キヤノンの御手洗会長(左)とメディカルの瀧口社長とキヤノンメディカルシステムの瀧口社長

写真拡大

 キヤノンは2020年度に医療機器などメディカルシステム事業の売上高を現行比36・7%増の6000億円、営業利益率を2倍の10%に引き上げる。子会社キヤノンメディカルシステムズ(栃木県大田原市)での新製品投入効果に加え、今春に両社で製品化した医療画像処理ソフトを市場投入する。相乗効果を発揮し、同事業をグループの成長エンジンの一つに位置付ける。

 キヤノンのメディカル事業本部長を兼ねる瀧口登志夫キヤノンメディカルシステムズ社長が明らかにした。キヤノンの同事業は17年度見通しで売上高4390億円、営業利益率4・9%。

 今春にキヤノンのソフト技術とキヤノンメディカルの製品化の知見を組み合わせ、がんの骨転移を人工知能(AI)で自動検出するソフトを発売する。また製造現場に設備の異常検知といったキヤノンの技術を取り入れ、「生産の効率化と質の向上を図る」(瀧口社長)。商流も18年中に統合完了を目指す。

 同事業では約9割の売上高を稼ぐキヤノンメディカルが屋台骨となる。「過去数年間、研究開発投資を厚くしており、商品構成の刷新がほぼ完成する。

 新製品を収益に結びつける」(同)考え。また商品力・販売力強化や医療IT、ライフサイエンスなどの分野で企業のM&A(合併・買収)も検討していく。
日刊工業新聞2018年1月5日

日系メーカー、海外攻略急ぐ
 医療機器業界では海外事業を拡大する動きが目立った。国内市場は国の医療費抑制や医療機関の再編・淘汰(とうた)が進み、市場は成熟気味だ。一方、最大市場の米国をはじめ、中国・アジア市場は成長が著しい。研究開発、販売・サービス拠点の拡充や企業の合併・買収(M&A)を通じた販売網の獲得が成長のカギだ。

 テルモは9月、米カリフォルニア州にカテーテルの研究開発拠点「イノベーションセンター」を稼働した。塞栓(そくせん)コイルや脳血管用ステントといった末梢(まっしょう)血管領域における製品の研究開発・生産を担う。「内部開発力を強化する」(佐藤慎次郎社長)ことで拡大する脳血管内治療市場で成長につなげる。

 オリンパスも10月、韓国の松島新都市に医療従事者向け内視鏡教育施設「メディカルトレーニング&エデュケーションセンター(K―TEC)」を新設した。

 実際の手術室や内視鏡室を模擬したトレーニングルームを備え、医療従事者や病院の購買担当者らが製品の理解を深められる。同国での医療技術の発展に寄与する。

 日立製作所も米州で画像診断機器の販売・保守を手がける100%子会社2社を4月に統合、日立ヘルスケアアメリカ(オハイオ州)として始動した。米州の統括拠点としてだけでなく、「医療IT分野で新しい価値を作っていく」(渡部真也執行役常務)ための戦略的な拠点だ。

 また、シンガポールの病院内装・設備施工会社「グローバルワイドインターナショナル」「グローバルワイドM&E」を6月に買収したエア・ウォーターは、買収会社を東南アジア諸国連合(ASEAN)地域の中核拠点とし、新興国展開を本格化した。

日刊工業新聞2017年12月19日