待ってました! 12月にNTTドコモから発売された富士通「arrows NX F-01K」。これが発表された瞬間、僕の中で打ち上げ花火が華開いた気がします。指紋認証が復活し、虹彩認証「Iris Passport」とともにダブル生体認証に対応したんですね。

指紋+虹彩認証に対応した「arrows NX F-01K」

指紋センサーは電源ボタンと一体化して本体側面に

 2年前のARROWS NX F-04Gで虹彩認証が初めて搭載された代わりに、指紋認証がなくなって寂しく思ったものです。しかしその頃、時を同じくして他社スマートフォンが指紋センサーを続々と採用し始めていました。いつも一歩二歩先を行き、時々行きすぎて他が追いつくのを待っている感もあるarrowsシリーズですが、今回は指紋+虹彩認証の両輪で一周回って追いつき、再び引き離さんとする勢い、みたいな感じでしょうか。

 「生体認証が2つあると何がいいの?」と不思議に思うかもしれませんが、実際に使ってみると想像以上に便利なことに気付きます。主にスリープから復帰した後のロック解除に使われるこうしたセキュリティ機能は、単一の方式だけだとどうしてもメリットとデメリット、便利さと不便さが隣り合わせだからです。

 まずは指紋認証。以前の富士通製スマートフォンに搭載されていた指紋認証機能は、センサーが背面にあり、画面点灯ボタンも兼ねていました。今回のF-01Kは側面の電源ボタンと指紋センサーが一体化していて、画面の拡大・スクロールに使える機能「Exlider(エクスライダー)」としての役割もあります(Exliderについてはまた機会を改めて紹介したいと思います)。

 過去機種のセンサーは指をなぞる動作が必要で、F-01Kは指を置くだけ、という違いはありますが、いずれにしても、端末を手に持つときに自然と指が来る位置にあって、スムーズにロック解除してアプリを使い始められるのが特徴です。

 複数の(F-01Kは5本まで)指紋を登録しておけるので、使い勝手が持ち方や指の長さに左右されにくく、誰でも簡単に使えて、パスコードやパターン認証よりセキュアになる、というのも指紋認証のいいところ。ですが、指紋認証が使えないシチュエーションもあります。

生体認証機能を指紋と虹彩のダブルで用意

F-01Kでは5本までの指紋を登録しておける

 それは、指が水に濡れたり、汚れているときです。手袋をしているときも当然指紋は読み取れないので、冬の寒空の下、いちいち手袋を脱がなければなりません。しかし、最近のarrowsシリーズはお風呂での使用もOKですから、濡れた状態で使うこともままあります。またarrowsは「手袋タッチ」機能で手袋ごしのタッチパネル操作も可能ですが、指紋でロック解除することを考えると結局手袋は使えません。

 つまり、arrowsシリーズならではの防水性能の高さや便利機能が、かえって不便さをあぶりだす格好になっていたわけです。もちろんこういった点は、他社の指紋センサー付きスマートフォンも同じように抱えている問題なのですが。

 これが虹彩認証になると、赤外線センサーによる瞳のスキャンになるので、指先の水濡れ・汚れ、手袋の影響は一切なくなります。お風呂スマホするときも(センサーに水滴がついたりしなければ)ロック解除に影響はないですし、屋外では手袋をはめたままぬくぬくとスマートフォンを使っていられるんです。

 ただ虹彩認証だと、スピーディーさは指紋認証に比べてわずかに劣ります。指紋認証では、端末本体を手にもった瞬間からロック解除に向けた操作・処理を行なえますが、虹彩認証ではセンサーが端末正面にあるため、端末をしっかり顔(目)の前に持ってくるという予備動作が必要です。arrows NXでは世代を経るごとに虹彩認証の処理速度がアップしているけれども、それでも指紋認証と比べてワンテンポ遅れる感は否めません。

手袋ごしだと指紋を読み取れないのでロック解除できない

虹彩認証も一瞬で処理が終わるとはいえ、顔の前まで端末を持ってくる動作がある分、指紋認証と比べてスピーディーさは劣ります

 指紋+虹彩認証となった今回、それぞれが互いを補完する関係にあるので、両方のメリットを活かせます。指紋も虹彩も登録しておけば、ロック解除時にはどちらか先に検出(処理)できた方でロック解除が試みられるので、普段は指紋認証メインで解除し、お風呂や屋外などでは虹彩認証メインで解除する、という使い方が可能です。表にまとめると以下のような感じでしょうか。

利用シーン別の有効な生体認証方式 利用シーン 指紋+虹彩認証(arrows NX F-01K) 指紋認証のみ 虹彩認証のみ 指の水濡れ・汚れ ○ × ○ 手袋 ○ × ○ 直射日光下 ○ ○ × 濃いサングラス ○ ○ ×

 F-01Kは、見事に指紋認証と虹彩認証のいいとこ取りをしているのがわかります。セキュリティロックを設定しているはずなのに、あまりに高速に認証が完了してしまうものだから、使い始めの「ロック解除しなきゃ(使命感)」というような気持ちになる瞬間が1つもありません。

 唯一、認証につまづいて予備のパターン認証を利用することになったのは、うっかり指紋登録をしていない指で電源ボタンに何度も触れてしまったときくらいです(指紋認証によるロック解除を5回連続で失敗すると、予備の認証方法で解除するか、数十秒間待たなければならない)。

 そんなわけで、F-01Kはロックを指紋でサクッと解除できるし、それが不可能なときは虹彩でススッと解除できるし、さらにそれもミスったときは予備のパスコードやパターン認証でそっと解除できるので、ロック解除にともなうあれやこれやの煩わしさがゼロ。指紋を読むか、虹彩を見るか、横から見るか、下から見るか、丸いか平たいかなんて全く気にせず、ストレスフリーに使えるスマートフォンなんです。

指紋認証を5回失敗すると数十秒間生体認証が使えなくなります

横から見るか……

下から見るか……

どっちにしてもストレスフリーなarrows NX F-01K