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WindowsやMicrosoft/日本マイクロソフトを巡る2017年を振り返ると、2016年末に存在を明らかにしたARM版Windows 10搭載PCの発表や、機能更新プログラムのWindows 10 Fall Creators Updateを無事リリースするなど、IT業界全体の中でもやはり存在感は大きかった。改めて、2017年の日本マイクロソフトの動向をエンドユーザー目線で追いかけてみよう。

○よりエンタープライズ領域へシフトした日本マイクロソフト

いきなりエンタープライズ話で恐縮だが、日本マイクロソフトが2017年8月1日に開催した新会計年度(2018年度は2017年7月1日〜2018年6月30日)の経営方針記者会見で、日本マイクロソフトの平野社長は、2015年7月の社長就任時に掲げたクラウドビジネスによる売り上げの構成目標50%をほぼ満たしたことを明らかにした。就任当初はわずか7%だったが、2年間で約50%まで押し上げたことになる。

他方でグローバルに目を向けると、2017年度の法人向けのクラウドビジネスの売り上げ高は189億ドル(グローバルの全社売り上げ高は900億ドル)で、こちらも「2018年度末までに200億ドル」という目標に近づいている。さらに、米Microsoft本社に合わせた組織再編を行い、エンタープライズとSMC(中堅中小企業)が対象の法人向けビジネス、そしてコンシューマービジネスの2本柱で進めると表明した。

日本マイクロソフト 代表取締役 社長 平野拓也氏は、2020年に向けた3カ年の目標として、「Microsoft 365 やMicrosoft Azureで、拡大するパブリッククラウド市場のリーディングシェアを獲得する」と抱負を語った。この発言からもわかるように、日本マイクロソフトは「Windowsの会社」ではなく、「Microsoft 365やMicrosoft Azureを核としたクラウドベンダー」の旗印を掲げているのである。

○Windows 10の活動は法人へ

それでも、Windows 10に関する活動をなおざり(成り行き任せ)にしてきた訳ではない。インサイダー達などを招いて、Windows Insider Programの活動を報告するユーザーイベント「Windows Insider Meetup in Japan 2」を2017年も開催。内容は「あなたのフィードバックはMicrosoftに必ず届く - Windows Insider Meetup in Japan 2から」(https://news.mynavi.jp/article/20170628-microsoft/)をご覧いただきたい。

また、日本マイクロソフトとして2017年に開催したWindows 10に関する説明会は、Windows 10 Creators Updateに合わせた4月11日、法人向け機能に限定した6月30日、Windows 10 Fall Creators Updateに合わせた10月18日の計3回だった。

2017年、日本マイクロソフトの活動は、パートナー企業に対して活発化したように思える。例えば、9月21日にVAIOが開催した「VAIO S11」などの発表会では、Microsoftの「Always Connected PC」構想にもとづいたPCということで、日本マイクロソフト Windowsプロダクトマネジャー 春日井良隆氏が登壇した。

その場では、Windows 10 Anniversary Update(バージョン1607)の時点で「有料Wi-Fi&携帯ネットワーク」に対応していることを明らかにし、VAIO S11などが国内初のデータプラン対応PCということで、利用方法などを解説した。また、法人向け発表会では、PwCコンサルティングがWindows Defender ATPを活用した「インシデントディテクション&リカバリーサービス」を提供することから、日本マイクロソフト Windows&デバイスビジネス本部 業務執行役員 本部長 三上智子氏が登壇するなど、活動の場を外に向けている。

○PC利用スタイルを変えるAlways Connected PC

身近なデバイスに目を向けると、5月26日の新Surface ProおよびSurface Laptopの発表会に続いて、11月1日に開催したMicrosoft 365の発表会で初披露したSurface Pro LTE Advancedが2017年のトピックだ。動作は未検証だが、Surface Pro LTE AdvancedはeSIM(Embedded SIM)も実装しているため、ネットワーク環境をもとにしたPCの活用スタイルは、前述したAlways Connected PCで大きく変わるだろう。

同じくハードウェアという観点では、複合現実の世界を一般コンシューマーレベルに提供する、Windows Mixed Realityデバイスが本格稼働したのも、2017年のトピックである。筆者が1週間ほどWindows Mixed Realityデバイスを使ってみたところ、その没入感はすばらしいものだった。例えば、Minecraft(執筆時点ではベータ版で対応)をプレイすると、見渡す限りワールドが視界に広がり、ネザーやジ・エンドへ行った時の恐怖感は、2D環境とは比較にすらならないだろう。

【参考記事】[最新MRヘッドセットで遊んでみた! 富士通のMRノートPC「AH-MR/B3」レビュー](https://news.mynavi.jp/article/20171130-mr/)

○AIの進歩で生活が変わる

日本マイクロソフトの女子高生AI「りんな」の背景にあるAI(人工知能)へのアプローチは、MicrosoftがグローバルでR&D(研究開発)に取り組んでいる。特に、ここ数年は深層学習の強化が進み、具体的なソリューションとしてAIが姿を見せたのも2017年の話だ。

その1つが、リアルタイム機械翻訳の向上で実現した「Microsoft Translator」である。対応言語に日本語が加わり、4月上旬から対面でのリアルタイム音声翻訳やグループ間のリアルタイム翻訳、Skypeにもリアルタイム会話翻訳が加わった。また、PowerPoint上のプレゼン字幕を翻訳する「Presentation Translator」も搭載した。このように、コンシューマーからエンタープライズへと軸足を移す日本マイクロソフトだが、その成果はエンドユーザーも享受できる機能として我々の手元に残っていく。

阿久津良和(Cactus)