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シトロエンSM(フランス)

ドアに記されたジャンダルムリの文字は、軍が所掌する国家憲兵隊(軍警察)であることを示すが、民間への警察権も有し、銃器も車輛も国家警察より良いものが支給される傾向にある。このシトロエンSMは、1970年代初頭にBRIこと高速道路警備隊へ配備されたもの。エンジンは、170psを発生するマセラティ製V6を搭載する。

フォルクスワーゲン・ポリツァイ・カブリオレ(ドイツ)

ポリス用カブリオレとして知られるこの車輛は、まさにドイツ警察専用に開発された。社内呼称はタイプ18A。機械面は、25psのフラット4エンジンも含めて、通常のビートルと共通だ。ただし、ドアとルーフを取り払ったのに伴い、シャシーは強化されている。一般向けのビートル・カブリオレも手掛けたドイツのコーチビルダーであるヘブミューラーが製造し、その数は482台といわれている。1950年代初頭には、同様のモディファイを行った他のコーチビルダーもあった。

フォード・マスタング・インターセプター(アメリカ)

アメリカのチューナーであるスティーダ・オートスポーツは、20年以上にわたって覆面車も含むパトカーを供給してきた。2016年に発表したこのマスタング・インターセプターは、リヤアクスルはリジッドか独立懸架が、5.0ℓV8エンジンは自然吸気か機械過給が、それぞれ選択可能。自然吸気仕様は497ps、これにウィップル製スーパーチャージャーをボルトオンした仕様は788psを叩き出す。

ローバーSD1(イギリス)

4気筒と6気筒のいずれもがパトカーとして多く採用されたSD1は、一般的な警察業務に従事した。ただし、3.5ℓV8仕様はハイウェイポリスに配備され、1980年代の英国の道路を支配する存在となった。後に、最上級機種のヴィテッセも導入されたが、税金の無駄遣いと非難されるのをかわすためか、グレード名を示すバッジは取り付けられなかった。

ポルシェ911(993・ドイツ)

1996年7月15日、ポルシェの生産台数は100万台に到達した。彼らはその記念すべき一台となった、993型911カレラを警察へ寄贈。アウトバーンでの速度取り締まりに従事した後にポルシェのもとへ返還され、現在ではミュージアムの一角を飾っている。

フォード・カプリ2.8i(イギリス)

グレーター・マンチェスター警察のお気に入りだったこのクルマを、ある退職警官はこう振り返る。「追跡車輛として使われていた間、カプリは負け知らずだったよ。ドライ路面では無敵だった。ただ、ウェットではねぇ……オーマイガー!ってところかな。コーナーで踏みすぎると、すぐにリヤが回りたがってねぇ。冬なんか、ケツを滑らせないために、装備品を下ろして砂袋を積むこともしょっちゅうあったもんさ」。

ポルシェ356(オランダ)

ポルシェ356はかつて、ドイツ本国はもちろん、ベルギーやオランダ、オーストリアなど、欧州各国の警察でパトカーに採用されていた。オランダでは40台ほどが導入されたが、現存するのは3台だが、そのうちの1台は2014年10月のボナムス・オークションに出品され、23万5000ユーロで落札された。

三菱ランサー・エボリューションX(イギリス)

サウスヨークシャー警察はエボ式聞漾▲薀鵐┘椶瞭各を続けてきた。速さと足元の確かさを兼ね備え、5人乗車が可能なランエボは、交通パトロール用の車輛としては究極の一台といえる。

フォードRS200(イギリス)

生産台数はたったの153台、253psのBDAターボをキャビンの背後に積むグループBのヒーロー。RS200を導入しようと考えたのはエセックス警察だが、冷却面に大きな問題を抱えるだけに、数時間しか実用に耐えないと彼らがみなしたことは歓迎したい。

フォード・フォーカスRS(イギリス)

フォードのラリーキングといえば、フォーカスRSも忘れられない。フォードは2016年末、警察車輛を想定したコンセプトカーを製作。可能性を示したが、フォーカスRSの生産自体が少量限定なので、パトカーに回せる台数も限られるだろう。もっとも、その方がありがたいのだが。

スバル・インプレッサ(イギリス)

