大きな輸送機に多くの無人航空機(ドローン)を搭載して目的地まで運び、飛んだままドローンを放出して任務を遂行し、完了後はドローンが自ら輸送機に再び収まって基地へと帰還するという、「空中空母」「空飛ぶ空母」とも呼ぶべき構想が2019年にも実現に向けたテストを行うことが明らかになりました。

Progress Toward an Ability to Recover Unmanned Aerial Vehicles on the Fly

https://www.darpa.mil/news-events/2017-03-15

DARPA hopes to swarm drones out of C-130s in 2019 test

https://www.navytimes.com/newsletters/daily-news-roundup/2017/12/18/darpa-hopes-to-swarm-drones-out-of-c-130s-in-2019-test/

「グレムリン」と名付けられたこの計画は、アメリカ国防総省の機関で軍用の最新技術を開発するDARPA (国防高等研究計画局)が進めているもの。輸送機のベストセラーとも呼ばれるC-130輸送機に搭載した複数のドローンを空中で放出し、任務遂行後はそのままもとのC-130に収納して帰還することを目指しています。General Atomics Aeronautical SystemsとDyneticsの二社によって開発が進められており、2019年にも試験機を使った飛行試験が行われる予定とのことです。

構想をもとに作成されたイメージ画はこんな感じ。イラスト右上に描かれているC-130輸送機から放出されたドローンが無人で飛行している様子が描かれています。ドローンの翼は、機内に収納するために折り畳み式になっていることがわかります。



C-130型機の機尾には、空中給油用のホースのようなものも描かれています。



画面左下には、向こうを向いて飛んで行くC-130輸送機と後ろにつくドローンの姿も描かれています。



DARPAではこの計画の狙いについて、リリースの中で「現在のように多額の費用がかかる『オール・イン・ワン型プラットフォーム』よりも少ないコストで柔軟性の高い作戦実行能力」を実現するためのものとしています。実際に作戦に投入される際には、ドローンはC-130輸送機に乗せられた状態で任務地まで輸送され、空中で放出されて任務に就きます。ドローンの機体には用途に応じてカメラやレーダーなど諜報用の機器や、無線傍受、ジャミング(通信妨害)などの機器、爆弾などの火器を搭載できることが求められ、待機状態のまま1時間程度にわたって作戦遂行地域またはその近辺でスタンバイできることも求められます。

そして任務遂行後は、C-130輸送機に自ら「着艦」し、ドローンを満載したC-130輸送機が基地へと帰還するという流れ。帰還後は地上で待機していた整備員によって機体の整備や修復、装備品などの補充が行われ、24時間以内に再出動できる体制が整えられることになるとのこと。ドローンに想定される巡航距離は300海里(約560km)と短めで、機器などの積載能力は60ポンド(約27kg)とこちらも小さめの規模。その代わりに多数のドローンを空域に投入することで、従来よりもきめ細かな作戦の遂行が可能になると見られています。また、ドローンがC-130輸送機に収まる形態は、胴体内に入る方式と、何らかの方法で翼の部分に装着される方式が検討されている模様。

DARPAでは、ドローン1基あたりのコストを50万ドル(約5600万円)と想定しているとのこと。これは、1機あたりの価格が数百億円にものぼることがある現代の軍用機の基準からすると、破格の低コスト機ということになるうえに、20回程度の繰り返し運用を可能にすることでコストの削減と兵士の人命の保護が可能になるものと見られています。