夜の怪我より昼間の怪我のほうがよい?

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日中に受けた外傷は夜間に受けた場合よりも最大で約60%治癒が早い――。そんな研究結果が、英国立MRC分子生物学研究所、アデンブルック病院、マンチェスター大学の研究者らによって発表された。

研究者らは人体のほぼすべての細胞が概日リズム(体内時計)の影響を受けており、創傷治癒に関係する「線維芽細胞」も例外ではないと考え、概日リズムによって創傷の治癒状況も異なるのではないかと推測した。

そこで、マウスから採取した皮膚細胞に含まれる線維芽細胞が24時間でどのように変化するか検証したところ、線維芽細胞は日中に活性のピークを迎えており、たんぱく質の産生量が増加していることを確認。また、日中に皮膚細胞に損傷を与えた場合、夜間に損傷を与えた場合よりも線維芽細胞が素早く損傷部位に移動し、治癒効率が高まっていることも確認された。

さらに、実験室で培養した「ケラチノサイト」と呼ばれるヒトの皮膚細胞の層でも同様の実験を行い、同じ結果を得たという。

その後、実際に飼育されているマウスの背中に、休息中(人での夜間)もしくは活動中(人での日中)に傷をつけたところ、活動期に負傷したマウスは、休息中に負傷したマウスよりも速く治癒しており、創傷部位に多くのコラーゲンが沈着していた。

同様の実験を人で行うわけにはいかないため、研究者らは英国の医療データベースからやけどによる創傷治癒データを抽出。やけどが発生した日時と治癒までの時間を分析。

すると、午前8時から午後8時の間に負傷した人は治癒までに平均17日かかっていたのに対し、午後8時から午前8時の間に負傷した人は平均28日となっており、やはり日中の創傷のほうが夜間よりも早く治癒する傾向にあった。

これらの結果から、研究者らは皮膚の治癒過程が概日リズムによって影響を受けることを示唆しているとしつつ、マウスでの検証結果がそのまま人に当てはまるわけではなく、やけどのデータ分析も概日リズム以外の要因が治癒速度の差を引き起こしている可能性もあるとコメントしている。

研究は2017年11月8日、基礎研究の成果を取り扱う専門誌「Science Translation Medicine」オンライン版に掲載された。

参考論文
Circadian actin dynamics drive rhythmic fibroblast mobilization during wound healing.
DOI: 10.1126/scitranslmed.aal2774 PMID: 29118260

医師・専門家が監修「Aging Style」