「スマートホーム3.0」はいつやってくる?
ミサワホーム/機器連携の安全追求
ミサワホームとミサワホーム総合研究所(東京都杉並区)は、東京都渋谷区の住宅展示場内のモデルハウスに設置したIoT機器を公開している。一般消費者がIoT機器・サービスを体験する機会を設け、ニーズを探るほか、住宅でのIoT機器活用の安全性を検証する機会として役立てる。
住宅内の設備機器を、安全に連携させるには、機器同士をつなぐネットワークや指示系統を、あらかじめ整理しておく必要がある。
そこで、産業技術総合研究所(産総研)と共同で、IoT住宅の機能安全に関する国際標準企画案の策定を進めてきた。
このほど、国際電気標準会議(IEC)において「IEC63168」の番号が付与され、日本発の国際標準規格として発行される見通しが立った。今後は、安全ガイドラインの策定にも力を入れていく。
大手電力各社/スマートホームに期待
「これまでは家庭に電力を供給していれば終わりだった。今は、家の中にいかに入り込むかが課題になっている」(大手電力幹部)。
電力供給事業は安定収益が見込める事業だったが、16年4月の電力小売り全面自由化以降、景色が一変した。長期的にも人口減が確実で、需要減少は避けられない。電力販売の減少を補う新たな収益源の開拓が重くのしかかる中、各社が注力するのがスマートホーム分野だ。
東京電力エナジーパートナーはソニーモバイルコミュニケーションズと住宅向けサービスを8月に開始。ソニーモバイルの機器を家庭に取り付けると、ドアの開閉やエアコンの稼働状況などをスマホに通知する。
中部電力も家庭のエアコンを自動制御し、電力使用量を抑制するための実証実験を都市再生機構(UR)などと始めた。
関西電力はインテルが実施する家庭向けIoTサービスの実証試験に参画。九州電力はAI搭載スピーカーの事業化を目指す。声で家電を操作できるほか、防犯機能も備える仕様を想定する。
東電EPが2000万人の顧客を抱えるように電力会社の顧客基盤は厚い。取り組みは始まったばかりだが、家庭の景色を一変させる可能性を秘める。
課題はITというスピード重視の世界でどう立ち回るか。スピードよりも安全性が重視されてきた電力会社にとっての障壁となりそうだ。