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外為どっとコム総合研究所の神田卓也氏が2017年12月の為替相場レビューと、今後注目の経済指標やイベントをもとにした今後の相場展望をお届けする。

○【ドル/円相場12月の振り返り】

12月のドル/円相場は111.399〜113.747円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約0.1%の小幅上昇(ドル高・円安)となった。米国で大型減税策を盛り込んだ税制改革法案が成立したほか、米連邦公開市場委員会(FOMC)は今年3回目の利上げに動いたが、それでもドルの上値は限られた。トランプ米大統領の目玉公約であった法人減税がようやく実現する運びとなった一方、トランプ米政権については、ロシアゲートやエルサレム問題など、政権運営に対する不透明要因も目立った。

また、FOMCは2018年も3回の利上げを見込んでいる事を明らかにしたが、米雇用統計の平均時給や米消費者物価指数などからはインフレ上昇の気配を感じられなかった。この結果、米国債の長短利回り格差が縮小し、イールドカーブ(利回り曲線)は、景気減速の示唆とも読めるフラット化が進んだ。こうしたドルに対するプラス材料とマイナス材料が綱引きしあった結果、12月のドル/円の値幅は2017年最小の2.3円余りにとどまった。

○【ドル/円相場1月の見通し】

2017年のドル/円相場は、米国債利回りの中でも10年物の金利に連動する事が多かった。金融政策に強い影響を受ける1-3年の短期ゾーンよりも、インフレ期待(見通し)に左右されやすい10年超の長期ゾーンに市場が注目していた事になる。長期ゾーンの金利が伸び悩んだ背景には、物価の伸びが鈍い限り米連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げペースは、減速する事はあっても加速する事はないという見方があると考えられる。

こうした中、2018年のドル/円相場は米国の物価動向がカギとなりそうだ。1月5日の12月雇用統計では、平均時給が最大の焦点となるだろう。そのほか、12日の12月消費者物価指数や29日の12月個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)などのインフレ統計も関心を集めるだろう。また、トランプ米大統領は、1月30日の一般教書演説の前にインフラ投資計画の骨子を発表するとしている。大規模減税(税制改革)に続いて、老朽化した高速道路や空港などの社会インフラの整備に年内にも着手する考えだ。こうした財政刺激策によって、物価の押し上げ期待が高まるか注目しておきたい。

○執筆者プロフィール : 神田 卓也(かんだ たくや)

株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長。1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信(デイリーレポート『外為トゥデイ』など)を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。Twitterアカウント:@kandaTakuya