こちら韓国の新年は2回ある。新正月と旧正月だ。今年の場合は、旧正月は2月16日である。陰暦の1月1日にあたるわけだ。資料写真。

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こちら韓国の新年は2回ある。新正月旧正月だ。今年の場合、旧正月は2月16日である。陰暦の1月1日にあたるわけだ。

パク・チョンヒ(朴正熙)大統領の時代に、旧正月をなくして新正月一本でいこうという政策をやろうとしたが、失敗におわったということだ。

政府はそのように主導しようとしたけれど、国民の心情がついていかなかったのである。何百年、何千年と続いてきた風習を変えることはそう簡単ではないということであろう。一旦は旧正月をなくして新正月を3日休むことにしたがこれが駄目だったので、旧正月を2日休んで新正月も2日休むという時期もあったりして、現在の新正月は1日だけ休み、旧正月は3日の連休という形に収まったようだ。

筆者が韓国に来てからも新正月と旧正月の休みの日数が変動したなという記憶がある。2日と2日から1日と3日への変化だったのだろう。あれあれという気持ちはあったけれど、あんまり関心がなかったためはっきりとは覚えていない。それまでにも国民の祝日つまり赤い日が突然黒い日つまり休みでない日に変わるということは結構たびたびあったので、正月の扱いもこんなふうに変わるんだなというくらいの認識だった。

新正月は1日の休みで旧正月は3日の連休となってどれくらい経つのか、はっきりとは記憶にないけどこのスタイルは15年以上続いているはずだ。たぶん今後もこのスタイルがずっと継続してゆくものと思われる。扱いとしては「新」よりは「旧」の方にウエイトが置かれているのである。

韓国では陰暦が今でもいろいろの面で生きていることを知ることができる。例えば誕生日。わたしの妻も誕生日は陰暦で登録してあり、実際にも陰暦で誕生日を祝っている。毎年毎年その日は変わるから、かなり注意していないと忘れてしまう。忘れてしまった日は大変だ。朝起きるといつも「アンニョン」と言ってお互いに抱擁することが慣わしのわが夫婦(ちょっと恥ずかしいけど)。いつものように抱擁するがなんとなく様子が変だ。わたしはまだ気づかない。数時間経って気づいたときには後の祭りだ。その日の晩御飯はご飯と味噌汁の2点。おかずなし。プラス妻の小言をえんえんと聞かされることになる。

彼女の誕生日は陰暦の8月22日でこれはもちろん固定しているけれど、その年の新暦での日にちが違ってくるわけだ。だいたいは9月の何日かになる。遅いときは10月に食い込むこともある。わたしの誕生日は10月13日だけれど、これより遅くなることはない。

2013年だったかに、一度だけ誕生日が重なったことがあった。つまり陰暦の8月22日が新暦の10月13日にかぶったわけだ。ハレー彗星が数十年の歳月をかけてまた地球に大接近するような感覚だった。わたしたち夫婦の誕生日がかぶることは今後生きている間にあるかどうかわからない。なのでかなり重要な日だったのだが、現実にその日を迎えてみるとおもしろいことに何もやることがないのである。

これはわれわれ夫婦の性格のなせるわざなのかもしれないけれど、特別に何かやるということはなく、夜静かにワインなどを傾けながら普段の日と変わらない時間を過ごすことになった。「誕生日、おめでと」「あなたも、おめでと」こんな会話をしたようなしなかったような。一生に一度あるかないかわからないような重要な日なのだったけれど、その日は平素と変わらない普通の日となったのである。

本題からまた外れてしまった。こちらの正月の話だった。上述したように正月が「2回」あるため、新年の挨拶も2回することになる。この新年の挨拶のことばがおもしろい。「新年、福をたくさんいただいてください」というのである。これはもちろん直訳である。