一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)および一般社団法人日本電機工業会(JEMA)は5日、東京・高輪のグランドプリンスホテル新高輪において「2018年 年賀交歓会」を開催した。会場には、IT/エレクトロニクス産業や電機産業の関係者、政府関係者、各国大使館関係者などが集まった。

東京・高輪のグランドプリンスホテル新高輪において開かれた「2018年 年賀交歓会」

会場には約2000人の関係者が来場した

IoT元年の2017年から、2018年はあらゆる産業で“Society 5.0”具現化へJEITA・長榮周作会長

 司会者の開会宣言のあと、JEITAの長榮周作会長(パナソニック株式会社取締役会長)の登壇を紹介したところで、会場にいた約2000人のスマートフォンから、緊急地震速報が一斉に鳴り出すという異例の状況で始まった。長榮会長は急きょ、登壇を取りやめ、事務局がすぐに地震の状況を確認。「茨城県沖で震度3の地震であることが確認されました」との報告に、会場全体から安堵したような声が上がった。

JEITAの長榮周作会長(パナソニック株式会社取締役会長)

 長榮会長は、「政府の強力な経済政策のもと、我が国の経済が持続的な成長フェーズに入る中、ビッグデータや人工知能などの技術進展により、あらゆるものがインターネットにつながるIoTの時代が本格的に到来している。2017年はIoT元年ともいえる年であった。さまざまなつながりによって、新たな付加価値を創出し、社会課題を解決する“コネクティッドインダストリーズ”が大きく動き出し、大きな一歩が踏み出されたのも2017年である。JEITAでは昨年、サイバーフィジカルシステム(CPS)/IoTの市場規模に関する調査を実施し、2030年には、世界では404.4兆円、日本は19.7兆円の市場規模に達し、2016年に比べて約2倍に成長すると予測した。これは大きなビジネスチャンスにほかならない。コネクティッドインダストリーズによって、世界に先駆けた超スマート社会を“Society 5.0”として実現。CPS/IoTをフル活用して、ひとりひとりが輝く未来を共に創る『共創』していくことが我々に課された使命であると考えている。2020年や、そしてその先にある日本の未来、世界の未来のために、業種、業界を超えて、より一層連携していきたい。それぞれの会社が戦略を練って取り組んでいくとともに、可能なところは共創し、業界団体も事業環境の整備や、市場創出を後押しすることで、2018年はあらゆる産業において、Society 5.0の具現化に向けた本格的な動きが生まれることを期待している。政府が世界に先駆けた『生産性革命』の実現に向けて精力的に取り組む中、電機、電子情報産業は『生産性革命』を下支えする中核産業の1つとして、より重要な役割を果たすことが求められている。あらゆる産業における付加価値向上に向けた取り組みは、働き方改革にもつながるものとなり、業界としての取引適正化とともに、国全体の働き方改革に貢献していくことになる。産業界の発展と我が国の経済成長に向けて、2018年も、関係省庁や機関と連携し、会員とともに一丸となって取り組んでいく」とした。

 また、「CEATEC JAPAN」についても言及。「家電見本市から、CPS/IoTの総合展示会へと舵を切ったCEATEC JAPANは、Society 5.0に向けた動きとしての象徴的なものである。2017年10月に開催した『CEATEC JAPAN 2017』は、1日あたりの平均来場者数が、9年ぶりに3万8000人を超え、国内外の幅広い業種、産業が集う総合展示会に生まれ変わった。今年の『CEATEC JAPAN 2018』は、10月16日から幕張メッセで開催する。2月から出展募集を開始する。未来をリードするフロントランナーのみなさんにはぜひ参加し、力添えをお願いしたい」と、会長自ら呼び掛けた。

社会・産業界のデジタル化で、エネルギー問題も大きな変革の中にあるJEMA・北澤通宏会長

乾杯の音頭を取ったJEMAの北澤通宏会長(富士電機株式会社代表取締役社長)

