妻ビヨンセの意思やアイデアも反映された不貞謝罪ソング / 「ファミリー・フュード」ジェイ・Z(Song Review)

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 2017年6月30日にリリースした13thアルバム『4:44』で、通算14作目の全米アルバム・チャートNo.1獲得を果たしたジェイ・Z。この記録は、ビートルズのもつ19作に続く歴代2位で、ソロ・アーティストとしては最多となる。

 本作からは、タイトル曲、「バム」、「スマイル」の3曲がシングルとしてリリースされ、その「スマイル」と「レガシー」、「マーシー・ミー」のミュージック・ビデオが公開されている。その3曲に続き、アルバムの6曲目に収録された「ファミリー・フュード」のティーザーが昨年末に公開され、フィーチャリング・アーティストである妻のビヨンセと娘のブルー・アイヴィーが出演するなど、色んな意味で話題になっている。

 ジェイ・Zとビヨンセは、交際のキッカケとなった「03ボニー&クライド」や、渡辺直美ネタで日本でも人気の「クレイジー・イン・ラブ」、2013年にR&B/ヒップホップ・チャートで首位を獲得した「ドランク・イン・ラブ」、DJキャレドの新作『グレイトフル』(2017年)からの1stシングル「シャイニング」など、現在までに10曲以上でコラボしていて、そのうち4曲が全米TOP10入りを果たしている。仕事では相性抜群の両者だが……。

 ここ最近は、ビヨンセが双子を出産しおめでたい報道がされる一方、夫ジェイ・Zは不倫報道が過熱し、夫婦仲に暗雲が立ち込めていた。新曲「ファミリー・フュード」は、その不貞についてジェイ・Zが認め、謝罪するという何とも生々しい内容になっていて、2016年に発表したビヨンセのアルバム『レモネード』に収録された「ソーリー」に登場する、髪の綺麗な“ベッキー”という女性の名前が、同曲にも使われている。日米、不倫の代名詞に……(?)。

 公開されたばかりのミュージック・ビデオでは、別の女性との濃厚な絡みや、ナイフで刺されたようなショットなど、ハラハラさせられるシーンが続くが、中でも真っ黒の祭服を纏ったビヨンセが教会の祭壇に立ち、もの凄い形相で睨みつけるシーンが強烈。楽曲は夫妻の共作で、ジェイ・Zだけでなく、ビヨンセの意思やアイデアも反映していることが分かる。プロデュースは、アルバム『4:44』のトータル・プロデューサーであるシカゴ出身のトラックメイカー=ノー・アイディーが担当。同曲には、ゴスペル・グループ=クラーク・シスターズの「Ha Ya」という曲がサンプリングされていて、怒号を込めてエモーショナルに歌うビヨンセが、美しくも恐ろしい。

 本作『4:44』には、「ファミリー・フュード」の他にもタイトル曲や「キル・ジェイ・Z」など、自身の不倫について触れた曲が収録されていて、発売翌月の7月に発表したドキュメンタリー・ビデオでは、その事実を認めた告白もしている。ここまで露骨にプライベートを曲に反映してしまうと、もはやヤラセ……と疑ってしまいそうになるが、不倫の事実がヤラセなわけはないし、あくまでビヨンセと子供たちに対する謝罪の意だと信じたい。

 「ファミリー・フュード」はシングル曲としてリリースされたワケではないが、正式にシングルとして発表すれば、ヒットも期待できそうな完成度の高さ。2018年初頭の全米ソング・チャート(HOT100)では、エド・シーランとのデュエット曲「パーフェクト・デュエット(with・ビヨンセ)」が4週目の首位をキープしていて、妻ビヨンセの活躍が目覚ましい。離別を拒んだのも、彼女にそれだけの魅力と才能があるからだろう。それでも別の女に走ってしまう、男の性とは何とも情けない……。


Text: 本家 一成

◎リリース情報
『4:44』
ジェイ・Z
2017/7/28 RELEASE