バンダイの「うんこ漢字ドリルグミ」(2018年1月発売予定の新パッケージ)

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「日本一楽しい漢字ドリル」というキャッチフレーズで、2017年3月から発売されている『うんこ漢字ドリル』(文響社)。シリーズ累計280万部以上を発行する大ヒットを記録し、「教育書の革命」ともいわれている。

「うんこ」という単語がすべての例文に用いられていたり、「うんこ先生」なるオリジナルキャラクターの独特な解説があったりするなど、子どもたちに飽きさせない工夫が大ヒットを後押ししたことは、いうまでもないだろう。

 そんな強烈なインパクトを誇る『うんこ漢字ドリル』の名を冠した菓子商品が、17年11月から発売されている。11月にグミが発売されると、翌月の12月にはソフトキャンディも発売されたのだが、これらの発売元は玩具メーカーとして知られるバンダイだ。

 17年度上半期の売上高は3088億円と、前年同期比で143億円増のバンダイナムコグループ。そんな好業績の玩具メーカーが、なぜ『うんこ漢字ドリル』の菓子商品化に乗り出したのか? また、必然的に食品の名称に「うんこ」という言葉を冠することになっているが、躊躇はなかったのか?

 バンダイのキャンディ事業部で同商品の開発を担当した鈴木綾氏に話を聞いた。

●グミ&ソフトキャンディ化の裏に深い理由

「基本的に、テレビや漫画といった枠は関係なく人気キャラクターを商品化して打ち出していくのが、弊社のスタンスなのです。そして、小学2年生の我が子が楽しそうに『うんこ漢字ドリル』で勉強している姿を見ていたこともあり、菓子商品化すれば『絶対に売れる』という自信があり、企画を立ち上げました。

 ただし、やはりインパクトのあるモチーフと言葉ですから、弊社の倫理担当者とも議論を重ねた上で、『うんこ漢字ドリル』という“学習書”の『世界観を再現する』というスタンスを守っています」(鈴木氏)

 グミは一つひとつが「うんこ先生」の形状をしており、「レア」として通常の約2倍サイズの「ビッグうんこ先生」が入っている。味についても「『うん!』コーラ味」(グミ)、「うん!ころころ ブドウ味」(ソフトキャンディ)という徹底ぶりだ。

 そもそもグミとソフトキャンディという素材を選んだ理由について、鈴木氏は次のように語る。

「グミとソフトキャンディが商品の対象年齢である小学生ぐらいの子どもたちに人気のお菓子であるということはもちろんですが、『うんこ漢字ドリル』の世界観やうんこ先生のやわらかさなど、特徴を表現するのに最適な素材だったためです。

 特にグミについては、『うんこ漢字ドリル』において最初の“食べられる商品”ということで、とても注力しました。グミの形状についても、『遠くから見てもうんこ先生とわかるように!』とうんこ先生のフォルムにこだわり、原型を何度もつくるほどこだわりましたね」(同)

 こうして、あくまで“学習書のキャラクター”という部分を前面に押し出すことで、消費者に「“うんこ”という概念にとらわれて、下品なものを食べている」とは思わせない絶妙なお菓子が完成したのだろう。

「しかし、いくら“学習書のキャラクター”とはいえ、当初は社内からもモチーフに対して反対する声が少なからずあったのは事実です。モチーフがモチーフだけに、『本当にお菓子にしてもいいものなのか』という心配の声ともいえますね。

 ただ、企画立案早々の企画会議で、商品をイメージしやすいサンプルをつくって見せたことが功を奏したのだと思います。最初期の企画書内にもイラストを付け加えるなどしてイメージしやすいようにしていましたが、それでもなかなか商品のイメージが湧きにくいということで、レジン(グミに感触の似た樹脂)でサンプルをつくり、納得してもらって企画を通すことができたのです。

 もちろん、漢字ドリルとして例文のおもしろさがあり、その人気を証明するように『シリーズ累計200万部突破』といった追い風となるニュースがあったため、『流行っている』という世間的な空気感も、後押ししてくれたのだと思います」(同)

 こうして17年11月に発売されたグミは当初から人気を博し、発注数も上々だったという。

●食玩商品でトップシェアを誇るバンダイ

 そもそも、「なぜ玩具メーカーとして知られるバンダイが、菓子を発売しているのか」と疑問に思う人もいるかもしれないが、同社の事業内容は子ども向け商品全般。実はスーパーマーケットなどに並んでいる食玩食品(おまけ付きのお菓子)では国内トップシェアを誇っているのである。

 また、これまでにもアニメ『妖怪ウォッチ』(テレビ東京系)から派生した「妖怪チョコボー」「ジバニャンのチョコボー」などの商品をヒットさせている。そういったキャラクターを起用した商品を成功させてきた実績を考えると、バンダイが『うんこ漢字ドリル』の菓子商品化を実現させたという事実も、“文脈的”に納得できるだろう。

 最後に『うんこ漢字ドリル』の菓子商品シリーズの今後の展開について、鈴木氏に聞いた。

「特にグミは非常に好評をいただいており、18年1月からは新しいパッケージデザインで発売予定です。また、和菓子のねりきりでキャラクターを精巧に表現した『食べマス うんこ先生和菓子』が17年12月29日から全国のイオングループの店舗で発売されています」(同)

「うんこ」という言葉の概念にとらわれない遊び心から生まれた『うんこ漢字ドリル』のお菓子シリーズ。バンダイの企業方針とキャラクター戦略が功を奏した、非常にユニークな逸品といえるだろう。
(文=A4studio)