CO2排出枠の価格急騰、企業の購買意欲高まる

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 二酸化炭素(CO2)排出削減価値を取引可能にしたクレジット市場が活況だ。国の「J―クレジット制度」の2017年度の利用量が12月上旬時点で88万トンとなり、4カ月近くを残して年度別の過去最高を更新した。15年の「パリ協定」採択後から大量購入していた電力事業者に続き、企業もクレジットを買い求めている。在庫が払底した仲介業者もあるようで、価格も急騰している。

 J―クレジットは、中小企業の省エネルギー対策や森林整備などで削減できたCO2量を取引できるクレジットにする制度。CO2削減に取り組んだ中小企業はクレジットを売り、設備投資の一部を賄える。クレジット購入者は自社の排出量の削減分に加えられる。

 12月上旬までの利用量は、パリ協定の採択があった15年度年間分の4倍に膨らんでいる。電力事業者による「排出係数調整」が最も多い用途となっている。係数調整は、クレジットの利用によって販売する電気のCO2量を減らす仕組み。低CO2で差別化したい新電力が増えている。

 足元では企業の購入意欲が高まっている。リコーや富士通など大企業がCO2の大胆な排出削減目標を次々と打ち出し、サプライチェーンに連なる取引先が仲介業者に殺到。新電力が購入しようと思っても品薄のようだ。

 価格にも動きが出ている。国は4月、50万トンのCO2削減分のクレジットを入札にかけると86万トンの応募があった。当時の平均落札額の1トン当たり908円が民間取引の目安だったが、仲介業者のカーボンフリーコンサルティングでは「1500―1600円でも購入したい新電力がいる」(池田陸郎取締役)。

 次回の18年1月下旬の入札から、再生可能エネルギーと省エネのどちらで削減したクレジットか選べる。再生エネによる削減価値を求める企業が増えているようだ。再生エネ価値を電力事業者が調達できる「非化石価値取引市場」が18年度、本格的に始める。クレジット市場に与える影響に注目だ。