名古屋とならぶ“超ハデ婚”の県とは…「本家の意地」で祖父が暴走!

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 お正月に帰省した独身女性は、親からの“結婚しろしろ圧力”にゲンナリした人もいるでしょう。いざ結婚が決まると、今度は「結婚式のやりかた」をめぐって、親族がヒートアップすることも…。

「地元で危うくド派手婚をさせられそうになりました」と身震いするのは、佐々木香さん(仮名・33歳/在宅ワーカー)。一体、何が起こったのでしょうか。

◆名古屋だけじゃないアノ文化…

 5年前の帰省で佐々木さんは、地元の機器メーカー勤務の男性との婚約を報告しました。するとやっかいな事態が…。

「ド派手婚といえば名古屋が有名ですが、実は地元の福井もスゴいんです。確かに、最近はだんだんド派手婚も少なくなり、昔のような豪華な結婚式がまれになりました。

 ところが元旦、本家に集まった親戚の前で、おじいちゃんが『生きているうちにもう一度本家の力を見せたい』と意気込んで。私のド派手婚を強行しそうになったんですよ」

 昔の福井では、まず嫁入り道具からド派手だったそう。

「嫁入り道具の着物は訪問着、喪服、留め袖などフルコースが当たり前。桐箪笥、洋服ダンス、ダイニングセット、ベッド、テーブル、家電一式……。

 そうした嫁入り道具を、トラックに入れます。それも名古屋と同じように中身が見えるガラス張りのトラックなんですよね」

 桐箪笥の中には、着物類が目いっぱい詰まっているのが当たり前だそうです。

「40代の従妹はガラス張りの嫁入りトラックを見たことがないそうですが、母親の世代には当たり前にあったそうです。ちなみのうちの母も、父親が本家の長男だということで、ガラス張りのトラックと一緒に嫁入りしました」

◆嫁入りはまるで大名行列のよう!

 結婚式当日は、早朝から着付けした花嫁が近所を訪問してお披露目、その後新郎宅に移動しますが、まるで大名行列のような光景だそうです。

「あと、福井だけの『一生水』という儀式があります。一生水は、『一生この家の水を飲む』という意味があって、飲むのは水ではなく、お酒」

 一升ますの中に入っている杯で、新婦がお酒を飲み、杯をたたき割るのだとか。「嫁ぐと、その家以外に帰るところはない」という決意表明の儀式です。

「それから新郎宅の仏壇に一礼してまんじゅう撒きが始まります。ビニール袋に入った紅白まんじゅうを新郎宅の屋根やベランダから撒くんです。家の豊かさを測る目安といわれているため、ここは絶対ケチったりしません。

 そこで、まるで新春の福袋をゲットしようとして一斉になだれ込むデパートの客のように、近所の人たちによるまんじゅうの争奪線が起こります」

◆「おじいちゃんの願い」を誰か止めてくれ〜!

 そしてクライマックスを飾るのが豪華な披露宴。見た目もボリューミィな引き出物を、出席者が「重い、重い」と言いながら持ち帰ります。この時点で、うんざりしていた佐々木さんですが、なんとおじいちゃんが「すでにほとんどの段取りを済ませてしまった」と言い放ったのです。

「おじいちゃんは『俺が結婚式の費用の半分以上を負担する!』と言い出し、両親や親戚たちも『おじいちゃんの願いを叶えてやって……!』と、懇願してきたのです。もともとド派手婚が大嫌いだった私はもちろん反発しました」

 でも、婚約相手の煮え切らない態度もあって、親戚からのプレッシャーは日増しに強くなるいっぽう。そのうち佐々木さんは「結婚式そのものがトラウマ」になりそうなほど追い詰められてしまったのです。

 そんな佐々木さんに幸運がやってきます。婚約者の海外赴任の話が正式に決定したのです。

「以前から彼が希望していたことですが、思わず胸をなでおろしました。挙式は赴任先の海外で、お互いの両親と兄弟だけで行いました。もっとも結婚式に熱心だったはずのおじいちゃんは腰を痛めて、飛行機にも乗れなかったので、カワイソウでしたけど福井でお留守番してもらいました」

 今でも本家の力を見せつけたい祖父は、分家のアラサー従妹にド派手婚を持ちかけているそうです。

―クリスマス・年末年始の忘れたい記憶 vol.15―

<TEXT/夏目かをる イラスト/ただりえこ>

【夏目かをる】
コラムニスト、小説家、ルポライター。2万人のワーキングウーマン取材をもとに恋愛&婚活&結婚をテーマに執筆。難病克服後に医療ライターとしても活動。ブログ「恋するブログ☆〜恋、のような気分で♪」更新中