「美の定義」は人それぞれ、また生きる場所によっても異なるもの。ルーマニア人の写真家ミハエラ・ノロクさんは、4年かけて世界53カ国を旅し、2,000人以上の女性を撮影してきたそう。そして先日、その中から500人のポートレートを掲載した写真集『Atlas of Beauty: Women of the World in 500 Portraits』を出版。

「私にとって美とは"多様性"を意味するもの。メディアに露出しているような(一般的概念の)"美"だけが美しいのではありません」とミハエラさんは説明。「"Beautiful woman(美しい女性)"と書いて画像検索すると、同じようなタイプの女性の画像が次々に出てきますよね。でも世界を旅してみると、美しさとは多面的だと気づきました。美しさとは『人が皆それぞれに異なること』『自分自身であること』『自然体であること』『作り物でないこと』から生まれるものであり、トレンド、人種、社会的地位などを基準にするものではないはずです」。

そこでコスモポリタン アメリカ版が、写真集に掲載された女性たちのポートレートの一部をミハエラさんのコメントと共に紹介。「世界中の女性たちに対して敬意を表したい」「女性たちにもっと注目が集まるべき」という思いを込めて撮影された写真から、人間に内在する美を改めて感じるはず!

1.カトマンズ(ネパール)

「 "色の祭典"として知られるホーリー祭を祝う女性(ソニさん)を撮影しました。これは旅行中に見た中で、もっとも感激したお祭りの1つです。互いを許し、許されることで善意が勝利し、春が訪れることを祝うお祭りです」

2.ビシュケク(キルギス共和国)

「彼女が伝統的なダンスを踊る直前に撮影したものです」

3.レイキャビク(アイスランド)

「トールンさんに出会ったのは凍えるように寒い日でしたが、彼女の暖かな人柄のおかげで、寒さを忘れることができました。アイスランドの人気歌手であり、新米ママでもある彼女は、娘さんを幸せで自信に満ちあふれた子に育てたいと言っていました。彼女が創設したオンライン・コミュニティ<Good Sister>はアイスランドの約1/3の女性が登録しています。自分たちの意見をシェアすることで互いを支えあっているのだそうです」

4.ワハーン回廊(アフガニスタン)

「この女性は、世界でもっとも人里離れた場所で農作業をしていました。この地に生きる人々、そして取り巻く自然は美しいですが、生活は過酷なものでした。40年続いている武力紛争によってこの村が攻撃されることはなかったものの、戦闘はいつも身近な場所で行われていたため、彼女の生活が改善されることはほぼ不可能だったのです」

5.ナンパン(ミャンマー)

「世界に暮らす多くの人々にとって、この写真のような方法が一般的な"買い物"なんです。自分の車を持たず、家も小さく、銀行口座も持っていません。でも彼らには威厳、強さ、そして寛大さがあります。巨額の富を持つ人や権力を持っている人が、彼らと同じ心の豊かさを兼ね備えていたら、世界はもっと良くなるはずです」

6.パリ(フランス)

「アニヤさんは明るく楽しい女性。そして感動的な人生を歩んできた女性でもあります。ポーランドで誕生した彼女は生まれつき右足がなく、母親は病院に『この子を面倒みてやって』と頼み、置き去りにしたそうです。そして生後19カ月でベルギー人の家庭に養子として迎えられました」

「『養父母は素晴らしい人たちだった』とアニヤさんが語るように、彼らはアニヤさん以外にも身体に障がいを持つ子どもたちを養子にしていたそうです。緑豊かなベルギーの田舎町で、動物たちに囲まれながら愛情いっぱいに育てられたアニヤさんは、スポーツが大好きな子どもでした。森やゴツゴツした岩場を自由に走ってまわり、義足を壊してしまったこともあるほど。しかし彼女は大腿骨がなかったため、スポーツ選手用の義足を作ることができなかったんです」

「しかし諦められなかった彼女は医師に頼みこみ、医療用試作品を作ってもらうことに。そして彼女オリジナルの義足を手に入れた今、やっと思う存分走ることができる喜びを感じています」

7.アマゾン密林地帯(エクアドル)

「アマゾン先住民のほとんどが、いわゆる"洋服"を日常的に着ている昨今。この先住民族は重要な儀式のときには伝統的な衣装を着ています。これは結婚衣装を着ている女性の写真です」

8.ブカレスト(ルーマニア)

「イウリアさんは、スケートボードに乗って街を走るのが大好きな女性。『スケボーに乗っていると自由を感じられるから』と語ってくれました。職場にもスケボーで行くという彼女の夢は、いつかハワイでサーフィンをすることなんだそう」

9.ナポリ(イタリア)

「セレーナさんは"コルニチェッリ"と呼ばれる、伝統的なお守りをナポリで手作りしている女性。両親が営んでいた工房を彼女と妹が引き継ぎ、製造しながら階下の店で販売しています。伝統を今も伝えているのです」

10.テヘラン(イラン)

「彼女の名前"マーシャ"は、ペルシャ語で『月のような』という意味。幼いころから父親に『医師になりなさい』と強く勧められたものの、アートに強い関心があった彼女はグラフィックデザイナーの道へ。18歳のときから経済的に自立していることを『私の誇りです』と語ってくれました。まもなく自分のデザイン会社を立ち上げる予定とのこと」

11.ハバナ(キューバ)

「彼女は女優? それともモデル? いえいえ、彼女は看護師を目指して目下勉強中の学生なんだそうです」

12.ベルリン(ドイツ)

「アナイスさんはマリ共和国出身の母とフランス出身の父を持つ女性。マリでは彼女は"白人"と呼ばれ、欧州にいると"黒人"と呼ばれるそうです。この日の彼女の服はアフリカ側のアイデンティティを強く表現したものではあるけれど、彼女自身はアフリカンでありヨーロピアンであると感じています」

13.チチカステナンゴ(グアテマラ)

「世界には、日々(精神的に、または肉体的に)重労働に耐えている女性がたくさんいます。でも彼女たちは強さと優しさを持って日々の仕事にあたっているのです」

14.メデジン(コロンビア)

「まるで妖精のような容姿のこの若い女性。実は大学生なんです」

※この翻訳は、抄訳です。

Translation: 宮田華子

COSMOPOLITAN US