 また、乾杯の音頭を取ったJEMAの北澤通宏会長(富士電機株式会社代表取締役社長)は、「昨年来、世界経済と日本経済は、穏やかだが回復基調に入ってきている。JEMAの会員会社が取り扱う重電機器、白物家電機器は、2017年度上期は、対前年を上回る好調な生産状況となった。引き続き、我が国の経済全体が持続的に発展し、電機産業の好調さを維持していくことを願っている。JEMAは、3つの重点項目に取り組んでいるが、このうち電機業界の持続的成長戦略の推進と新たなモノづくり、サービス産業の推進については、コネクティッドインダストリーズによって社会の課題を解決し、IoTによる製造業の変革やスマート社会やSociety 5.0、そしてグローバルの中で競争のある社会の実現に向けて、JEITAと協力しながら取り組みを進めていきたい。もう1つの重点項目は、エネルギー環境の革新戦略の推進であり、COP23の議論を踏まえて、2030年の長期エネルギー需給見通しや、我が国の温室効果ガスの削減目標を確実に実現することが重要であると考えている。電機業界もこの取り組みをしっかりと進めていく。エネルギー基本計画については、エネルギーセキュリティのリスクが増大していることを鑑みると、さらなるエネルギーの自給率を高めることが大切である。地球環境の保全のため、さらにCO2削減を図り、国民生活や産業競争力を高めるためには、エネルギー価格を低減させることが重要である。このため、省エネのさらなる推進、再生可能エネルギーの国民負担を抑えた現実的な導入拡大、火力発電の高効率化を進める。また、あくまでも安全を大前提とした上で、原子力の活用は将来にわたって不可欠であることを認識し、技術力の維持のため、長い準備期間が必要である原子力の新増設の議論を開始すべきである。JEMAは、そのために必要な情報を発信していく。我が国が将来にわたって、持続的に発展する上で、地に足の着いた実現可能なエネルギー政策を進めることは極めて重要である。政府には、2030年やそれ以降の確かな中長期の確かなエネルギー計画に向けて、しっかりとした議論を期待している。社会・産業界はデジタル化の流れにあり、エネルギー問題も大きな変革の中にある。電機、電子業界はその中で大きな役割を担うことが期待されている。自らを変革させるとともに、社会を牽引する技術を提供することで、持続的に発展していきたい」と語った。

TPP11でビジネスチャンスがさらに広がる世耕弘成経済産業大臣

来賓としてあいさつした世耕弘成経済産業大臣

 来賓としてあいさつした世耕弘成経済産業大臣は「政府はデータを共有する仕組みとルールをどう作っていくか、ガイドラインをどうするか、知財をどう守るかといったことを、政策的にしっかりと取り組んでいく。2017年は、TPP11の大筋合意にこぎつけた。いま最終合意に向けた胸突き八丁のところをがんばっている。TPP11では、『電子商取引章』が設けられており、この中は、情報の自由な流通を目的にデジタル3原則が明確に唱われている。TPP11によって、みなさんの世界におけるビジネスチャンスがさらに広がる。また、日EU経済連携協定が2017年末に完全な最終合意に至った。この中ではカラーテレビやディーゼルエンジン、産業ロボットへの関税が完全に撤廃された。みなさんのグローバル展開に関しても応援をしていく。電機産業および電子産業の国内生産額は20兆円であり、100万人以上の雇用を生んでいる。みなさんの業界の発展なくして、日本経済の発展はない。政府は、生産性革命、人づくり革命を大きく打ち出し、日本経済を牽引したいと考えているが、そのためには、技術やサービス、商品が必要であり、みなさんに活躍してもらわなくてはいけない。日本経済の成長を引っ張ってほしい」と語った。

 さらに、「2017年3月にドイツ・ハノーバーで開催された『CeBIT』にこぞって参加してもらったことを感謝している。これは史上最大規模となる日本からの参加であり、CeBITにおいても、他国からのこれだけの規模で参加したケースは初めてであった。日本の電子情報業界の実力を、世界に発信するいい機会になった。また、CeBITを契機に、Society 5.0を実現していくための産業界の取り組みとして、コネクティッドインダストリーズを打ち出すことにも成功した。これがCeBITでの最大の成果である。日本には、製造現場やサービス現場に質の高いデータがある。だが、それは各工場や店舗に格納されたものであり、活用されていない。これをつないでビッグデータにしてすることで、日本の製造業、サービス産業のクオリティをもっと上げて、世界と戦っていこうというアイデアを打ち出せる。これを実現するのがコネクティッドインダストリーズであり、その中核になるのが、JEITAとJEMAの会員会社のみなさんである。このコネクティッドインダストリーズを、どういうサービスに変えるのか、どういう商品として売っていくのかということを、今年は考えてほしい」と要望した。

会場には各社のトップも集まった。(左から)日本電気株式会社(NEC)の遠藤信博代表取締役会長、株式会社日立製作所の東原敏昭執行役社長兼CEO、富士通株式会社の山本正已取締役会長

世耕大臣(左)と談笑する長榮会長(中央)、三菱電機株式会社の山西健一郎取締役会長(右)