料理バトルを楽しむ観客で大盛況(筆者撮影)

昨年11月、東京・永田町のイベントスペースで「COOK BOSS」と名付けられた、風変わりなイベントが開かれた。

素人料理男子が繰り広げる料理バトルが大盛況

繰り広げられたのは料理バトル。かつてフジテレビで放送されていた「料理の鉄人」を彷彿とさせる内容だ。ただし、そこで料理の腕を振るったのはプロの料理人ではない。営業、事務、エンジニア、医療、クリエイティブなど本業を持ちながら趣味の料理にも情熱を注ぐ、いわゆる素人料理男子たちだ。

ワンドリンク+選手の料理が食べられる審査権が4000円。「素人料理人の対決を誰が見に来るんだ?」と思うなかれ。会場は、まさに大盛況。シングル、カップル、男性同士、女性同士などさまざまだった。

この「COOK BOSS」はamidusの主催で2016年に第1回が東京で開催され、2017年は大阪で第2回、第3回、そして今回の東京開催が第4回となった。


観客が勝敗を決める(筆者撮影)

今回の対決は、「リーデル&フーディーズ」(「RIEDEL」の料理男子を中心に高校時代の仲間で結成された料理男子チーム)vs.「Team『buono』」(耷出版社の料理男子向け雑誌『buono』の編集部チーム)。2人組のダブルスで対決し、試合時間は60分。事前に発表したテーマにおいて必要な食材をチームが持ち寄り、観客50名分の調理を行う。持ち込める仕込み食材は3品まで。そして、料理を食べた観客50名がおいしさで採点をし、コインを投票して、重さで勝者を決定する。

今回の模様は1月24日の深夜に読売テレビ「戦う!料理男子 COOK BOSS Round2」として関西地区で放送予定だ。(放送終了後は読売テレビ公式無料動画ytv MyDo!にて視聴可能)。調理開始から60分後の完成まで、あっという間に過ぎていった。

本イベントを主催したamidusは国産農林水産物の消費拡大に向けた国民運動「フード・アクション・ニッポン」の推進パートナーを務めている。それに関連して会場にゲストとして参加した農林水産省の西経子課長は、「料理男子は日本産食材の新たな可能性を打ち出すと確信している」と話した。対戦結果は、番組放送当日まで公開できないが、次回開催が待ち遠しいほど、楽しいひと時であった。


協賛企業の味噌やワインなどを用いる縛りで、企業PRも(筆者撮影)

家庭で料理を行う「料理男子」が増加している。テレビをつければ、俳優やタレントの男性陣が厨房に立ち、料理を振る舞う番組が放送され、出版業界でも男性向けの料理雑誌が花盛りだ。

日清オイリオの生活科学研究グループが2015年に発表した調査では、日常的に料理をする既婚男性は、53%と前回の2009年の調査時よりも8ポイント増加した。料理というと家庭料理を連想される人も多いかもしれないが、そもそも料理業界は男性が圧倒的に多い。飲食店はとても重労働であり、体力も必要だ。長年の労働を経て昇格していく業界構造もあるためだ。

料理男子が料理をする理由

amidusは本大会の開催に先駆け、料理男子の実態を調査した。それによると、料理男子が料理をする理由の1位は54.5%で「料理自体が好きだから」。次ぐ2位以下は、49.5%で「相手を喜ばせたい」、3位が28.3%で「ストレス発散」など、日々の「消費」としての料理ではなく、「趣味」としての傾向が現れた結果になったそう。

amidusの調べによると、料理男子は料理にこだわり始めると、「自分の趣味」としてとらえ、「趣味費」としておカネを使う傾向がある。たとえば1年間でキッチン用品、キッチン家電にかける金額は、男性全体では1万4640円、女性全体では1万2760円と大差はないものの、じっくり料理層(料理時間が3時間以上、男性全体の2.7%、女性全体の2.0%)を比較した場合、男性はキッチン用品、キッチン家電に3万5833円/年(平均の2.45倍)かけているのに対し、女性は7500円/年(平均の0.59倍)しかかけていないそうだ。


バトル料理のほかに、カレーも提供された(写真:amidus)

「今回の調査で、生活費から捻出される、エンゲル係数に縛られた、生活のための料理ではなく、趣味費で料理をとことん楽しむ料理男子を盛り上げていけば、料理業界の活性化につながる」。amidusのSNS「.cook」と「COOK BOSS」の事業ディレクター浦田友恭氏は語る。

筆者も以前、ラーメンと丼もののレシピ本を出版したことがある。みずから食材を吟味、購入し、調理し、そしてみずから味わうという行為が、食欲とはまた違った楽しさを生むと感じた。あくまで素人料理男子がつくった料理でも、知り合いなどに味わってもらい、褒められたりすると、それだけでとても嬉しくなる。しかも、みずから調理をすることで、今まで外食で味わってきた料理の組み立てや、味の方向性などがよりわかるようになり、さらに外食も楽しくなるという利点もある。

未知との遭遇こそが料理における永遠のテーマ


赤ワイン、白ワインなどもフリースタイルで提供(写真:amidus)

実際に大会の出場者であるリーデル&フーディーズの2人も次のように語っている。

「料理をする際に発想した味のコンビネーションが、想像以上に美味しかった時に喜びを感じるし、経験したことのない新しい美味しさに出合うと、その味を自分流にアレンジしてみたくなり料理したくてウズウズしてしまう」(ワイングラスメーカーに勤める白水健氏)

「友人に振る舞い、共有し研鑽しあう事が何より楽しい。料理をする中で、新しい組み合わせで生まれる相乗効果、意外な発見を体験すること、まさに未知との遭遇こそが料理における永遠のテーマだと思っています」(同勤務の本橋博氏)

プロの料理人がつくる料理もいいが、素人料理男子ならではのワイルドな仕上がりも、それはそれでまた一興だ。イベントを通して料理男子がますます増加するのではと予感した。