韓国・平昌冬季五輪まで残り約1カ月。朝鮮労働党の金正恩委員長は新年の辞で代表団派遣に言及し、期間中の米韓合同軍事演習も回避された。しかし、朝鮮半島情勢は緊迫したまま。五輪の成否は金委員長の手に握られている。資料写真。

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2018年1月5日、韓国の威信が懸かった平昌冬季五輪まで残り約1カ月。朝鮮半島情勢の緊迫化で欧州諸国の一部が不参加をにおわし、一時は開催に黄信号が点滅した。朝鮮労働党の金正恩委員長は新年の辞で代表団派遣に言及し、期間中の米韓合軍事同演習も回避されたが、五輪の成否は金委員長の手に握られている。

平昌冬季五輪の期間は2月9日から25日までの17日間。北東部・江原道の平昌、江陵、旌善で開催される。スケート、スキー、バイアスロン、アイスホッケー、リュージュ、カーリング、ボブスレー・スケルトンの7競技、15種目で102個の金メダルを争い、95カ国・地域の選手約6500人が熱い戦いを繰り広げる。

施設建設が遅れ気味とも憂慮されたが、12の競技場と開・閉会式が行われる平昌オリンピックプラザは開幕3か月前に完成。聯合ニュースは「平昌と江陵の選手村も先ごろメディアに公開されるなど、大会準備は着々と進んでいる」と報じている。

「平和の祭典」の無事開催に腐心する韓国の文在寅大統領は少しでも緊張を和らげようと昨年末、例年2、3月に行われる米韓合同軍事演習の延期を提案。4日に米国のトランプ大統領と電話会談し、北朝鮮が軍事挑発を行わない限り、3月18日までのパラリンピック期間中を含め、回避することで合意した、

一方、金委員長は1日の新年の辞で平昌冬季五輪に触れ、「民族の地位を高める。大会の成功を心から望む。代表団派遣も十分に可能だ」と述べた。さらに、この問題を協議するため、南北の担当者が早期に会う必要性がある、とも強調。北朝鮮は3日、南北軍事境界線がある板門店の連絡ルートを約2年ぶりに再開した。

金委員長の発言を受け、韓国統一省は板門店で9日に高官級の当局者会談を開催することを提案。北朝鮮もこれに応じた。趙明均統一相は「北の平昌冬季五輪参加と南北対話の再開をめぐるモメンタム(勢い)を積極的に活用し、南北関係の改善と北の非核化進展に向けた環境づくりのため、さまざまな外交努力を傾注していく」と対話ムードづくりに躍起になっている。

しかし、金委員長は新年の辞で米本土を攻撃できる核弾頭を搭載した大陸間弾道弾(ICBM)の実戦配備を宣言。「核のボタンは常に私の執務室の机の上にある」と米国を威嚇するなど、強硬姿勢はそのままだ。北朝鮮の出方によっては大会に暗雲が立ち込める恐れも依然として残っている。

米国務省のナウアート報道官は2日の記者会見で高官級会談を提案した韓国政府の対応を尊重する考えを示す一方、「金正恩は米国と韓国の間にくさびを打つつもりかもしれない。真意には非常に懐疑的だ」とも指摘。平昌冬季五輪を利用して米韓関係に揺さぶりをかけようとしている可能性もあるとみて、警戒感をにじませている。(編集/日向)