奢られたザックス・レーシング・エンジニアリング製のダンパーだ。レース直系のもので、ダンパー内のオイルとガスの半分を収容可能な別体式リザーバータンクを装備。スプリングレートは、前が20%、後ろが10%高められている。サスペンション長は182カップに比べてさらに10mm短い。

さらにバンプストップゴムの代わりにハイドローリック・バンプストッパーを採用するとともに、レスポンスを鋭くするためにステアリングのジオメトリーまで変更。こうした特製パーツによって、182トロフィーは最も優れたハンドリングを持つ1台となり、発売当時の1万5500ポンドという価格は驚くほど “お値打ち” であった。

車内に乗り込んでみよう。レカロのシートは、低く取り付けられたにもかかわらずヒップポイントが依然として高く、ハンドルは呆れるほど巨大だ。ベースとなった182と同じ問題点である。
 

AUTOCAR記者の今の評価は?

しかし、サスペンションは直ぐに182と違うことが分かる。素早いダンピング、落ち着いた挙動によって、ボディロールは絶妙。その感触ははるかに繊細で、ドライバーに大きな満足感を与えてくれる。182psを発生する自然吸気2.0ℓ4気筒エンジンは、それほどパワフルではない。しかし、“今” のレベルでもそのパフォーマンスは十分。最新のダウンサイジングターボに比べてしまえば、5速マニュアルミッションを駆使する必要があるものの、活発なキャラクターはかつてのホットハッチそのもの。素晴らしく運転しがいのあるクルマなのだ。

AUTOCARは新車当時もクリオR.S.182トロフィーへの称賛を惜しまなかった。「これはクルマ好きのための最高の1台だ。比較対象になりえるのは純粋なドライバーズカーだけだろう。ポルシェ乗りはこんな見解を受け入れたくないだろうが、30km以上走ってもクリオの姿がバックミラーから消えないと分かれば、考えを改めざるをえない」と称えている。

現在の価格もそれを証明している。ノーマルのクリオ182が2000ポンド(30万円)以下で探すことができるのに、上玉の182トロフィーを手に入れるには最低でも5000ポンド(76万円)を用意しなければならない。

このクルマには、使われているパーツ以上の価値がある。だからこそ、時間を掛けて探しても、素晴らしい投資になるはずだ。一度でも走らせてみれば、そう実感するだろう。
 

「買い!」と思ったアナタに…… 最後のアドバイス

購入時の注意点

ザックス製ダンパーはロッドに錆が発生するが、基本的に耐久性は高い。ただし新品への交換は高コスト。片側だけで1200ポンド(18万円)掛かる。リビルドで済ませればコストは1/4に収まるし、可変ダンパーを提供するショップも存在する。

タイミングベルト交換は、エンジンルーム内のメンテナンス性が悪いためにコストが掛かる。プロショップの工賃は約600ポンド(9万円)。交換は10万kmまたは6年毎に必要。メンテナンスさえしておけばエンジンは16万km以上問題なく使える。なお、カタカタ音が発生したら、吸気側のカムのタイミングに不具合がある兆候だ。

酷使された個体は、2速/3速のシンクロが摩耗するので、他のダメージも確認した方が良い。一方、加速時にシフトレバーが動くのは全く心配ない。

加えて一言 読者の皆さまに

全てが赤色に包まれ、全てが楽しい。当時のAUTOCARの評価を紹介し、このレポートを締めくくりたい。

「はるかに高価なモデルが恥じ入ってしまうほどの出来。優れたダンパーが走りを別次元へと引き上げている。182トロフィーよりも速いホットハッチは存在する。しかし、ホットハッチとはどういうものか、どんなドライビングをもたらすべきかという基本を押さえたモデルは他にはない」