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スマートフォンの文字入力と言えば片手でサクサクと使えるフリック入力を利用する人が多いでしょう。パソコンと同じQWERTYキーボードを画面に表示して使う方法もありますが、入力には両手が必要となるため満員電車の中などでは使いにくいのが難点です。

とはいえ長文を入力する必要がある場合や、英語入力をする際にはQWERTYキーボードもまだまだ便利。椅子に座って作業できるのならば両手も使えますから、会社のレポートを書くときなどはフリックよりも使いやすいでしょう。一世を風靡したブラックベリーが人気だったのも、ビジネスシーンで長文入力に長けた物理的なQWERTYキーボードを備えていたからです。

ですが世の中を見てみると、もはやタッチパネルを搭載したスマートフォンしか存在していない状況です。2017年を振り返ると、QWERTYキーボードを搭載したスマートフォンはそのブラックベリーの「BlackBerry KEYone」だけでした。キーボード入力派には逆風が吹いている状況だったのです。

とはいえスマートフォンに取り付ける形のキーボードを求めるユーザーはまだ一定数いるようです。本体の背面にアタッチメント「Moto Mods」を取り付けることのできるモトローラのスマートフォン、Moto Zシリーズには、スタートアップ企業が「Physical Keyboard Mod For Moto Z」を開発。クラウドファンディングで資金調達に成功しました。

日本ではiモード時代からテンキーを使って日本語を入力することが標準でしたから、キーボード搭載端末はそれほど求められる存在ではありませんでした。QWERTYキーボード人気が高いのはアメリカで、数年前は多くのメーカーが製品を投入していました。サムスン、LGそれに京セラなどのQWERTYキーボード搭載スマートフォンがアメリカ各地で見られたものです。しかしそれも今は皆無になってしまいました。

またアジアでも英語圏ではキーボード需要が高かったようです。これは一時期、先進国で余った中古のブラックベリー端末が輸入され、格安で販売されたことからQWERTYキーボード利用者が増えたからでしょう。インドネシアでは地元メーカーがこぞってキーボード付きスマートフォンを開発し販売していました。これも今では全て無くなり、スマートフォンはフルタッチパネルの製品だけになっています。

スマートフォンのディスプレイのタッチパネルの感度は飛躍的に向上しています。力を加える強弱で異なる操作のできる、iPhoneが採用する「3D Touch」は他の会社も類似のものを搭載しています。最近では画面に指先を押し当てるだけで指紋を認証する技術も開発されています。またディスプレイサイズが大きくなったことで、QWERTYキーボードですら画面上にスペースに余裕を持たせて表示することが可能です。以前であれば画面上のQWERTYキーボードはミスタイプを誘発しがちでしたが、今のスマートフォンならそれもありません。

iPhone登場以前のスマートフォンは、ディスプレイのタッチ方式が感圧式、すなわち圧力を感知していました。そのため指先でのタッチ操作は快適とは言えず、QWERTYキーボードを備えた製品が多かったのです。しかしディスプレイ技術の進化はスマートフォンから物理的なキーボードを消し去りました。

メーカーとしてもキーボードの廃止はコストダウンにつながります。ちなみにQWERTYキーボード搭載スマートフォンの製品数のピークは2011年で、年間約50モデルが登場しました。これはその年に登場したスマートフォンの約1/5にもなります。

それではこれからもうQWRTYキーボード搭載スマートフォンは出てこないのでしょうか? その鍵となるのは超小型ノートパソコンの動向です。日本でも一部で話題になった超小型モバイル端末「GPD Pocket」のような製品はいずれLTEに対応するでしょう。スタートアップのPlanet Computingはキーボード搭載型スマートフォン「Gemini PDA」の資金調達に成功し、2018年には製品が出荷される予定です。超小型のノートPCとして使えるQWERTYキーボード搭載スマートフォンならこれから増えていくかもしれません。

そしてサムスンの動向にも注目です。同社はここ数年、フラッグシップスマートフォン向けに毎回アタッチメント型のキーボードカバーを出しています。2018年に発売になる最新モデル「Galaxy S9」向けにもキーボードカバーが出てくれば、QWERTYキーボード需要はまだまだあると言えるでしょう。逆にキーボードカバーが用意されなければ、スマートフォンシェア1位メーカーが「QWERTYキーボードの終焉」を宣言したことになるでしょう。そんな視点でサムスンの新製品をウォッチするのも興味深いものです。