守護神に専念してわずか1年、190センチの2年生GK相澤が示した可能性

 本格的にGKに専念し始めてから、わずか1年の守護神が輝きを見せた。

 新潟県勢初の4強進出を目前で逃した日本文理は、5日の準々決勝で矢板中央(栃木)に0-1で敗れたが、GK相澤ピーターコアミが見せたセービングは出色のものだった。

 ガーナ人の父を持つ相澤は190センチの恵まれた体格を持つが、「まだ伸びています」と身長は止まっていないという。矢板中央に先制を許した試合は、前掛かりになった後半に何度となく決定機を作られたが、そのたびに鋭い反応とセービングでシュートを弾き出した。ハイボール処理に不安定な部分を見せることもあったが、それも仕方のない部分で、GKとしてのキャリアはまだ短い。前回大会で関東第一(東京)のGK北村海チデイの活躍に刺激を受け、GKに専念することを決意したからだ。

 それまで、小学校時代から何度となくGKを勧められていたという。しかし、本人の希望は「マリオ・バロテッリ(元イタリア代表)みたいなストライカーになりたい」というもの。周囲への反発心もあり、子どもの頃は月に一度、中学以降も週に一度しかGKとしてのトレーニングを積んでいなかったという。それだけに、本格的なGKとしてのトレーニングを積んでいる期間は決して長くない。

 そんな状況で臨んだ全国大会だったが、この準々決勝では2年生として唯一のスタメンだった。「試合になれば年下というのは関係ない」という堂々としたプレーを見せた相澤に、チームの駒沢隆一監督も「あの子じゃなければ止められなかったシュートがたくさんあった」と活躍を認めた。そして「プロを目指してほしい」という好素材であるとも太鼓判を押す。

「来年もここに戻ってきたい」

 相澤もまた「兄弟も多いので、プロになって恩返ししたい」と、上を目指す気持ちは貪欲だ。かつてはバロテッリだった憧れの対象は、今ではバルセロナのGKマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンになった。そして「レアル・マドリードとのクラシコでも、全く失点する雰囲気がなかった。ああいうGKを目指したい」と話す。

 相澤は今大会を振り返り「失点では弾く位置が悪かったし、キックミスもあった。器の大きい、チームを安心させるようなGKになっていきたい。そして、来年もここ(選手権)に戻ってきたい」と決意を語る。

 身体能力を含めた素材は一級品。経験さえ積んでいけば、さらに大きく“化ける”可能性は十分にある。手応えと悔しさを胸に大会を終えた大型GKは、日本サッカー界にとっても注目の存在になっていきそうだ。

【了】

轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada

フットボールゾーンウェブ編集部●写真 photo by Football ZONE web