高生の「自殺率」急上昇の原因は「スマホ依存」だった(depositphotos.com)

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 電車の中で向かいの座席を見ると、横一列、全員がスマホに熱中──。そんな光景も決して珍しくはない昨今。登場してわずか10年あまりで、もはや我々はスマホのない生活を想像できないほど、この機械に依存するようになってしまった。

 そんななか、米サンディエゴ州立大学心理学教授のJean Twenge氏らが、ショッキングな研究結果を発表した。米国でスマホが一気に普及した2012年を境に、米国内で中高生の抑うつ症状や自殺念慮の経験者、自殺者が急増したというのだ。

2010〜2015年で中高生の自殺率は31%上昇

 Twenge氏らが米国の中学2年生〜高校3年生の男女計50万人超を対象に、抑うつ症状や自殺念慮の経験と、インターネットでのソーシャルメディアの使用状況を調査し、13〜18歳の男女の自殺に関する米疾病対策センター(CDC)の統計データと関連づけた。

 その結果、2010年から2015年までに中高生の自殺率は31%上昇しており、特に女子では65%上昇したことが分かった。また、抑うつ症状を経験したことがある中高生の割合も、女子では2010年の16.7%から2015には26.4%と急激に上昇している。

 さらに、自殺念慮や自殺企図といった自殺につながりうる経験について調べた。その結果、スマホやパソコンなどのデジタル端末を使用する時間が1日当たり1時間未満の中高生では29%に対して、2時間だと33%、そして5時間以上になると48%と、明らかに上昇している。

 抑うつ症状の経験者の割合も、端末の使用時間が長くなるほど高まることも明らかになった。

 この調査結果を分析したTwenge氏は「今回、2012年を境に13〜18歳の中高生、特に女子中高生で抑うつ症状や自殺につながりうる経験、自殺による死亡が急増したことが分かった。

 これはスマホが普及した時期とちょうど一致する」とし、さらに「親は子どもにスマホの使用を1日2時間まで制限し、寝室にはスマホを持ち込ませないという対策を取るべきだ」と提言した。

依存しやすさの背景にはアクセスの容易さ

 この報告についての米国の専門家たちの反応は「さほど驚くべきものではない」というものだった。米ミシガン大学のScott Campbell氏は「食べ物やアルコール、セックス、買い物などと同様に、インターネットの使用も過剰になると有害だ」とコメントしている。

 依存症にはさまざまな種類があるが、「対象となる物質や行動に、いかにアクセスしやすいか」が依存症患者の数と大きく関連しているのは確かだ。

 日本では、アルコールの手に入りやすさや、どの街中にもパチンコ店があることが、アルコール依存症やギャンブル依存症の患者数が高止まりしている背景となっていると指摘されて久しい。

 スマホ依存がやっかいなのは、どの依存症の対象物と比べてもアクセスしやすい。つまり、いつでもどこでも使い続けていられるということ。スマホ依存の広がりが深刻さを増し続けているのはある意味必然なのだ。

 日本は、15歳から39歳の若年層の死因の第1位が自殺となっている、世界でも極めて特殊な状況にある国だ。中高生にとってのスマホ依存が自殺と関連していることを証明した今回のアメリカの研究結果は、日本にとってもいっそう憂慮すべきニュースだと言える。もはや対策は急務である。
(文=編集部)