丸井「ヴェリココ」公式ページより

写真拡大

 アマゾンの快進撃が止まらない。2017年7―9月期決算で、売上高は前年同期比34%増の437億ドル(約5兆円)と過去最高となった。クラウド事業の高成長が関係しているが、主力のネット通販も同22%増の264億ドルと順調に拡大した。米国の小売業ではアマゾンの独り勝ちで、アマゾンと競合する小売企業の業績と株価が大きな影響を受けている。

 日本でもアマゾンのネット通販の成長で、今後影響が出てくることが見込まれる。というのは、16年のアマゾン・ジャパンの純売上高は1兆1746億円と日本の小売業では第7位の規模に達し、推定総取扱高は1兆8800億円とローソンに次ぐ第5位に匹敵するまでになっているからだ。

 さらに重要なことは、増収額の大きさである。アマゾン・ジャパンの推定総取扱高の増加額は16年で3000億円超に達しており、これは小売業トップのセブン&アイ・ホールディングスの増収額のほぼ2倍である。

 それでは、アマゾンの影響を受けにくい小売企業はどんな企業なのか―。野村証券の小売りアナリストは、次の企業を挙げている。

 小売業の付加価値のうち、売り場の価値より商品の価値がより重要になる。代表的には、素材から製品までを自社と提携企業で行い、差別化するファーストリテイリングのような企業。

 また、セブン-イレブンのように小商圏を相手にし、アマゾンのような大商圏相手と差別化できる企業。さらに、アパレルの売り場を縮小し、飲食・食品販売、サービスの売り場を広げるなど、売り場構成を柔軟に変更し、電子商取引(EC)化の波をかわしている丸井グループなどである。

 今回取り上げる丸井グループはこのほか、靴のプライベートブランド(PB)商品の体験ストアを開始して注目を集めている。

 すなわち、消費者は店頭で試着して気に入った商品を決めると、その場でネット注文し、商品が自宅に届けられる仕組みになっている。導入した実験店では在庫スペースが節約され、坪当たりの売り上げは従来に比べ1・3倍になったとされる。

 加えて、丸井グループ独自のフィンテック(金融とITの融合)事業がある。すなわち、クレジット利用の多い若い世代の顧客を主体にして、割賦手数料、消費者ローンの利息収入など金融から利益をあげるビジネスモデルである。

 16年度からスタートした5カ年計画では、最終年度の20年度には連結営業利益500億円以上(16年度実績312億円)、株主資本利益率(ROE)10%(同6・7%)以上を目指している。

 売り場構成の柔軟化、体験ストア、フィンテック事業と、ユニークな経営を行う丸井グループに注目してみたい。
(文=海津政信 野村証券金融経済研究所シニア・リサーチ・フェロー兼アドバイザー)