お金に苦労せず、幸せに生きていくことを目指す【脱貧困診断】。2018年の第1回はビットコインについてです。

「今年から、“お金を増やす”ことの勉強をしたいと思っています。最近、ビットコインの話題をよく聞きます。10万円が100万円になったという人の話や、今年は国内のインフラが整い実際に利用できる通貨として成立しはじめる……なんてことも聞きました。ビットコインについて、教えてください」(製薬会社勤務・34歳)

昨年1年で、1度は20 倍にまで値上がりしたビットコイン。2018年はどうなるのでしょうか。というか、仮想通貨っていうことくらいしかビットコインについて、わからない人が多いのでは。仮想通貨がリアル世界で使えるということ自体、ピンとこなかったりもします。まずはビットコインの基本のキを、森井じゅんさんに教えていただきましょう。

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そもそもビットコインって何なの?

ビットコインとは、仮想通貨のひとつです。仮想通貨とは、インターネットでやり取りする“データ”です。コインという名前はついていますが、紙幣や硬貨といった実態は存在しません。そのため、コイン自体を手で触れることも、財布に入れることもできません。

円やドルといった通貨は法定通貨とよばれ、中央銀行が管理者であり、発行主体になっています。

たとえば円は日本銀行が通貨を発行、管理しています。つまり円は、日本という国の後ろ盾を持つ通貨なのです。

一方、ビットコインを始めとする仮想通貨は、特定の管理者や発行主体はありません。

特定の管理者はいませんが、偽造や不正な取引ができないような「仕組み」があります。この仕組みを「ブロックチェーン」と言います。この言葉は、みなさんもニュースなどで聞いたことがあるかもしれません。

これは、誰が、いつどんな取引をしたか、だれがいくらのビットコインを持っているかという情報を、分散させて共有する仕組みです。

つまりビットコインは特定の管理者はいませんが、みんなで監視しているようなシステムになっているのです。

ビットコインはどこで手に入れられるもの?

上で説明した通り、ビットコインには日本銀行のような発行主体はなく、「マイニング」と呼ばれる方法で発行されます。

マイニングとは、日本語で「発掘」。金を発掘するようなイメージです。
簡単に言えば、情報の確認作業でコンピューターが行なう、膨大な計算です。この計算作業により、通貨の新規発行が起こり、発掘した人がそのコインを得ます。

ビットコインを手に入れる方法は、この「マイニング」のほかに、「買う」か「もらう」かがあります。

基本的には、ビットコインを取り扱う取引所や販売所に口座を開設し、購入します。

取引所では、株のように注文をぶつけ合い、取引をします。
一方で、両替のように簡単に購入できるのが販売所です。簡単ではありますが、販売所では手数料が割高になります。

ビットコインって通貨なの?

現在は円やドルなどの法定通貨が流通していますが、過去には貝殻や金などが通貨として使われていた時代があります。通貨には明確な定義はありませんが、「価値尺度」「価値保存」「交換手段」といった機能を持っていると考えられています。

現在はビットコインで買い物ができるなど、価値尺度・交換手段としての役割を果たしていると言えます。
一方で、価値保存といった意味では、通貨とは言えない側面があります。それは、現段階ではビットコインが投機的に扱われていて、価格が非常に不安定なためです。

つまり、ビットコインのリスク面を考えると、法定通貨とは異なるのです。

ビットコインは「投機商品」から「支払い手段」へ?

平成29年6月までは、ビットコインを始めとする仮想通貨の購入には、消費税がかかっていました。しかし昨年7月からは、プリペイドカードなどと似て、ビットコインは「支払い手段」と定義され、その売買に消費税はかかりません。

ビットコインが「支払い手段」として認められたことで、その利用範囲が少しずつ広がり始めてています。

現在、amazonなどのインターネットショッピングで、ビットコインが使えるサイトが増えてきています。
また、ネット上だけでなく、実際の店舗でもビットコインが使えるお店も。ビックカメラなどの家電量販店、飲食店や旅行会社、さらには歯医者さんや結婚相談所などに広がっています。

中古車のガリバーは1億円までビットコインでの決済が可能となるなど、大きな金額もビットコインで決済できるようになってきたのです。

ビットコインで買い物をするメリットは?

高額決済の場合には、銀行の手数料よりもビットコインの方が手数料が低くなるなどメリットもあります。
一方で、少額決済の場合には、手数料が高くなってしまうなど課題もあります。

また税務上、通貨として利用した時点で利益を認識し、所得税がかかります。つまり、現状では買い物ごとに利益を計算しなくてはなりません。

たとえば、10万円分のビットコインを購入し、そのあと、ビットコインが値上がりし、持っていたビットコインで20万円分の買い物をしたとします。

その場合には、10万円のビットコインが20万円に上がったときに売却し、そのお金でお買い物をしたと考えます。そのため、この取引による利益は10万円分となり、その利益に対し税金を計算し申告する必要がありま す。

買い物ごとに損益を計算しなくてはいけないとなると、ビットコインで小さな金額のたくさんの買い物をすることは、あまり現実的ではありません。

ビットコインの利便性の向上や普及を考えた場合、こうした課題もあるのです。

よくわからないけど「爆上げ!」とかいうニュースを読むと、儲かりそう!?って思ってしまうけれど……。



■賢人のまとめ
仮想通貨のひとつであるビットコインは、現在、価格が非常に不安定です。そのため、購入し、売却したり使用したりすると利益が出ることもあれば損失も出ます。法定通貨とは異なりますが、支払い手段として の利用範囲が広がりつつあるのは事実です。高額決済の場合には、手数料も相対的に安くなります。一方、買い物ごとに利益を計算しなけば いけないという手続きや、安くない手数料の面でも、日々の少額の買い物に使うには、現状は現実的ではないと いえます。

■プロフィール

女子マネーの達人 森井じゅん

1980年生まれ。高校を中退後、大検を取得。レイクランド大学ジャパンキャンパスを経てネバダ州立リノ大学に留学。留学中はカジノの経理部で日常経理を担当。

一女を出産し帰国後、シングルマザーとして子育てをしながら公認会計士資格を取得。平成26年に森井会計事務所を開設し、税務申告業務及びコンサル業務を行なっている。