コスワース・チューンのフォードをチョイスした警察がなかった時にも、そのライバルというべきハイパフォーマンスカーを導入したところはある。ハンバーサイド警察の場合、選んだのはターボユニットを積んだインプレッサだった。

フォード・シエラRSコスワース(イギリス)

220ps+4WDで240km/hオーバーに達する実力を秘めた、コスワース・チューンのシエラ。これこそ、速く洗練された逃走車を手に入れた犯罪者を追うために、警察が求める条件を備えたクルマだった。

ルノー・メガーヌRS(フランス)

これは、単なるデモカーではない。ジャンダルムリ仕様のメガーヌRSは、フランスのハイウェイではごく普通に見かける。2011年以来、ルノーの最強・最速モデルは速度取り締まりでそのターボユニットの威力を見せつけてきた。かつてジャンダルムリは90psそこそこのターボディーゼルを積むプジョー・パートナーを使用していたが、それよりずっと彼らの任務に適したクルマを、ルノースポールは提供している。

メガーヌRSのフルモデルチェンジは目前だが、いまのところジャンダルムリからのオーダーは入っていない。あまりにも維持費がかさむので、今後は没収した高性能車を使用するのではないかとの推測もささやかれている。

フォード・エスコートRSコスワース(イギリス)

シエラRSコスワースの後任となったのが、同じくコスワースに鍛えられたエスコートだった。ラリーカーのホモロゲーションモデルで、233psの2.0ℓターボを搭載し、四輪を駆動する。外観こそエスコートだが、シャシーは前任のシエラRSコスワースを受け継ぐものだ。写真は、イングランド北部のノーサンブリア警察で使用された車輛だ。

ダッジ・バイパー(アメリカ)

この2000年式バイパー、元のオーナーは違反車だった。イリノイ州のプレインフィールドで、制限速度56km/hのところを200km/hオーバーで走行し、警察の手を逃れようとするもあえなく御用に。愛車は没収され、哀れハイウェイパトロールのクルマに姿を変えられてしまったのだとか。

ポルシェ911タルガ(ベルギー)

エルキュール・ポアロとタンタンの故郷にして、旨いビールの産地といえばベルギー。彼の地でかつて用いられた警察車輛は、なかなかに興味深い仕様だった。911のパトカーは、356も導入していたドイツなどの欧州各国の警察で使用されていたが、リヤワイパーとタルガトップを備える911Tというのは、他ではまずありえない。ところで、ここには3人の警官が写っているが、自分がこの中にいたら、フロントシートを争う椅子取りゲームになんとしても勝利したい。911のリヤシートは、とてもじゃないが大人が耐えられるような空間ではないからだ。3人乗りの貧乏くじを引いたら、待っているのは悪夢のような時間だ。

フォード・コーティナ・ロータス(2代目・イギリス)

初代ロータス・コーティナを導入した警察もあったが、その2代目も1.6ℓのロータス・ツインカムを積み、速く愛すべきフォードのホットなセダンだった。もっとも、先代ほどに興味を掻き立てるものではなかったが。

BMWイセッタ(ドイツ)

かつて、V8を積んだBMWを導入していた頃のドイツ警察でも、そのドライバーズシートに座れるのが限られた精鋭のみだったことは先に述べた。その選にあぶれた場合、あてがわれるのはたいていが、このちっぽけでパンダを思わせるファニーな顔立ちのバブルカーだ。298ccの2気筒を積むイセッタに、速さを求めるのは無理な相談だ。とはいえ、これはこれで面白いクルマなのだが。

アルピーヌA110(フランス)

最後に、われわれが最も興味をひかれたパトカーを紹介しよう。アルピーヌA110だ。ジャンダルムリに少数ながら導入された1960年代末、フランス政府は速度制限の厳格化を主張。曖昧に示唆するのではなく、法的な強制力を持つ指示が、この高性能パトカーの支給とともに下された。事態を重く見なかった一般ドライバーたちは、このA110を駆るジャンダルムリに容赦なく捕らえられたのである。それは、こんな和やかな写真が残っているのさえ驚きだというほど厳しいものだった。果たして新生A110は、その歴史を現代に蘇らせるのだろうか。