米政府は、中国電子商取引最大手アリババ傘下のアント・フィナンシャルによる米金融企業の買収を認めない方針を示した。写真はアリババ創業者の馬雲氏。(China Photos/Getty Images)

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 米政府機関「対米外国投資委員会(CFIUS)」はこのほど、国家安全保障上の理由で、中国電子商取引最大手アリババ傘下金融子会社、螞蟻金服(アント・フィナンシャルサービスグループ)による米国際送金会社マネーグラム社(MoneyGram)の買収案を却下した。米政府は中国資本による米企業買収に厳しい姿勢を見せている。

 ロイター通信によると、マネーグラムのアレックス・ホームズ最高経営責任者(CEO)は2日発表した声明文で、「わが社は米政府と緊密な連携を取り、話し合いを重ねてきた。しかしCFIUSは買収を許可しない方針が確実となった」とした。

 同報道は、情報筋の話として、米規制当局は同買収案成立後、サイバーセキュリティの問題で米国民の個人情報が漏えいされる可能性を危惧している、との見方を示した。

 アント・フィナンシャルは昨年1月、マネーグラムに対して、同社の株式1株に対して13.25ドルを提示し、総規模8億8000万ドル(約990億円)で買収すると打診した。

 しかし、米電子決済企業ユーロネット・ワールドワイド(EuronetWorldwide)が3月、マネーグラム1株に対して15.2ドルで、アント・フィナンシャルの8億8000万ドルを上回る9億5500万ドル(約1074億円)の買収案をマネーグラムに提案した。

 これを受けて、アント・フィナンシャルは4月、マネーグラムに対して投資規模を12億ドル(約1350億円)に引き上げ、両社は買収案に合意した。

 今回買収案が不成立になったため、今後アント・フィナンシャルはマネーグラムに対して、3000万ドル(約33億7500万円)の補償金を支払わなければならない。

 近年、中国資本による米企業買収案件数が急増している。2013〜15年まで、CFIUSは74件を審査した。しかし、16年の1年間でこの数は180件にのぼり、過去最多となった。

 米政府は、中国企業の米国進出により米国安保上の利益が損なわれる可能性を強く警戒している。

 昨年11月上旬、米上院と下院では、中国企業を含む外国企業による米IT企業やインフラ企業への投資を制限する議案が相次いで提出された。

 一方、日本国内において、アント・フィナンシャルは2015年10月に、モバイルとオンライン決済のプラットフォーム「アリペイ」サービスを展開し始めた。

 日本事業のアント・フィナンシャルジャパンによると、17年6月までに、コンビニエンスストアや空港など約2万5000店の店舗が同サービスに加盟している。

(翻訳編集・張哲)