お金を上手に増やすコツは、お金に執着しないことであるという逆説は真実です。では、どうやって、お金に振り回されないで、自分の価値を上げていけるのでしょうか?年始の計画作りのケーススタディとして「お金と仕事との関係」を考えてみます。

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1年間の骨太計画と作る

一年の初めにあたり、お金と仕事について、真正面から考えてみましょう。お金が足りない、お金が欲しい、お金が惜しいといった、日常的な瑣末な感傷ではなくて、人生におけるお金の本質的な意義を思い直して、一年間の骨太行動を計画してみたいものです。

この作業のポイントは、お金は一つの見える指標ではあるけれど、決して最終的な目的ではないということを深く胸に刻むことです。1年間の計画を作っていきながら、そのポイントを解説してみます。

今年のプロジェクトを明確にする

たとえば、プロ野球選手なら「今年は日本一になる!」と目標を立てます。あるいは「オリンピックに出る」、「○○大会で優勝する」などの達成したいことを具体的にします。仕事をしている人ならば、「職場でエースになる」とか、家庭人であれば、「家族の健康を守る」とかの目標でもよいでしょう。

それは、その人の人生にとって、重要な最終ゴールへ向かう、一つのステップを表現する中間目標です。このときに、決して金銭を目標にしてはいけません。それは、プロスポーツ選手が「今年の目標は年俸X億円」と言わないことからも分かるでしょう。ベストセラーになることを望んで執筆する作家はいても、印税を目標に本を書く一流はいないのと同じです。

最初から、金銭や金額を目標にしている人は、いつもお金の不安にさいなまれる人です。いつまでたっても満足や安心ができません。したがってリラックスできず、いつも緊張した心で生きていますから、本当の潜在能力を発揮することができないのです。

達成で獲得できる金額を見込む

直接的に金銭を目標にすることは、質の高い成長を妨げますが、一つの指標として想像することは悪くありません。それは、他人の評価を測る物差しにもなるし、自分の期待値と他人の評価との落差を知る手掛かりともなります。

日本一になったら年俸はいくらになるだろうと推測することは、下心としては有りだと思います。お金は報酬ですから、努力が報われる未来を想像することで、タスク達成に対するモチベーションが高まる効果も持っています。ただし、自分はお金のために働いているではない、もっと高い次元で仕事しているという姿勢を忘れてはいけません。

達成のプロセスに集中する

目標達成で獲得できる金銭を思い付いたら、それは思いつきに留めておいて、プロセスにまい進しましょう。一年の目標を達成するために、何をしたら良いのか、何を考えたら良いのか、何を発言したら良いのかを、考え倒すのです。

実現する方法を考えると同時に、実現を妨げる障害に思いをはせることも、効果的です。人を妬んではいけない、安直な近道を選んではいけない、簡単に諦めてはいけないなどと、してはいけないネガティブリストを作ります。もちろん、金銭残高に心を奪われてはいけないことは、その最重要アイテムです。

お金がすぐに手に入らなくて焦ること、必要経費の支出が増えておびえること、将来の収入増に不安を持つこと、いずれもお金に対するマインドコントロールが効いていない証拠です。プロセスに集中するということは、現在の金銭収支や預金残高をいったん忘れるということです。

優れた経営者の影には、必ず金庫番をしてくれる番頭さんがいました。目先の資金繰りを心配しながら仕事をしていたら、成功はおぼつかないということをこの歴史的事実は暗示しています。

差異を比較して検証する

目標を立てたら、結果を評価しないといけません。日本一になるとか、優勝するといった明快な目標であれば、その評価は容易です。しかし、職場でエースになるとか、家族の健康を守るとかの目標では、評価は簡単ではありません。もし第三者がそれを客観的に評価しれくれるならそれを頼りにすればいいのです。

それも無理な場合には、お金が評価の役割をしてくれます。良い結果を出していればサラリーは増えているはず。誰かの役に立っているなら報酬をもらえているかもしれません。目標達成で獲得できる期待値と比べて、現状がどうなっているか?その金額の落差から、自分のプロセスを自己評価することはできます。

フィードバックを受け取る

金銭残高をいったん忘れて!と書きましたが、もし期待値と現状の残高に落差があり、プロセスに手詰まり感があるのなら、それは何かを修正すべしというサインです。

金銭を指標として、現状を点検して、過去に対する適切なフィードバック(自己評価)を受け取りましょう。そして、修正+改善、再計画、実行です。仕事において、<Plan,Do,Check,Action>は普遍的な手法ですが、お金は最終的な目的としてではなく、有効な指標と一つとしてクールに使いこなすことが必要です。

お金を測りにしながら、お金に振り回されない、そんな軸のあるPCDAサイクルを回せたときに、人は最後にお金という成果物をいただきます。まるで天から降ってくるかのように。
(文:北川 邦弘)