デビューは華々しくも終わりはひっそり

 何事にも始まりがあれば終わりがあるもの。それは自動車にとっても例外ではなく、華々しくデビューした新型車でもいつしか終わりがくる。フルモデルチェンジを行って次の世代に進む車種もあれば、他車種と統合されてしまうものやそのまま消えていく車種もあり悲喜こもごもであるが、今回は気がついたら販売終了していた……というクルマたちをご紹介したい。

1)トヨタ・SAI(2009〜2017年)

 2007年まで販売されていた「小さな高級車」ことプログレの間接的な後継車種として、2009年に登場したのがSAIだ。トヨタとしてはプリウスに次ぐハイブリッド専用車として登場し、兄弟車にはレクサスブレンドから販売されるHSが存在している(HSは現役)。

 しかしFRのプログレに対し、FFとなりボディも全幅1770mmと大型化してしまったことが災いし、プログレからの代替が思うようにいかずにマイナー車としての道を歩むことになってしまう。とはいえ、クラウンハイブリッドよりも安価に購入できるセダン型ハイブリッド車として、一定の需要はあったようだ。

 2013年にはエクステリアを大幅に変更するビッグマイナーチェンジを実施し、内装にも「茜(アカネ)」と呼ばれる赤を差し色にしたものを採用。アグレッシブなイメージを持つものとなり、イメージキャラクターに女優の真木よう子を起用するなど、ユーザーの若返りを図っている。

 しかし、2017年11月に、同年7月に発売された新型カムリに統合される形で生産を終了。現在はホームページからも削除されている。

2)マツダ・MPV(2006〜2016年)

 まだ「ミニバン」という呼称が浸透していなかった1988年に北米市場でデビューし、1990年に日本にも導入された初代MPV。V型6気筒エンジンに本革シートのみのラインアップで355万円と、新しいカテゴリーの多目的高級サルーンという名前に恥じない内容となっていた。

 時は流れて2006年、3代目となったMPVは、V型6気筒エンジンの代わりに直列4気筒2.3リッター直噴ターボエンジンをトップグレードに据える俊足ミニバンへとキャラクターを変えており(NAエンジンも設定)、組み合わされるミッションも6速ATに。「スポーツカーの発想で、ミニバンを変える」というコピーにふさわしいマツダらしいミニバンへ仕上がっていた。

 しかし、時代はエルグランドやアルファード/ヴェルファイアなど押し出しの強い高級ミニバンへと需要が高まっている時期で、スポーティさを前面に押し出したMPVは苦戦を強いられる。さらに2010年にはターボがカタログから落ちると一番のウリも失うこととなり、マツダのミニバン新規開発中止とともに2016年頭で静かに歴史に幕を下ろすこととなった。

3)トヨタ・bB/ダイハツ・クー/スバル・デックス(2006年〜2016年)

 初代のスマッシュヒットに続け、と2005年末に登場した2代目bB。初代のヴィッツベースからパッソ/ブーンベースへと変更されたことに伴い、ダイハツとの共同開発となっていた(生産はダイハツが担当)。

 その結果、翌2006年にはダイハツブランドからクーとして登場。bBにあった9スピーカーやアームレストコントローラーなどのオーディオ関係は用意されず、シートが深く沈みこむマッタリモードも装備されない代わりにフロントシートリフターやリヤシートスライドが用意されるなど、よりファミリカーとして使うことを重視するモデルとなっていた。

 さらに2008年にはトヨタ自動車、ダイハツ工業、富士重工業(当時)の3社による業務提携強化が発表され、その一環としてスバルからもデックスという名前で販売がスタート。こちらはほかの2車種とは異なり1.3リッター仕様のみで、一説にはインプレッサの1.5リッターモデルとバッティングしないようにとの配慮とも言われている。しかし、フロントマスクはbBやクーとも異なるものが用意されており、単なるOEMモデル以上であることを感じさせていた。

 そんなbB三兄弟だが、2011年には早々にデックスが脱落(在庫販売は2013年まで続いた模様)。クーも2012年で生産終了し、bBはかなり踏みとどまったものの2016年7月に終了している。兄弟ながら終了時期がかなり異なるという稀有な例と言えるだろう。