前橋育英のDF渡邊泰基、DF角田涼太郎、DF松田陸、DF後藤田亘輝【写真:編集部】

写真拡大 (全2枚)

準々決勝で米子北に3-0で快勝、インターハイに続き4強進出を決める

 全国高校サッカー選手権大会は5日、各地で準々決勝が行われ、前橋育英(群馬)は米子北(鳥取)に3-0と快勝し、準決勝へと駒を進めた。

 前橋育英は昨夏のインターハイに続くベスト4進出。昨年も選手権で決勝進出を果たしており、2015年度は準々決勝敗退を強いられたが、2014年にも準優勝を収めている。一発勝負の戦いでは実力が伴わないケースも往々にしてあるが、前橋育英に関してはここ数年、上位進出を磐石なものとしている。

 なぜ、前橋育英は全国大会で一定の成績を収め続けることができるのだろうか? そのヒントとなる要素を最終ラインの4人が握っていた。

 最終ラインを務めるのは、右からDF後藤田亘輝(3年)、DF松田陸(3年)、DF角田涼太郎(3年)、DF渡邊泰基(3年)の4人。彼らは決勝まで進んだ昨年の選手権でも2年生にして全員が主力の座を勝ち取っていた。1年以上に渡り同じ4人で組んできたこともあって、他チームに比べ、連携面において頭一つ突き抜けている。

 さらに、松田はガンバ大阪、渡邊はアルビレックス新潟への加入が内定済み。それぞれ個の力が上積みされ、昨年よりもアップグレードされた、死角のない最終ラインを形成するに至った。準決勝の舞台に駒を進めるまで無失点を維持しているのは、インターハイ王者の流通経大柏、そして前橋育英だけだ。

徹底された「無理をしない」のスタンス…割り切るドライで大人なサッカー

 磐石の最終ラインに、ここ最近の前橋育英が好成績を残すことができている理由について尋ねると、4人全員が口を揃えて語ったのが「無理をしない」ということだった。

「試合が終盤に差し掛かるにつれて、徹底して相手の背後にボールを入れて、そこでキープするようにする。敵陣でボールを維持するのが方針です」

「試合の終わらせ方ははっきりするようにしている。繋げて取られて失点は一番避けたいので、コーナーフラッグ目掛けてボールを蹴って、前線に収められる選手がいるので、そこで時間を使うように。無理をせずに大きくクリアを躊躇わず蹴り続ける」

「ラスト10分になったらはっきり割り切ることはセオリーとしている。スマートに終わらせるように。高い位置でボールを回すように、落ち着いて終わらせる」

 後藤田、松田、角田がそれぞれ共通したスタンスを示し、チームの中でいかに方針が徹底されているかが伺える。たとえ1点のみのリードだとしても、終盤に差し掛かれば僅かで脆いリードを守り切るべく、高校生らしからぬドライなゲームメークで淡々と試合を終わらせる。

 最終ラインが落ち着いたプレーに徹することを決めたのには昨年のインターハイでも少なくない影響があったようだ。

教訓となった昨夏の流通経大柏戦…悲願の頂点へ、あと2勝

「去年のインハイは高い位置で向かってきた流経大柏に応戦してしまった。前がかりになったことでつられてしまい、裏を取られることになった。あの経験もあって、もっと大人なサッカーをしようと取り組んできた」(角田)

 インターハイ準決勝の流通経大柏戦。激しい攻防のやり合いからヒートアップしたところを、セットプレーでゴールを奪われ、そのまま敗戦。「今考えれば、最初から最後まで相手に合わせてしまって、自分たちのリズムではなかった」と角田は振り返った。

 一方、渡邊も試合運びについては「最後の局面でリスクは負わないように統一している」と3人と同様のテーマを口にした上で、「大会の結果だけ見れば上位で終えているが、勝負所では勝てていないし、インターハイ準決勝も結局は惜しいところで負けている」と、常勝校にも関わらず優勝までは辿り着けていない状況に危機感を抱いていた。

 4000校以上のチームの中で48校が選手権に参加し、その中で前橋育英が2年連続でベスト4進出を果たしているという事実は、それだけで充分に立派で価値のある成績だと言える。しかし、悲願の優勝を手にするには、ここから先が今までの殻を破る、本当の戦いが待ち受けていることになる。(THE ANSWER編集部)