「ラウンドワン HP」より

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 ボウリングなどアミューズメント施設を展開する「ラウンドワン」が元気だ。業績悪化で苦しんでいた同社に何が起きているのか。

 11月の既存店売上高は、前年同月比8.6%の増加を果たした。10月も8.7%増と高い伸びを見せている。2017年4〜9月期の連結決算は、売上高は前年同期比8.4%増の462億円、営業利益は58.4%増の42億円だった。純利益は2.5倍の24億円となっている。大幅な増収増益だ。

 人気音楽グループ「ゴールデンボンバー」とのタイアップイベントや、小学生以下無料キャンペーン、キャッシュバックイベントが集客に貢献したほか、新型のクレーンゲーム機の投入やカラオケのモニター大型化、スポーツ複合施設のエリア拡大といった施策が奏功した。

 好業績を背景に、株価も好調だ。12月18日の終値は1756円だったが、翌19日は前日比135円高の1891円まで上昇した。20日も上昇が止まらず2007円を付けて年初来高値を更新し、1989円で終着した。大和証券が18日付で投資判断を2段階格上げとなる最上位の「1」に引き上げ、目標株価も1000円から2700円に上方修正したことが影響したとみられる。今後の成長を期待して投資家の買いが入ったようだ。

 ところで、ラウンドワンの好業績は以前から続いているようにも思えるが、実際はそうではない。好業績は最近の話で、以前は業績が悪化していたのだ。

 具体的には、売上高は17年3月期こそ前年比5.1%増加の877億円だったが、16年3月期までは4年連続で前年割れが続いていた。本業の儲けを示す営業利益も同様で、17年3月期は4.9%増加の66億円だったが、16年3月期までは4年連続で前年を下回っていたのだ。

 このように、17年3月期から急に業績が上向いたが、何がV字回復の要因となっているのだろうか。まず思い浮かぶのは「店舗数の増加」だが、どうやらそうではないようだ。17年3月期末の店舗数(連結)は122店で前期末と変わらない。17年4〜9月期末は約2%にあたる3店の純増にとどまる。前述したとおり17年4〜9月期の売上高は8.4%も増加していて、売上高の増加率のほうが圧倒的に高い。よって、好業績の主因は店舗数の増加ではなく、1店ごとの売上高が上がっていることにあると推測できる。

●若者層の取得増加

 その要因はいくつか考えられるが、ひとつには主要ターゲット層である若者の所得が大きく伸びていることが影響していると考えられる。というのも、若者の所得の源泉のひとつであるアルバイト・パートの時給が大きく上昇しているからだ。

 求人情報大手のリクルートジョブズは三大都市圏(首都圏・東海・関西)のアルバイト・パートの募集時平均時給を調査し、その結果を毎月公表している。それによると、ここ数年の時給が上昇しているのが確認できるのだが、特に16年に入ってからの上昇が著しいことがわかる。たとえば、15年11月の時給は981円だったが、17年11月には1024円にまで急騰している。昨今広く喧伝されている「人手不足の問題」が背景にあるようだ。

 また、時給の伸び率が上昇していることも追い風となっている。15年の各月の伸び率は前年同月比で概ね1%台を示していたが、16年の各月は2%前後にまで上昇し、17年の各月は2%半ばへとさらに上昇した。徐々にではなく、急激に伸びていることがわかる。今後もさらなる伸びが期待できそうな上昇の仕方といえるだろう。

 時給の上昇により所得が増え、時給の伸び率が高まっていることから今後の所得の増加も期待できるため、若者が消費を増やすようになっていったと考えられる。

●コト消費への需要増加も追い風

 また、昨今は体験型の「コト消費」の需要が旺盛で、テーマパークや映画なども業績が上向いている。東京ディズニーリゾート(TDR)やユニバーサル・スタジオ・ジャパンの来園者数は増加傾向にある。イオンモールは、展開する商業施設内の映画館が好評を博し、集客につながっている。日本映画製作者連盟が発表している「日本映画産業統計」によると、映画館の入場者数は近年増加傾向にある。16年の入場者数は前年比8.1%増の約1億8000万人にも上る。コト消費の需要が旺盛であることがわかるだろう。

 ラウンドワンも、TDRなどと同様にコト消費の需要に対応したサービスを提供していて、その需要を取り込むことに成功し、業績の回復につながっていると考えられる。

 ラウンドワンが提供するサービスは、「ボウリング」「ゲームセンター」「カラオケ」「スポッチャ」の4つが柱だ。ボウリングでは、一般的なボウリングレーンのほか、映画館のような映像と音楽が楽しめる「スクリーンレーン」やガターにならない「バンパーレーン」など、多様なレーンを用意し趣向を凝らしている。また、ボウリング大会やボウリング教室を積極的に開催し、ファンの獲得に努めている。

 ゲームセンターは同社の稼ぎ頭だ。17年3月期の全体の売上高に占める割合は46.2%にもなる。クレーンゲームやメダルゲーム、アーケードゲームにおいて最新機種の投入や機種のバージョンアップを積極的に行うなどしてリピーターの確保に努めている。条例改正により16年6月から保護者同伴で16歳未満の子供が最大午後10時までゲームセンターで遊べるようになったことも追い風となっている。

 カラオケでは、人気アイドルとコラボするなどして差別化を図っている。また、65インチの大型モニターや2画面のモニター、100インチ超の映像を映し出せるプロジェクタールームを導入するなどハード面も充実させている。

 スポッチャはさまざまなスポーツやアミューズメントを時間内であれば好きなだけ楽しむことができる複合施設だ。パターゴルフやフットサル、ローラースケート、太鼓ゲームなど多彩なアクティビティを楽しむことができる。

 こうした体験型のサービスが時代の流れにマッチしてきている。そして、その流れに主要ターゲット層である若者の所得の増加という要素が加わり、ラウンドワンの追い風となっているのだ。この流れはラウンドワンの予想すら超えているようで、同社は先月に18年3月期の業績見通しの上方修正を発表し、売上高は前回予測より1.8%高い938億円(前年同期比7.0%増)、営業利益は13.0%高い81億円(同21.3%増)としている。業績のV字回復が鮮明となっている。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)