「湯たんぽ療法」の効果は?(depositphotos.com)

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 「『気のせい』や『心の問題』の痛みなんて存在しませんよ」――。

 そう断言するのは、青山・まだらめクリニック院長の班目健夫医師だ。この言葉で、気持ちが救われた患者さんも多いのではないだろうか。

「痛みについて医師は知識が足りないし、検査も不十分」

 痛みというものは、実に厄介だ。見た目だけでは、痛みの有無がほかの人にはわからない。だから周囲に理解してもらいにくい。痛みで絶えず緊張してイライラし、疲れているのに夜になっても眠れない。病院に行っても、検査で原因が特定できないことが多い。

 筆者も過去に激しい痛みで受診して、「あれっ? おかしいな〜、痛いはずはないのに?」と医師が漏らした言葉で、憤りを覚えた経験がある。班目医師は「痛みについて医師は知識が足りないし、検査も不十分」と指摘する。

 すべての痛みには原因があり、自分で取り組める改善法がある。「大事なのは『体を温める習慣』です」と班目医師。つらい痛みを消すために、どのように体を温めたらいいのか、班目医師に具体的に聞いていこう。

血流低下と冷え・筋肉の凝りが発生して「痛み」が現れる

 班目医師によれば、画像診断や血液検査でも見つけられない痛みの原因は「血流」にある。血流が低下している状態だと、体が冷え、筋肉には凝りが生じる。

 「触診といって、患者さんの体に手で触れて症状を診断する方法があります。痛みを訴える患者さんを触診すると、ほぼ例外なく体が冷えて、筋肉が異常にこっているのです。氷のように冷たい人がいて、体表面温度を測定すると19℃だったこともありました」

 健康な人の体表面温度は約35℃なので、痛みがある人は16℃も低かったのだ。

 血流が低下すれば、体の中央部で産生された熱が手足にまで送られなくなる。こうして体が冷えて、筋肉が緊張して硬くなる。すると血管が圧迫され、さらに血流が悪くなる。同時に、筋肉に老廃物が蓄積して、凝りが生じる。凝りは周囲の末梢神経を刺激し、痛みを引き起こすのだ。

 「血流低下」「冷え」「筋肉の凝り」は同時に発生している。これら3つは、きめ細かな触診でなければ見つけられない。「『私は顔がほてって熱いので体が冷えているとは思えない』と言う人は、要注意です。下半身が冷え切っていて、体熱の分布異常が発生しています」(同前)

 自覚のない冷え・筋肉の凝りもあるのだ。

「湯たんぽ療法」のポイント&方法は?

 痛みを招く冷え・筋肉の凝りを取り除いて血流を促すために、班目医師が指導しているのが「湯たんぽ療法」。湯たんぽを使って体を温める習慣だ。

■湯たんぽ療法のポイント

○容量が2リットル以上の湯たんぽを使う。
○80℃以上のお湯を湯たんぽに入れる(沸騰したお湯が望ましい。火傷に注意)。
○湯たんぽの素材はどんなものでもかまわない(ただし陶器製は入れたお湯が冷たくなりやすい上、割れる危険もあるのでお勧めしない)。
○おなか→太もも→お尻→二の腕の順番で湯たんぽを移動させる。
○1つの部位につき湯たんぽで温めるのは3〜10分。汗をかく前に次の部位に湯たんぽを移動させる。
○湯たんぽはお湯をこまめに取り換えて1日中使う。外出するときは携帯用の着火式カイロを利用し、お尻までカバーする下着や毛糸のパンツなどでお尻を保温する。

■湯たんぽ療法の方法

,なか:椅子に腰かけ湯たんぽを両手でお腹に抱えて温める。
太ももの前面:湯たんぽを太ももに乗せ、ときどき位置をずらしながら膝から太もものつけ根まで温める。
お尻:湯たんぽを椅子の背に立てかけて腰からお尻までを温める。
て鵑力咫Д董璽屮襪覆匹両紊謀鬚燭鵑櫃鮹屬二の腕の裏側を当てて温める。

「原因不明の痛み」だけでなく「自律神経失調症」も改善

 湯たんぽ療法は「自律神経」のバランスを整える効果もある。自律神経には、活動時に優位になる交感神経と、安静時に優位になる副交感神経がある。交感神経と副交感神経が干渉し合って、血圧や呼吸、内臓の動きなどが意志とは無関係にコントロールされているのだ。

 「現代の日本人の生活ではパソコンやスマートフォンなどで目と脳を酷使し、その結果、交感神経を優位にして、冷えと筋肉の凝りを引き起こしています。湯たんぽで体をしっかりと温めると、副交感神経が優位になり、血流が促されます。そして肩凝りや不眠、頭痛、便秘といった、いわゆる『自律神経失調症』も改善されるのです」

 寒い冬場には、「原因不明の痛み」だけでなく「自律神経失調症」も発症しやすい。手軽に湯たんぽを使って、元気に乗り切りたい。
(取材・文=森真希)

班目健夫(まだらめ・たけお)
青山・まだらめクリニック院長。1954年、山形県生まれ。1980年、岩手医科大学医学部卒業後、同大学院(病理系)進学、第一内科入局。84年、医学博士号取得。東京女子医科大学附属東洋医学研究所勤務、同大学附属成人医療センター兼務、同大学附属青山自然医療研究所クリニック勤務を経て、11年に青山・まだらめクリニックと自律神経免疫治療研究所を開設。西洋医学の専門領域は肝臓学、消化器内科。西洋医学と東洋医学などを融合させた統合医療を研究、実践している。

森真希(もり・まき)
医療・教育ジャーナリスト。大学卒業後、出版社に21年間勤務し、月刊誌編集者として医療・健康・教育の分野で多岐にわたって取材を行う。2015年に独立し、同テーマで執筆活動と情報発信を続けている。