青山学院大学が4連覇を達成した今回の箱根駅伝

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注目された2区の「エース対決」が不調に終わり、期待された1時間6分台の争いが見られなかった今年の箱根駅伝。あらためて認識させられたのは、「山の区間の重要性」、つまり5区と6区での戦いだった。



新コースになり、それまでの23.2キロから20.8キロになった昨年の5区は、どの大学も手探りの状態で、かつてのような大どんでん返しで勝負を決めるというシーンはなかった。



昨年の5区で見どころだったのは、1時間12分46秒の駒沢大の大塚祥平が18位から5位にあげてシード圏内に入り、14位でタスキを受けた上武大の森田清貴が1時間12分49秒で8位まで上げたくらい。かつてのような勝負区間ではなくなったように見えた。



だが今年は、山が重要な勝負区間であることをあらためて示す結果になった。まず、1区から突っ走った東洋大に4区終了時点で2分3秒差を付けられていた青山学院大は、竹石尚人(2年)が1時間12分49秒で走り、東洋大との差を36秒まで詰めて逆転を決定づける要因となった。



法政大は、青木涼真(2年)が5区の区間新となる1時間11分44秒で走り、順位を14位から5位にまで上げてシード権獲得を確実にしている。また、1時間12分17秒で細谷恭平(4年)が走った中央学院大も16位から11位に上げて、前とのタイム差を詰めてシード権争いに割り込み、早稲田大も安井雄一(4年)が1時間12分4秒で走ったことが3位を死守する貯金となって現れたのだ。



逆に、4区まで3位だった神奈川大は、5区で区間最下位となって大ブレーキになり、優勝戦線どころかシード権争いからも大きく後退する結果になった。



今回の各選手の区間記録を見れば、前回は区間3位が1時間13分8秒だったのに対して、今年は同タイムで2名いた5位までが1時間12分49秒以内で、7位も1時間13分1秒。各大学の監督が5区の走らせ方を理解したことで、レベルが一気に上がってきている。



さらに、今回の箱根駅伝で明確になったのは、勝つために、あるいはシード権を確実にさせるためには、山下りの6区の戦力も5区とセットで持っていなければいけないということだろう。



優勝した青山学院大には前回、6区の区間2位の58分48秒で走った小野田勇次(3年)がいて、今回その小野田は6区の区間賞獲得の58分03秒で走り、区間5位と合格点の59分31秒の走りをした東洋大の今西駿介(2年)を逆転した上に、52秒差まで広げて総合優勝を決定づけたのだ。



また、5区の青木が快走した法政大も、前回6区で58分52秒だった佐藤敏也(2年)が今回、58分49秒で走って順位を4位に上げている。



ちなみに、法政大は1万m上位10人の自己ベスト平均ランキングが、29分22秒17で全20チーム中18位。それでも今回6位になったのは、“山の大砲”がキッチリ2門揃っていたからだ。



往路9位と力を発揮できなかった東海大も、6区では中島怜利(2年)が区間2位の58分36秒で走って5位に上げ、2位争いに加わるまでの勢いをつけた。帝京大も往路12位ながら、横井裕仁(3年)が区間4位の59分20秒で7位まで上げてシード権争いに踏みとどまった。また、5区で順位を上げた中央学院大も、樋口陸(3年)が区間6位の59分47秒で走ったことが、ギリギリの10位でシード権を獲得した要因になっている。



そうした山の区間の来年の状況を考えると、王者・青山学院大は竹石と小野田がさらにレベルアップして強力になりそうだ。また、法政大の青木と佐藤はともに2年で、あと2年間はシード権争いでも優位に戦っていける可能性が高い。



2019年は「打倒・青山学院大」を狙う立場でもある東海大の中島は2年で、東洋大の今西駿介も2年。ふたりとも来年以降も走る可能性が十分なだけに、両校の課題は今回、1時間14分台だった5区を1時間12分台で走れる選手を育成し、この2区間でのダメージを最小限に抑えて、平地での走力争いに持ち込めるかだろう。



距離が23.2キロに伸びる以前の5区の区間記録は、今井正人(当時・順天堂大)の1時間9分12秒。さすがにその再現は難しいだろうが、5区の1時間12分台と6区の58分台は今後、総合優勝するためのひとつの目安になりそうだ。



(取材・文/折山淑美 写真/YUTAKA/アフロスポーツ)