昨年の流行語大賞にも選ばれた「インスタ映え」。ファッションや食にとどまらず、今ではインテリアや収納もSNSで「いいね!」が競われています。でも、おしゃれな収納やインテリアがはやる一方で、安全面が軽視される傾向も…。整えアドバイザーとして整理収納の著書をもち、テレビ、雑誌で活躍する阪口ゆうこさんが「インスタ映え」ブームに警鐘を鳴らします。


見た目だけを重視した、「インスタ映え」するしまい方。じつは家族に危険をもたらすことも!

SNSを見ると、めちゃくちゃおしゃれな収納やインテリアの写真がわんさか。見ているこっちも、うらやましさで思わず身をよじるほど…。でも、なかには「うわ、これ大丈夫?」みたいなものもあります。
私の持論は、「収納に間違いも正解もない」。ですが、唯一、安全が担保されていない収納に関しては間違っていると言いたい! みなさん、インスタ映えより最優先で大切な「安全」を見失っていませんか!?(NG例1)見栄えが悪くて、あまり使わない重いものは、頭より高い位置に

・「あんまり使わなくて、見た目がいまいちな土鍋やホットプレート。キッチンのつり戸棚に、イスを使って、よっこらせと収納して隠しています」

そんな人は、ちょっと待った!出し入れする際にケガのリスクがある収納方法は、根本的に「間違った収納」。重いもの、大きいものや出し入れ困難なものは頭上に置くのはNGです。

「出し入れのときだけがんばればいいか」という安易な考えはケガを招くもとなので要注意!写真映えしないからと隠すこと自体はよくても、しまう位置には気をつけましょう。(NG例2)コンロ周りはサッと手に取れるつり収納に

・「料理中にサッとツールを手に取れて便利だから、お玉やターナーをブラブラつり収納に」

そんなキッチンを、よく見かけませんか? ひと目につくところだからグッズもいいものを選んで、配置もおしゃれに見えるように…という話も聞きます。

ここで注意したいのは、火傷を負うかもしれないという危険性。ガスコンロ周りに手を伸ばして衣類に服が燃え移るケースを間近に見たことがあります。その人の場合は、すぐに上着を脱いで大事には至らず、髪の毛がこげるだけですみましたが、いまだにかなりのトラウマに。

IHコンロの場合でも、熱い鍋やフライパンが近くにあるので、火傷のリスクは否定できません。ブラブラ収納は、火を使わない水回りなどに応用するのが正解。コンロ回りに設置したい場合は安全性を十分に確保したうえで行いましょう。(NG例3)収納グッズも手づくりで自分らしく

・「壁に棚をつけて見せる収納しています」「100均のアイテムを接着剤でくっつけてお手製収納を楽しんでいます」などなど…

インスタ映えといえば、手づくりインテリアのDIYも流行中。
でも、そうしたグッズの強度を、あなたは過信しすぎていませんか? また、DIYに関するテクニックや知識は、安全面でも問題ないでしょうか。

具体的に言いましょう! その棚に陶器の人形を飾っても大丈夫? そんなに重そうなものぶらさげたら壁ごとダメになっちゃわない?

「これぐらいなら大丈夫でしょ」と思わずに、製品の耐荷重や本来の用途はきっちり守りましょう。そして、DIY術もしっかりとした指導を受けてみませんか。販売製品の安全性はチェックする習慣がある人でも、自分がつくったものについては、評価が甘くなるものです。(NG例4)子どもがいてもおしゃれなインテリアは譲れない!

・「小さな子どもがいたって、おしゃれに暮らしたいんだもん!」

わかるわかるよ! 私もそうだった!
テーブルの四隅にはりつける赤ちゃんガードとか、コンセントカバーとか、美観を損ないますもんね! でも、大人目線でインテリアを楽しむのは本当に危ないです。そんな低いとこにペンやら置いてるの!? こんなところにハサミを置いてたらよじ登ってつかんじゃうよ! SNSを眺めていると、おしゃれと引き換えにヒヤヒヤするような収納が多いこと、多いこと。

「おしゃれまっしぐら」の収納を目指し始めると、とかくいきすぎがちに。そもそもすぐれた収納とは、他人から評価されるようなものではなくて、住まいをともにする家族から「いいね」と言ってもらうべきものなのです。今年は少し立ち止まって、家族目線の収納をもう一度考えてみませんか。●教えてくれた人
【阪口ゆうこさん】
整えアドバイザー。夫、小学生の長男、長女の4人暮らし。自宅セミナーで収納や時短家事など暮らしをスムーズに回す工夫をレクチャーする。著書に『家族がいちばん。だからきちんと選べる。きちんと使える。ゆるミニマルのススメ』(日本文芸社刊)がある。ブログ「HOME by REFRESHERS」では日々の工夫を発信中