<パナソニック・トヨタ自動車>前半、平野(左)を振り切って軽やかに突進する山沢(右)

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 ◇ラグビー日本選手権兼TL決勝T準決勝・TL総合順位決定T第1節 パナソニック17―11トヨタ自動車(2018年1月6日 大阪・ヤンマースタジアムほか)

 パナソニックはトヨタ自動車を17―11で破り、2季ぶりの優勝に王手をかけた。主戦SOベリック・バーンズ(31)をケガで欠いたが、代わりに先発した山沢拓也(23)が随所で好判断を見せて2トライを演出。今季最少得点に抑えられながらも接戦をものにした。また、昨季王者のサントリーは49―7でヤマハ発動機に圧勝。決勝は13日、東京・秩父宮ラグビー場で行われる。

 口数が少なく、冷静沈着に見える山沢だが、試合前は緊張していた。キックオフでいきなりダイレクトタッチ。その後もキックミスを犯し、思わず天を仰いだ。筑波大の先輩でもあるWTB福岡が「ああいうかわいいところもある」と評す慌てぶり。しかし序盤のミス連発で、将来の日本代表SO候補のスイッチが入った。

 3点を追う前半13分、ゴール前のチャンスで福岡へ2人飛ばしのパス。逆転のトライをアシストした。その後はスピードの強弱を付けたランニングで何度もゲインを破るランを披露。同36分にはパスダミーから防御ラインに鋭く切れ込み、サポートしたCTBイオアネにラストパス。トライ以上に価値ある2アシストだった。

 「(先発が決まった)1週間前から緊張してた。最初にやらかしたので途中からは思い切ってやりました」

 試合終了直後にはロビー・ディーンズ監督の元へ足を運び、即席反省会で助言を求めた。指揮官も「素晴らしい。10番の選手は経験を肥やしにすることで成長する」と評価する。今季は13戦全勝だったレギュラーシーズンは全試合出場も、先発は3試合にとどまった。躍進著しいトヨタ自動車を相手に、負けたら優勝の可能性が潰(つい)えるトーナメント準決勝は重荷だったが、向上心あふれる行動が23歳を成長させている。

 バーンズのケガの状況次第では、決勝も先発の可能性が高い。昨季の日本選手権もケガの正SOの代役を務めたが、チームを頂点に導けなかった。「去年は負けている。優勝してシーズンを終えたい」と山沢。静かな口調で語る瞳に炎が燃えていた。